すでに海外の映画祭で上映され好評を得ている『チチを撮りに』が2月16日に新宿武蔵野館で初日を迎え、主演の柳英里紗さんら出演者と中野量太監督が舞台あいさつをおこないました。
『チチを撮りに』は、母親と3人暮らしの姉妹が主人公。14年前に家を出ていった父親の死期が迫っていることから始まるドラマがユーモアとペーソスを交えながら描かれていきます。
この作品は、もともと中野監督が公開の予定がないままプロデューサーと資金を出しあって製作し、次代を担うクリエイターを発掘するSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012で監督賞とSKIPシティアワードをダブル受賞し、SKIPシティDシネマプロジェクト作品として一般公開が実現したもの。中野監督は「映画と関わってもう15年くらいでマイペースに映画を撮ってきましたけど、映画を撮っている人は誰もが自分の映画を公開して初日を迎えるというのを目指してやってると思うんです。15年かかりましたけどついにその日が来たことがほんとに嬉しいです」と、姉妹の姉・葉月を演じた柳さんは「どこで上映されるのかも、どこで観てもらえるかもわからぬまま撮影に入りまして、撮影しても何年も経っても上映できずにお蔵入りになってしまう作品が多い中で、この作品が今日みなさんの前で初日を迎えることができてほんとに嬉しいです」と、それぞれ初日を迎えての心境を語りました。
ベルリン国際映画祭から帰国報告に加えプレゼントも 『チチを撮りに』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった中野量太監督、柳英里紗さん、滝藤賢一さん、今村有希さん(左より)
「監督の演出はインの1週間2週間前から始まっていてとても面白いですね。撮影の前から姉妹の役作りをさせていただきました」と東村葉月を演じた柳英里紗さん
「監督は演出になるとすごく厳しくなりますよね。だけどすごく粘られる監督なので、絶対的に信頼できる監督ですね」と姉妹の叔父・西森哲二を演じた滝藤賢一さん
「台本を読ませていただいたとき涙が止まらなくてほんとにいい作品だと思いました。映画館で上映される日を心待ちにしていました」と哲二の妻・都子役の今村有希さん
舞台あいさつの時間が遅かったため、姉妹の妹・呼春を演じた現在16歳の松原菜野花さんは舞台あいさつには参加しませんでしたが、客席から映画を鑑賞し「こんなに満員の中で初日を迎えることができてほんとに嬉しいです。ありがとうございました」とコメント。
また、姉妹の母・佐和を演じた渡辺真起子さんが舞台出演のため滞在中の大阪から電話を通じて舞台あいさつにサプライズ参加。「“面白かったなあ”と思っていただけたらぜひお友達や家族の方に伝えていただいて、たくさんの方々に作品が届くことを願っています」とメッセージを寄せました。
「家族の絆とか愛を描いた映画を撮っていて、関わってくれた人みんなに繋がりができて、映画のためにいろいろやってくれるのがすごく嬉しいです」と中野量太監督
携帯電話にかかってきた渡辺真起子さんの声をマイクを通して会場のみなさんにも届ける中野監督と、電話の渡辺さんの声に耳を傾ける柳さん
『チチを撮りに』は、2月7日より開催されている第63回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式招待されており、中野監督と柳さん、今村さんはベルリンでの上映に参加し帰国したばかり。柳さんは「小さな子が緊張してお母さんのうしろに隠れながら質問をしてくれたり、日本でもなかなかできない経験をさせていただきました」と映画祭での様子を報告し、初日に来場してくれた客席のみなさんに感謝を込めてベルリン土産のお菓子を手渡しました。
柳英里紗は客席へと降りてベルリン土産のお菓子のグミを手渡しました。写真は客席に進む直前の柳さん
『チチを撮りに』は、2月16日(土)より2週間にわたり新宿武蔵野館でレイトショー上映されるほか全国順次公開予定。新宿武蔵野館での公開期間中にはゲストを迎えてのトークショーも開催されるほか、回により中野監督の旧作短編『琥珀色のキラキラ』も同時上映されます。