多くの映画の題材となってきた“ゾンビ”を独特な角度から描いた短編『ニート・オブ・ザ・デッド』(南木顕生監督)と『遺言』(木部公亮監督)の2本が6月13日(土)より2週間にわたりユーロスペースにてレイトショー上映されます。
劇場用映画やビデオ作品・テレビドラマなど多くの作品で脚本家として活躍してきた南木顕生(なんき・あきお)監督の初監督作品となる『ニート・オブ・ザ・デッド』は「ひきこもりの息子がゾンビになった」という設定の“ゾンビホームドラマ”。人々のゾンビ化が始まった世界で、ゾンビになったひきこもりの青年とその両親のドラマが、コミカルに、しかしシリアスなテーマも投げかけながら描かれていきます。
一家の両親役で主演をつとめるのは、日本映画界に欠かせない実力派である木下ほうかさんと筒井真理子さんのふたり。さらに、金子修介監督の長男・金子鈴幸さんが息子役で本格的スクリーンデビューを果たし、かつて『昭和残侠伝』シリーズなどを手がけた名プロデューサー・吉田達さんが映画初出演。そのほか、カルト俳優のホリケン。さんやタレント・作家の白河理子さん、映画監督の白石晃士さんら、異色のキャストが共演しています。
南木監督は『ニート・オブ・ザ・デッド』撮影後の2014年4月に病気のために急逝しており、本作は初監督作であると同時に遺作ともなっています。
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ふたつの角度でゾンビを描く短編2本が6月13日より2本立て公開
『ニート・オブ・ザ・デッド』より
『遺言』より
オリジナルビデオ作品「トカレフ2010 運命の撃鉄」の新鋭・木部公亮監督の『遺言』は、ゾンビが蔓延した世界を舞台にした、ひと組の夫婦をめぐる物語。ゾンビ化した夫を自宅にかくまい介護を続ける妻と、ゾンビを排除しようとする自警団に所属する男の関係が、シリアスなタッチで描かれていきます。
日本公開に先駆け、ドイツの「ジャパン・フィルムフェスト ハンブルグ2013」、ホラーを中心としたイギリスの映画祭「ブラム・ストーカー国際映画祭2014」と海外でも上映され独特の作品世界が好評を得ており、満を持しての日本一般公開となります。
それぞれ独立して制作され作品のテイストもまったく異なる『ニート・オブ・ザ・デッド』と『遺言』ですが、両作品とも“ゾンビ”という題材を通して身近な人への想いを描いた作品になっており、2本立て上映されることにより、それぞれの作品のテーマがより深く感じられ、また単独で鑑賞した場合とは異なった見方ができるに違いありません。
ユーロスペースでは公開初日の6月13日(土)に両作品の出演者と木部監督による舞台あいさつがおこなわれるほか、公開期間中には両作品にゆかりのあるゲストを招いてのトークショーも開催されます。