『トーク・トゥ・ザ・デッド』上映後にトークをおこなった桜井ユキさん、岡村洋一さん、鶴田法男監督(左より)
数多くのホラー作品を手がける“Jホラーの父”鶴田法男監督のデビュー作であるビデオ版「ほんとにあった怖い話」などを上映するグローイングアップ映画祭・月イチ上映会「鶴田法男監督作品集」が8月24日に和光大学ポプリホール鶴川で開催され、鶴田監督と桜井ユキさん、岡村洋一さんによるトークショーもおこなわれました。
この日の上映会は昼・夜の二部構成でおこなわれ、昼の部ではビデオ版「ほんとにあった怖い話」シリーズ3作品を一挙上映。同名の実話投稿コミックを鶴田監督自身の企画で映像化した「ほんとにあった怖い話」はオリジナルビデオ作品として1991年にリリース、好評により続編「ほんとにあった怖い話・第二夜」、翌92年に「新・ほんとにあった怖い話 幽幻界」と計3作品がリリースされ、その恐怖描写はのちのホラー作品に多大な影響を与え“Jホラー”の原点となりました。1999年には鶴田監督がメイン監督をつとめるテレビ版がスタートし、16年目の今年も8月29日に最新作が放送される人気作となっています。
上映後のトークショーで鶴田監督は「当時レンタルビデオ店専用の作品が出はじめて、それを見ているうちに、これだったら自分でもなんか作れるなって気がしちゃって(笑)」とビデオ版1作目で監督デビューした経緯を話し「ぼくは助監督の経験もなくって1作目はわけのわからないままやっていたので、パート2はいろいろ考えた上で撮影に入っていくやり方をしていて『霊のうごめく家』という作品ではガチガチの絵コンテを描いて絵コンテどおりに撮っていたんです」と当時を振り返りました。
トークショーではさらにホラーの傑作として高い評価を得ている『霊のうごめく家』(「第二夜」収録)を例に「どうしても役者さんって“お化けを見ました、キャー怖いです”というお芝居をするんですけど『霊のうごめく家』を撮っているときは“それはやめてください”って。ぼくが小学生のときに幽霊らしきものを見たときはなんとも思わず“なんだこれ?”とジッと見ていた。だから“とにかくジッと見てくれ”って」と、鶴田監督自身の体験に基づいた演出の秘密が明かされました。
ビデオ版「ほんとにあった怖い話」について語る鶴田法男監督。左は司会の林田沙希絵さん
夜の部では、2013年に公開された鶴田監督の劇場用作品『トーク・トゥ・ザ・デッド』が上映され、上映後には俳優・ラジオパーソナリティーの岡村洋一さんの司会により、鶴田監督と『トーク・トゥ・ザ・デッド』に出演している女優の桜井ユキさんのトークショーがおこなわれました。
話題作への出演が続き注目を集めている桜井さんは、オーディションで選ばれ出演した『トーク・トゥ・ザ・デッド』が初めてメイン級の役を演じた作品。多彩な役柄をこなす桜井さんを「カメレオン女優」と評する鶴田監督は『トーク・トゥ・ザ・デッド』出演時の桜井さんについて「(その時点では)実績もないし、オーディションで選んだのに、あるレベルで来たから“これはすごい!”と思って。そのあともいろいろ(作品で)声をかけてたんだけど、こういう人に限って忙しくなっちゃうんだよね(笑)」と笑いも混じえて語り「もう、(忙しすぎて)連絡つかないくらいの人になってほしい」と桜井さんのさらなる活躍にエールを。
司会の岡村さんは鶴田監督の「恐怖という感覚は人間に必要」という言葉を引用し「ホラーというものは人のなにかの役に立つのかもしれないと思うんですね。(ホラーである)『トーク・トゥ・ザ・デッド』で桜井ユキさんが初めて大きな役で世に出てきたというのは、いい始まりのような気がしますね」とコメントしました。
また、桜井さんと岡村さんは8月29日に放送されるテレビ版「ほんとにあった怖い話・夏の特別編2015」に出演しており、特別にこの上映会限定の予告編も上映。桜井さんは久々となった鶴田作品への出演について「監督さんとしての鶴田さんにお会いするのがほんとに久しぶりだったので、現場に入れたのが嬉しくてホッとする感じというんですか、撮影も楽しかったんですけど“帰ってきたな”という感じでした」と感想を述べました。
トーク中の岡村洋一さん、桜井ユキさん、鶴田法男監督。(左より)
今回の「鶴田法男監督作品集」は、15分のオリジナルショートームービーを広く募集する「グローイングアップ映画祭~鶴川ショートムービーコンテスト」のプレイベントのひとつとして開催されたもの。鶴田監督は、ビデオ版「ほんとにあった怖い話」を企画した際に監督が和光大学在学中に制作をはじめた自主制作短編映画『トネリコ』を製作会社や原作コミックの出版社に見せて企画を実現させたというエピソードを紹介し「『トネリコ』がなかったらぼくはここに立っていないです。ぼくはひたすら映画が好きで“映画というのはこういうふうに作るんだな”と感じたところで作っていただけだから、それでもなんとかなるんです。やりたいと思うことがあったら見よう見まねでもいいからやっていって、そこを足がかりにしていくとこうやってつながってくるので、気概のある方はぜひコンテストに応募していただきたいなと思います」と、コンテストへの応募を呼びかけました。
「グローイングアップ映画祭~鶴川ショートムービーコンテスト」は9月30日(水)締め切りで作品が募集されており、11月10日(火)より21日(土)まで和光大学ポプリホール鶴川1Fサロンにてノミネート作品を上映し来館者による投票を実施、11月23日(月・祝)にグランプリ作品の選考と授賞式がおこなわれます。
そして鶴田監督が「ほとんど自分のライフワーク」と語る「ほんとにあった怖い話」の最新作となる「ほんとにあった怖い話・夏の特別編2015」は、人気グループ・Kis-My-Ft2の玉森裕太さん、芥川賞受賞も話題の又吉直樹さんや、斎藤工さん、中条あやみさん、観月ありささんら豪華キャストが出演し、8月29日(土)にフジテレビ系列で全国放送されます。