東日本大震災で被災した動物たちに迫ったドキュメンタリー『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』が6月1日に渋谷ユーロスペースで初日を迎え、宍戸大裕監督と飯田基晴プロデューサーが舞台あいさつをおこないました。
『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』は、震災で飼っていた犬や猫を失った人々や、避難区域内に残された動物たちの取材をとおして「人と動物」の関係を考える作品。
舞台あいさつは初回の上映終了後におこなわれ、宍戸監督は「ひとりでも多くの方に、この映画の中で起きている、いまも続いていることが心に残って、この映画で描かれていることを誰かと語り合ってもらえたら、そしていま起きていることが少しでも変わっていったらと思います」と、飯田プロデューサーは「どうしても私たちの映画は楽しい映画だとは宣伝ができません。(動物が)好きな人ほど“観たくない”とおっしゃられることもあります。ただ、やはりこの震災、原発事故という大きな出来事でなにが起きたのか、それを動物の視点に近づいて見るということはあまりなかったと思いますし、できる限り多くの方に観ていただきたいと思っています」と、それぞれ作品への想いを語りました。
また、被災動物の保護活動をおこなっている石巻の団体“アニマルクラブ石巻”の代表で映画に登場している阿部智子さんも急遽舞台あいさつに参加。「震災が起こしたことはいまも続いているということ、そして映画を観て“かわいそう、こんなことがあったなんて”で終わらずに、小さなことでいいから行動力に変えていってほしいなということを願っています」とメッセージを送りました。
「いま起きていることが少しでも変わったら」 『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった飯田基晴プロデューサー、阿部智子さん、宍戸大裕監督(左より)
震災から2年3ヶ月の歩みを振り返ったとき、こういう場所でみなさんにご覧いただいて、どのような感想をお持ちになったのか一番最初にうかがいたいような気持ちであります」とあいさつした宍戸大裕監督
「映画というのは作って終わりではありませんで、作るのと同じくらい、見せることが大変だと私は感じています。まだまだ多くの方に私たちはこの作品を届けていと思っています」と飯田基晴プロデューサー
「映画ができても集会場や公民館みたいなところで10人20人のお客さんを相手にやっていくのだと思っていたものですから、東京でこんなふうに封切りになるとは感無量です」と、石巻アニマルクラブ代表・阿部智子さん
宍戸監督は、飯田プロデューサーが監督をつとめた前作『犬と猫と人間と』でとりあげられた犬猫の殺処分数が減少していることを例に挙げ「これは多くの方が知って“この現実を変えたい”と思ったことから始まった変化だと思います。これから今回の震災、原発事故と同じような災害が起きたときに“福島の動物たちの犠牲を無駄にしなかった”ということが言えるために、少しでも知ってもらって、少しでも犠牲を減らしたいと思っています。そういう力をこの映画が持てたら幸せです」と、舞台あいさつを締めくくりました。
『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』は6月1日(土)より渋谷ユーロスペースにて公開中。6月2日、8日、9日、15日には、宍戸監督、飯田プロデューサーとゲストを迎えてのトークイベントが予定されています。