舞台あいさつをおこなった小林竜樹(こばやし・りゅうじゅ)さん、太賀(たいが)さん、黒川芽以さん、中川龍太郎監督(左より)
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若手男優の太賀さんを主演に迎えた新鋭・中川龍太郎監督の新作『走れ、絶望に追いつかれない速さで』が6月4日に渋谷ユーロスペースで初日を迎え、太賀さんと中川監督、共演者の小林竜樹さんと黒川芽以さんが舞台あいさつをおこないました。
中川監督が前作『愛の小さな歴史』に続いて史上最年少での東京国際映画祭スプラッシュ部門2年連続出品を果たした『走れ、絶望に追いつかれない速さで』は、親友の死を経験した青年・漣が、親友が描き遺した絵に描かれたかつての同級生に親友の死を知らせるため旅に出るストーリー。
「親友の死」というストーリーは中川監督の実体験をもとにしたもので、監督は「脚本を書きだしたのがちょうど2年前のいま時分で、自分の実体験をもとにしたということもあってうまくいかないなというところがあったんですけど、この映画はスタッフもキャストもほとんど同じ世代の人たちで作っていて、スタッフのみなさんももちろんですし同じ世代の若い役者さんたちにも助けてもらって作ることができて、ほんとにありがたいと思っています。ゆとり世代が作った映画ですけど、厳しく観てくださったらと思います(笑)」と、1990年生まれの監督はじめ若いスタッフ・キャストが集まった作品をアピール。
主人公の漣を演じた太賀さんは、自身が経験したことのない「親友の死」という役の設定に難しさも感じたそうですが「撮影前に監督と酒を飲みながら青臭い話をしたり、寄り添う時間がすごくあったんですね。その中で“親友が死んでしまった人はどんな感情を抱いて日々を生きているのかな?”と思うと、監督はずっと戸惑いながら日々を生きていると感じて、ぼくは演じる上での答えを探したかったんですけど“そんなことに答えなんかないよな”と正直思って、だから俺も戸惑いながらこの作品の中で精一杯生きていければいいんじゃないかと思いながら演じました」と振り返りました。
漣の親友・薫を演じた小林竜樹さんはプライベートでも太賀さんと仲がよく「太賀くんとの普段の関係性は、親友という役をやるにあたってすごく助けられたという感じがしていて、本来は現場に入る前とか現場に入ってから作り上げていくものにスッと一緒に入れた感じはしています。気をつけたのは小林竜樹という人間と薫という役は別人なんだと意識することだけで、太賀くんが漣としていてくれたので、それだけで充分でした」と役についてコメント。
薫の元・恋人で漣とともに旅に出る理沙子を演じた黒川芽以さんは、中川監督の熱烈なオファーを受けて出演を決めたとのことで「監督に“黒川さんでお願いしたいんです”とお手紙をいただいて、この仕事をしていて“この人だけを必要としている”というのはほんとに嬉しいことで、その情熱をしっかり受け止めたいという気持ちになりましたし、そういった作品に参加できるということがものすごく嬉しいと思ったので、ぜひやらせてくださいとお願いしました」と話し、中川監督は「女優さんとして素晴らしいからなんですけど、映画のもとになった亡くなった友人が黒川さんのファンだということもあって、ぼくもあの世に行ったとき“俺、黒川さんと仕事したんだよ!”と自慢するという気持ちもあって(笑)、お願いしました」と、物語のモデルとなった親友への想いも込めたキャスティングであることを明かしました。
太賀さんは「ぼくたちはやることはすべてやったつもりです。言い訳はしません。ほんとにフルスイングで全力でやったので、どうかみなさんの心に届きますように祈るばかりです」と、中川監督は「太賀くんが言ってくれたとおり、ほんとに言い訳のしようもないので、作品を観て感じたことをぶつけていただけたらと思います」と、それぞれ映画公開を迎えての心境を述べ、舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇の太賀さん、小林さん、黒川さんのほか、藤原令子さん、寉岡萌希さん、松浦祐也さんら注目の若手俳優が出演している『走れ、絶望に追いつかれない速さで』は、6月4日(土)より渋谷ユーロスペースにて3週間レイトショー上映(土日はモーニングショー上映もあり)されます。