和歌山県オールロケで“家族”の絆を問いかける『ねこにみかん』が3月22日に全国公開初日を迎え、シネマート新宿で主演の黒川芽以さんと大東駿介さんをはじめとするキャストと戸田彬弘監督が舞台あいさつをおこないました。
『ねこにみかん』は、父ひとりに母3人、子供が4人という“いびつな家族”を持つ青年・智弘と、その婚約者・真知子の姿を通して、家族の意味を問いかけていくヒューマンドラマ。
ロケ地となった和歌山では先行公開されており、真知子を演じた黒川さんは「こうやってやっと東京のほうでも封切りになりまして、すごく嬉しく思います」とあいさつ。智弘を演じた大東さんは「和歌山の有田の方にたくさん協力していただいて、初日が迎えられたことをほんとに嬉しく思います」と初日を迎えての心境を語りましたが、上映後の舞台あいさつにもかかわらず上映前と勘違いして「楽しんでいってください」の一言を。直後に「観終わったあと?」と気づき「あ、スミマセン(笑)。“余韻を”楽しんでいってください」と自らフォローしました。
撮影はスタッフ・キャストがひとつの場所に泊まりこむ合宿形式でおこなわれたそうで、黒川さんは「ほんとにみんなで一緒に過ごしていて、ロケから帰ってくると、高見(こころ)さんが“ジャガイモ剥いてるよ”みたいな感じで、面白かったですね、その時間が」と、大東さんは「カメラマンさんが言っていたんですけど、1ヶ月近く合宿で生活していたら普通どっかで揉めると。でも1回もなかったんですよね。それは良いチームだったというのもあるけど、和歌山という土地で有田のみなさんがすごく協力的でいろいろ気を遣ってくださって、そういうのがあったからできた環境でもあり、そういうあったかさがこの映画に詰まっているなと思いました」と、撮影を振り返りました。
また、智弘の異母妹・由美を演じた東亜優さんはロケ地である和歌山県の出身で「生まれ育った街ですので、懐かしい思いがありました。そんなに気負った感じで撮影に臨んではいなかったんですけど、自然とすんなり馴染むことができて、改めて和歌山のよさを知って、みなさんにも和歌山のよさを知ってもらえたんじゃないかと思っています。ほんとに胸を張って“和歌山出身です”と言えるような作品になったと思います」と、想いを語りました。
キャスト8人は合宿でチームワークもバッチリ 『ねこにみかん』初日舞台あいさつ
タイトルにちなんでみかんを持ってポーズのキャストと監督。左より、竹下かおりさん、高見こころさん、中村有沙さん、黒川芽以さん、大東駿介さん、東亜優さん、隆大介さん、清水尚弥さん、戸田彬弘監督
「設定がいままでにない感じだったのですごく面白そうだなと思って、私も家族に対してすごく強く想いがあって、幸せな結婚をしたいと思ってるところとかが真知子と似てたので(笑)、すごく共感できました」と、真知子役の黒川芽以さん
「合宿という環境でみんなで話をして、ひとつの作品、ひとつの役にみんなで向き合えた時間というのがあったから、複雑な血縁関係の設定でも違和感なく気持ちが入れたというか、いい環境だなと思いました」と、智弘役の大東駿介さん
「この作品の脚本をもらって家族というものをすごく考えるようになって、わからなくなったんですね。でも、物語の中の里美は、家族というものにものすごい確信を持っているんです」と、一家の“ママ”里美を演じた竹下かおりさん
一家の娘・由美を演じた東亜優さんは「この映画は、一昨年の秋くらいに撮った映画で、ようやくお披露目できて、ほんとにいま、とっても嬉しい気持ちです。本日はご来場いただきありがとうございます」とあいさつしました
「この役はまったくイメージが違うのに、どうして監督は私を選んだのだろう」という一家の“カカ”佳代子役の高見こころさん。「たぶん一生やることはないような役だったので、今回演じることができて監督に感謝しています」
「初めて200本くらいエクステを付けてやらせていただいたので、いまはだいぶ印象が違うと思うんですが」という一家の娘・さやか役の中村有沙さん。「みんなであっためてきた作品をみなさんに観ていただけて嬉しいです」
一家の息子・隆志を演じた清水尚弥さんは、緊張を覗かせつつあいさつ。ある登場人物に想いを寄せるという役柄について「男の子ですし思春期じゃないですか。いろいろあると思うんですよ。(気持ちが)たぶんわかりますね」
「長いこと映画をやってきているんですが、現場も仕上がりも、こんなによかったことはないとぼくは思っています」と一家の“チチ”正一郎役の隆大介さん。「こうやってみなさんに観ていただいたことがほんとに感無量です」
「ほんとにいい役者に恵まれまして、撮影も合宿なんですけど、ほんとに家族みたいに、みんながいい関係の中で終われて、いまがあると思っています。映画もそういう空気が出ていたんじゃないかと思います」と、戸田彬弘監督
戸田監督は「みかんの存在が家の中で好きだと思っていたんですね。いつも茶の間の真ん中にあるのが当たり前で、気づけばみんなが手を伸ばしているような、そういう距離感というのが、ぼくの中で家族との距離感と近いかなと思っていたので“みかんをモチーフに家族の映画が撮れないかな?”と思っていて、やっぱり和歌山が産地なので行ってみようと。実際に行ったら、ロケーションもすごく綺麗だったので、ぜひここで撮りたいなと」と、タイトルの“みかん”に込めた想いと、和歌山ロケの理由を説明。
そして、黒川さんの「ほんとにチームワークが良くて、ほんとに楽しくて、合宿していたときに毎日毎日この作品のことを考えていたんですよ。だから、これだけの熱い想いをなるべく多くの人に観てもらいたいという気持ちがみんなあると思うので、ぜひ広めてくれたらなと思います」というメッセージで舞台あいさつは締めくくられました。
『ねこにみかん』は、3月22日(土)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国ロードショーされています。