妖怪を目指す男を追ったドキュメンタリー映画『加藤くんからのメッセージ』を上映中のシアター・イメージフォーラムで12月7日、映画の主人公である加藤志異さんと「惡の華」などで知られるマンガ家の押見修造さんによるトークイベントが開催されました。
『加藤くんからのメッセージ』は、大学卒業の日に「ぼくは妖怪になる」と宣言し、契約社員として病院事務の仕事をしながら“妖怪演説”“妖怪読み聞かせ”などの“妖怪活動”をおこなっている加藤志異さんを、OLである綿毛監督が2年間にわたって取材し完成させたドキュメンタリー。
この日のトークゲストである押見さんと加藤さんは早稲田大学に同期入学で、ともにマンガ研究会に所属して一緒に同人誌を作ったこともあるという間柄。
新入生歓迎会での加藤さんとの出会いを「“こいつだったら話せる”ってオーラが出ていたんです、加藤くんから」と振り返った押見さんは、加藤さんについて「ある種、現代の象徴みたいな人間。空っぽで、基本的になにも考えていないじゃないですか」と、長い付き合いならではの率直な意見も交えつつ、ふたりで制作した同人誌に掲載されたマンガに関するエピソードなどを披露。また、映画公開にあたりプロモーション活動に励んでいる加藤さんがその理由を「基本、監督の作品なんだけど、俺、使命感をすごい持っちゃうんだよ。わけわからない使命感。ここは俺がやらなきゃみたいな」と説明すると、押見さんは「そこはひじょうにJポップ的なんだよね」と、独特の表現で評しました。
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妖怪とマンガ家が異色の同級生トーク 『加藤くんからのメッセージ』トークイベント
ふたり並んで“妖怪ポーズ”をとる加藤志異(かとう・しい)さん(右)と押見修造さん
トーク中の加藤さんと押見さん
加藤さんはマンガ家の道には挫折しつつも近年数冊の絵本を出版しており、押見さんは「加藤くんはちゃんと努力して絵本作家になったじゃない? それは俺はすごく感動したんだよ、加藤くんが初めて努力するところを見たと思って。いままで加藤くんが努力するふりばっかり見てきたから」と、優しさと厳しさとが入り混じったコメントを。そして押見さんは「こんな加藤くんが嫌いだった時期もあるんですけど、いまはまあ、概ね好きと言えるような感じなので、みなさんも好きになってくれると嬉しいですし、この映画を観て、自分に引きつけて自分の鏡として加藤くんを見てほしいなと、ぼくは思いました」と観客にメッセージを送ってトークイベントを締めくくりました。
大きなアクションを付け、客席にまで飛び込む“妖怪演説”をする加藤さんと、それを見つめる押見さん。演説を見終わっての押見さんの感想は「Jポップだね」
「夢は叶う! どんな夢でも叶うのです!!」と叫ぶ加藤さんの姿が、映画を観る者の中に不思議な感情を沸き上がらせる『加藤くんからのメッセージ』は、12月6日(土)よりシアター・イメージフォーラムでレイトショー上映中、ほか全国順次公開予定。シアター・イメージフォーラムでは公開期間中、加藤さんとゲストを招いてのトークイベントが今後も予定されています。