舞台あいさつをおこなった寺脇研プロデューサー、佐野和宏監督、円城ひとみさん、蜷川みほさん、芹澤りなさん、川瀬陽太さん、飯島洋一さん(左より)
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ピンク映画界で活躍し「ピンク四天王」のひとりに数えられた佐野和宏監督が18年ぶりに監督に復帰し主演もつとめた『バット・オンリー・ラヴ』が4月2日に新宿K's cinemaで初日を迎え、佐野監督と共演の円城ひとみさん、飯島洋一さんらが舞台あいさつをおこないました。
佐野監督が脚本・監督・主演をつとめた『バット・オンリー・ラヴ』は、病気のために声を失い妻とふたりで暮らす男が主人公。一人娘が実の子でないと知らされた男の心の彷徨がエロティックな表現を交えて描かれていきます。
佐野監督は2011年に喉頭ガンのため手術で声帯を摘出しており、舞台あいさつでは筆談ボードに書いた言葉を司会の寺脇研プロデューサーが代読するかたちで「久しぶりの作品で緊張しました」とあいさつし「現場は絶好調だった」と、久々の監督としての現場を振り返りました。
佐野監督は現場でも筆談によりキャスト・スタッフに指示を伝えており、主人公の娘・久美子を演じた芹澤りなさんは「佐野さんに初めて会った日から私は娘でした。(佐野さんが)なにを伝えたいんだろうということをすごく知りたかったので、なにも障害を感じたことはありませんでした」と撮影中の様子を語り、主人公の妻・晴美を演じた円城ひとみさんも「私もあまりそれ(監督が喋れないこと)に苦労はしなかったので」とコメント。
佐野監督は自らマイクを持ち、キャストに「感謝しています」と微かな声で謝意を伝えました。
飲み屋の客役で出演している川瀬陽太さんは、スケジュールの都合で舞台あいさつ終了間際にギリギリで登壇し「佐野さん、ほんとに帰ってきたね。テレンス・マリック(※約20年のブランクを経て復帰したアメリカの映画監督)ばりに帰ってきたね。よかったよかった、バンザーイ!」と佐野監督を祝福。ピンク映画との関わりの深い川瀬さんは「佐野さんとか下元史朗(現・史朗)さんとか、亡くなった伊藤猛もそうなんですけど、そういった俳優陣がぼくらの先にいてくれて、そのおかげでこうやってずっと飯食っていられるというのは正直あるので、佐野さんの映画には出ることがなかったので、ほんとに今回チョロっとでも(出演できて)」と、佐野監督作品初出演の喜びを語りました。
『バット・オンリー・ラヴ』は4月2日(土)より新宿K's cinemaにて上映中ほか全国順次公開。K's cinemaでは、公開期間中に佐野監督は連日来場し、ゲストを招いてのトークイベントも多数開催。同劇場では4月2日(土)より8日(金)までの1週間、佐野監督の旧作を上映する特集上映する「佐野の声を聴け!」も開催されています。
また、4月9日(土)には『バット・オンリー・ラヴ』で助監督をつとめた坂本礼監督がメガホンをとり佐野監督が主演する『夢の女 ユメノヒト』がポレポレ東中野で公開され、K's cinemaとポレポレ東中野の共同企画として『バット・オンリー・ラヴ』と『夢の女 ユメノヒト』の相互割引が実施されます。