ベテラン俳優・近藤芳正さんが初の映画主演をつとめたハードボイルド作品『野良犬はダンスを踊る』が10月10日にユーロスペースで初日を迎え、近藤さんと共演の柳英里紗さんら出演者、窪田将治監督が舞台あいさつをおこないました。
『野良犬はダンスを踊る』は、近藤さんが演じるクールなベテラン殺し屋・黒澤が主人公。年齢による衰えを感じはじめた黒澤の迷いと葛藤や若いホステスとの恋愛などがシリアスなタッチで描かれていきます。
40年近い俳優のキャリアで映画初主演、さらにこれまでとイメージの違う役に挑んだ近藤さんは「初めての主演ということで、50過ぎてオジサンが初めて主演してますってそういう映画です(笑)」とあいさつ。「初めてのベッドシーンもあり、初めてのハードボイルドな役と、初めてづくし。オジサンいっぱい初めてのことに挑戦してますんで、あたたかい目で観てもらえたらと思います」と照れたような表情も見せながら話す近藤さんにはあたたかな拍手が送られました。
ホステスの美織役で近藤さんとラブシーンも演じている柳英里紗さんは「近藤さんの初めての相手に選ばれまして(笑)」と自己紹介し「初めての方がいらっしゃったので私が頑張ろうと思って、私が頑張る必要もなかったんですけど(笑)」と振り返りました。
近藤芳正さん「初めてづくし」の主演映画公開 『野良犬はダンスを踊る』初日舞台あいさつ
海外の映画祭にも参加し「いろんな初体験をさせていただいて、映画祭にも連れていっていただいて、ほんとに貴重な経験にもなりました」と黒澤宗之役の近藤芳正さん
ホステス役に「身近にもいないですし、私にとってすごい挑戦だと思いました」という米沢美織役の柳英里紗さん。「みなさんがどういう感想を持つのか楽しみです」
「2度3度観てもらったら(登場人物)それぞれにストーリーがあるので、それを楽しんでもらえるんじゃないかと思います」と若き殺し屋・林田洋平役の加藤慶祐さん
窪田監督は「近藤さんありきの企画だったので、近藤芳正をどう料理しようかというのが一番で、誰も見たことがない近藤芳正を見せたい。(近藤さんは)こうおっとりとした優しい感じなんで、それが殺し屋で人を殺すってなるとちょっと怖いんですよね。見ていてもグッと来ますしね」と、近藤さんを殺し屋役で起用した意図を説明。
黒澤に殺しを依頼する男・高山を演じた木下ほうかさんは、近藤さんの殺し屋役について「(実際に)いそうで怖かった」と印象を語り「意外性ですよね。意外性ってすごい面白いから」と評しました。
「濃密にじっくり観てもらえたら嬉しいなと思います」と、若き殺し屋・秋元創輝役の鈴木勝吾さん。「ぼくも殺人シーンがあるので、ぜひ観ていただけたらいいかな」
高山雅彦役の木下ほうかさんは舞台あいさつ前に窪田監督と呑んでいたそうで、いい調子の発言を近藤さんが「ここ居酒屋じゃないですからね(笑)」とたしなめる一幕も
脚本も担当した窪田将治監督は「いろいろドラマがある中で“近藤芳正がどう踊るのか”みたいなのがあったので、(殺し屋という設定は)正解でしたよね」とコメント
近藤さんは「ぼく主演ではありますが、木下ほうかちゃんがいたり、恋人役の英里紗ちゃんがいたり、ぼくの部下役の慶祐とか勝吾とか、みんなすばらしい演技をしていますので、みんなの体温をたぶん感じられるんじゃないかと思います。その体温をどうか楽しみにして観てください」と舞台あいさつを締めくくりました。
カナダで開催されたモントリオール世界映画祭"Focus on World Cinema"部門にも選出されている『野良犬はダンスを踊る』は、10月10日(土)よりユーロスペースより順次公開。また、11日(日)に金子修介監督、13日(火)に山口雄大監督、14日(水)に細野辰興監督、15日(木)に榊英雄監督、19日(月)に松村克弥監督をゲストに迎え窪田監督とのトークショーがおこなわれます。