雑誌グラビアで“謎の美女”として話題の祥子さんを主演に、探偵小説の大家・江戸川乱歩の小説を映画化した『D坂の殺人事件』が2月14日にユーロスペースで初日を迎え、祥子さんと窪田将治監督、共演の河合龍之介さん、木下ほうかさんが舞台あいさつをおこないました。
江戸川乱歩没後50年記念作品となる『D坂の殺人事件』は、探偵・明智小五郎がある事件の真相を追う中で明らかになる古書店夫人・悦子をめぐる愛憎劇が、エロティックな描写をふんだんに織り込みながら描かれていきます。
映画初出演にして主演をつとめた悦子役の祥子さんは「今日、ここにこうやって立ってごあいさつできることをすごく嬉しく幸せに思っております」とあいさつし、作品について「先日初めて(完成した映画を)観たのですけど、女性が観てもすごく勉強になるし、すごくエッチな気分になって帰れたので、男性だけでなく女性の方にも広めていただきたいなと思っております」と大胆にコメント。バレンタインデイ当日の公開にちなんで「私からのプレゼントになればいいなと思っております」とアピールしました。
窪田監督は祥子さんについて「最初は(映画初出演なので)すごく不安もあったんですけど、その分、逆にスポンジのようにどんどん吸収していって、すごく妖艶でいい感じになっていると思います」と評しました。
謎の美女の初主演作は「女性が観ても勉強になる」 『D坂の殺人事件』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった窪田将治監督、河合龍之介さん、祥子(しょうこ)さん、木下ほうかさん(左より)
悦子役で主演をつとめた祥子さんは映画公開に合わせてメディアへの露出も多くなっており「ありがたいことに日々勉強しております、いろいろと」
「初日というのは、映画にとってほんとの意味で完成する日だと思うので、ぜひよろしくお願いします」と、青年・郷田を演じた河合龍之介さん
花崎役の木下ほうかさんは舞台あいさつ前に窪田監督と呑んでいたそうで「良かったですねえ、初日。ぼく、いま気分がいいんです」とご機嫌
劇中では緊縛シーンもあり、祥子さんは「最初はキツいとか苦しいとかそういうイメージだったんですけど、実際に自分が縛られてみるとすごく気持ちが良くて、男女のコミュニケーションとしていいと思いますよ」と縛られての感想を語り、縛るのも「好きな人を独占できるという感覚もあるので“私のものだよ”という印ができていいです(笑)」と笑顔。
悦子に想いを寄せる青年・郷田を演じた河合さんは「今回は“縄”というものが嫉妬だったり束縛だったり、記号として映っていると思うんですよね。相手にどれだけそれが伝わるかがすごく大事で、そのキャッチボールがわかりやすくできるのが縄であって、それが映画になったときにすごい面白いんじゃないかと思う」と話し、祥子さんとの共演について「(演技で)ウソをつくとバレちゃう。欲が出た瞬間に“そんなのは通用しないよ”という目で見られて、素直にやらないとキャッチボールができないみたいな感じがありましたね。すごいなって」と振り返りました。
悦子の夫・花崎を演じた木下さんは、縛りのシーンをクッションやトルソー、呼び出した後輩で練習したという話で客席を沸かせつつ「女優さんというのはこういう(縛られる)役だったりすると“痛い”とか“加減して”とかやかましいんですけど、祥子さんは“どうぞうどうぞ”と。とっても感心しましたね」と冗談も交えて女優としての姿勢に賛辞を送りました。
「今日という日が映画人にとってはほんとに緊張する日であり、船出の日。みなさんのお力を借りて(映画を)広めていきたい」と窪田将治監督
木下ほうかさんが身振りを交えて話す縛りの練習のエピソードに、客席のみなさんだけでなく祥子さんと河合龍之介さんも笑いを抑えきれない様子
モントリオール世界映画祭出品作『失恋殺人』(2010年)に続き江戸川乱歩作品の映画化は2作品目となる窪田監督は、乱歩作品の魅力を「原作自体に想像の余地がある。いろいろ妄想を膨らませられる部分が多くて、イメージがどんどん沸くというのが一番ですよね。あと、けっこうな巨匠がいっぱい映画化しているので、いち映画監督としてその中に入りたいという気持ちも多少はありますけど、日本の映画は人間の本質をどれだけ描いていくのかというのがぼくの中で思っていることなんで、乱歩の原作というのはそれがすごく如実に出ていると思うので、やっていて楽しい」と熱弁。
祥子さんは「話が進むごとにわかっていく人間関係と、私が体を張っていどんだ濡れ場ですね。ほんとに見どころになっていますので楽しんで観ていってください」と話して舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、窪田監督作品常連の草野康太さんや、大谷英子さん、仁科貴さん、近藤芳正さんら実力派キャストが揃った『D坂の殺人事件』は、2月14日(土)よりユーロスペースにて2週間限定レイトショー上映のほか、公開と同時にネットでの有料配信もおこなわれています。