ロックバンド・黒猫チェルシーのボーカルで俳優としても活躍する渡辺大知さんの第1回監督作『モーターズ』が11月14日に新宿武蔵野館で初日を迎え、渡辺監督と出演者の犬田文治さん、木乃江祐希さんらが舞台あいさつをおこないました。
PFFアワード2014で審査員特別賞を受賞している『モーターズ』は、渡辺監督の東京造形大学卒業制作として作られた作品。主人公・田中の働く田舎の整備工場にひと組のカップルが訪れたことから始まる物語が描かれていきます。
渡辺監督は「2年前に撮影をして、劇場公開するくらいの気持ちではいたんですがなにも決まっていなくて、ほんとに志のみの小さなところからのスタートでした。多くの人に手伝ってもらい、支えてもらって、ときには迷惑もかけまくって、ようやく2年かかって公開することができました。ぼくは監督としてこの映画を作ったんですけど、関わってくれたみんなの映画であるというつもりです。ほんとに支えてくれた方たちには感謝しています。そんなぼくたちの結晶みたいなものを観ていただけたらなと思っています」と、待望の劇場公開を迎えての心境を語りました。
主人公・田中と同じ工場で働く新人・タケオを渡辺監督の大学の後輩である犬田さんが演じているのをはじめ『モーターズ』にはプロの俳優以外のキャストも大勢起用されており、渡辺監督は「プロかどうかじゃなくて、ひとりの人間としてぼくの作ったこの作品に愛を持ってやってくれる方で、ピッタリだなって思う人を選んでいったというかたちです」とキャスティングの理由を説明。タケオ役の犬田さんは「いまも緊張していますけど(撮影は)緊張しましたね。演技とかはできないんですけど、大知さんはそういう部分じゃなくキャラクターを見て選んでるんだと渋川(清彦)さんに言われたので、そうだったのかなと思います」と、主演の渋川清彦さんから助言があったことを明かし、渡辺監督は「みんなマンマでやってもらえた映画だと思います。渋川さんは撮影の前日に犬田くんを家に遊びに連れてってくれて、それで犬田くんもガラッと変わって、すばらしい佇まいを見せてくれました」と振り返りました。
2年かけての公開に渡辺大知監督「支えてくれた方たちに感謝」 『モーターズ』初日舞台あいさつ
「(映画を観終わって)気に入っていただけたらいろんな人に勧めてほしいなと思います。大きな第一歩な気がして、今日すごく嬉しいです」と渡辺大知監督
タケオを演じた犬田文治さんは「大知さんからタケオといういい役をいただいて、自分でいいのかなと思ったんですけど(笑)」と緊張をのぞかせつつあいさつ
「大知さんのいいところとウワッて思うところとが両方反映されていて、とても美しくて人間臭くて大好きな作品です」と、ヒロイン・ミキ役の木乃江祐希さん
ハンバーガー屋で勤務中、店に来た監督に出演を依頼されたという前田役の前田裕樹さん。「ぼくから観てもすごく面白くて、大知らしい映画だと思います」
鹿江役の鹿江莉生さんは現役の整備士。「いまでも映画に出演したってことが信じられなくて、監督が間違ってるんじゃないかなっていまだに思っています(笑)」
「大知くんとずっと一緒に生活して、書いて、会議をして」脚本を作っていったという共同脚本の磯龍介さん。盛況のスタートに「ほんとにありがたいですよ」
渡辺監督は「人と人が出会ったら、特別なこととかがなくてもそれだけで空気が変わっていくというか、そういうのにぼくはグッと来るんです。特別なことが起こらなくてもそれまでの自分となんか変わった気がするというか、そういう出会いの美しさみたいなものが書けたらなと思いました。生きることというのは“その人らしい生活を送ること”だなってたまに思うんですけど、この映画を観て“俺は別に大したことをしてないけれど、これも幸せだな”って思ってもらえるようなものになったらなと思っています。ゆっくり観てください」と作品に込めた想いを述べて舞台あいさつを締めくくりました。
『モーターズ』には、舞台あいさつ登壇者のほか、主演をつとめる渋川清彦さんや個性派・川瀬陽太さんらが出演。11月14日(土)より27日(金)まで新宿武蔵野館で2週間レイトショー上映されるほか、全国順次公開されます。