若手監督と若手俳優によるプロジェクトから生まれた作品を上映する『全力映画2013』が12月7日に新宿K's cinemaで初日を迎え、上映後に監督と出演者による舞台あいさつがおこなわれました。
『全力映画2013』は、昨年上映され好評を博した『全力映画』に続く第2弾。第14回東京フィルメックス・コンペティション部門スペシャル・メンションを受賞した長編『トーキョービッチ,アイラブユー』、FOXムービー プレミアム 短編映画祭2013でグランプリを受賞した『いいね!』など、4人の監督による短編3本と長編1本がふたつのプログラムに分けて上映されます。
短編3本が上映された7日は満席の盛況でのスタートとなり、アルバイトで森にやってきた若者たちの体験を描いたSFタッチの短編『008』の高橋康進(たかはし・やすのぶ)監督は「若い俳優のみなさんと、我々若手の監督の“熱”を感じていただけたかと思います。今日、なにか感じたことがありましたら、お知り合いとか、ツイッターのようなところで呟いたりしていただけたらと思います」とあいさつ。
『008』主演の新晟聡さんは「映画は、上映して、観にきてくれる人がいて、初めて成立するものなので、興味のある方がいたらどんどん映画館に足を運んでいただいて、一緒に映画界を盛りあげていきましょう」と呼びかけました。
若手監督・若手俳優の「熱」が刻まれたオムニバスがスタート 『全力映画2013』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった吉田光希監督、伊月肇監督、山岡大祐監督、高橋康進監督(左より)
『008』高橋康進監督
『008』出演者。左より、小川ゲンさん、岡本唯さん、高野春樹さん、新晟聡さん
SNSで「いいね!」してもらうことにハマった女性が主人公の、奇妙な味わいの短編『いいね!』の山岡大祐監督は「これまで撮った作品はぼくの個人的な欲望をもとに作った短編ばっかりだったんですけど、今回の作品はそういう欲望に誠実になりつつも、お客さんに楽しんでもらえるエンターテイメントをどうやって作れるだろうかということを一生懸命考えてチャレンジした作品です」と作品の背景を語り「みなさんの感想をおうかがいしたので、よかったらツイッターとかフェイスブックとか、それこそフェイスブックでこの『いいね!』を“いいね!”していただけたら」と、映画の内容にちなんだコメントを。
『いいね!』出演の堀内亮太さんは「こうしてみなさんにおいでいただいので、ぼくらもいつか“あの役者さん会ったことあるよ、見たことあるよ”と言っていただけるように頑張っていきたいと思っています」と抱負を語りました。
『いいね!』山岡大祐監督
『いいね!』出演の増井香里さん(左)と堀内亮太さん
男性との関係に心を揺らしていくひとり暮らしの女性が主人公の『籠の中』の伊月肇監督は「3作品とも全然タイプの違う映画で、ほんとにこのメンバーでやれてよかったなと思っています。『全力映画』というプロジェクトは普通の映画とはちょっと違う作り方だと思うんですけど、ぼくとしては、すごく役者さんの底力というか、撮影現場ですごく“いいな!”と思えるときがあって、その芝居、熱を刻み込めたかなと思っています」と作品への想いを語り、主人公の英美を演じた松本ふみかさんは「私は最初はあまり英美ちゃんに共感できなかったんですけど、人の弱いところを素直に生きてるというか、見る人が見ると痛くも見えるのかもしれないけど、いろいろな角度から見られる子なんじゃないかという気がしています。私もまだはっきりわかっていない部分もあるんですけど、いろいろな方が観たらいろいろな感想があるんじゃないかと楽しみにしています」と、映画公開を迎えての心境を語りました。
『籠の中』伊月肇監督
『籠の中』出演者。左より、郷右近弘己さん、太田朝子さん、阿部綾乃さん、佐々木祐磨さん、木村紗貴さん、松本ふみかさん
『全力映画』は、監督と俳優が数ヶ月のワークショップをおこない作品に取り組んでいくプロジェクト。「ほぼゼロの状態でワークショップに参加した」という郷右近弘己さん(『籠の中』出演)は「自分の中でウソとかごまかしとかがあるといいものができないということを学んで、たぶん実生活もそうだし、映画を観ているときも自分自身じゃ隠せない感情って出てくると思うんです。そういうのが自分の本質だったりするので、そういうのと向きあえるのが映画の醍醐味かなって思います」と、企画に参加しての感想を述べました。
『全力映画2013』は、Aプログラム(『008』『いいね!』『籠の中』)とBプログラム(吉田光希監督『トーキョービッチ,アイラブユー』)の2プログラムを日替わりで、12月7日(土)より27日(金)まで3週間にわたり上映。上映期間中には、監督・キャスストとゲストによるトークイベントも予定されています。