人気劇団・ヨーロッパ企画の永野宗典さんが主演をつとめる手塚悟監督の長編デビュー作『Every Day』が７月23日に新宿K's cinemaで初日を迎え、永野さん、同じく主演の山本真由美さん、音楽のharuka nakamuraさん、手塚監督らが舞台あいさつをおこないました。

　これまで短編作品が国内の映画祭で高く評価されてきた手塚監督の初長編となる『Every Day』は、主人公・三井晴之の前に事故で昏睡状態にあるはずの恋人・辻村咲が現れてからのふたりの日常を詩情豊かに描いた作品。

　初日はレイトショーにもかかわらず満席でのスタートとなり、手塚悟監督は「私にとって、この場が劇場デビューの場になります。その大切な節目にみなさんに立ち会っていただきまして、ほんとに嬉しく思います。今日はありがとうございました」と、山本真由美さんも「満席でお客様に観ていただけて本当に幸せだなと、ここから『Every Day』が始まるなと、一緒に迎えられて嬉しいです」と、あいさつ。
　舞台あいさつはメインキャストが全員登壇を果たし、永野宗典さんは「３年前に撮った作品なんですけど、こうしてほとんどのキャストが奇跡的に再集合できて、なかば同窓会みたいな雰囲気もありまして、そしてこんなたくさんのみなさまに見守られて初日を迎えられたことがとても幸せです」と、初日を迎えての心境を語りました。

　永野さんは今回演じた役について「ぼくは演じることを始めてから22年経っていて、ようやくまっとうな役をいただいたんですね。劇団ではコメディばかりやっていて、パシリとか、債務者とか、カッパとか、人ならざる者も演じてきてね、そんな役どころばっかりだったんですけど、ようやく人間様のまともな役を(笑)。別れの映画ですけど、普遍的なことを描く大きな役を与えてくださったことに感謝しています」と、客席の笑いを誘う内容も交えながらコメント。
　手塚監督と山本さんは、最初に映画への参加が決まっていた山本さんが舞台で永野さんと共演しているのを手塚監督が見て永野さんの起用を思いついたと明かし、山本さんは「生きていく中でひとつひとつの縁が重なっていっていて、私が永野さんとヨーロッパ企画の舞台でご一緒して、そのとき（永野さんの中にあるものを）監督が見抜かれたというか感じられるものがきっとあって、そうしてつながっていってひとつの作品になっていったんだなって」と、作品に至る“縁”を振り返りました。
　また、咲の父親・芳雄を演じた山内健司さんは「不器用に悲しむといいますか、ほんとに寄り添えるとても優しい映画に関われて嬉しいですね」と、作品に参加しての想いを述べました。

　映画『Every Day』は、音楽を担当した音楽家・haruka nakamuraさんの曲「every day」に手塚監督が着想を受けて製作に至ったもので、映画の音楽も担当したharuka nakamuraさんは「８年前に作った１枚目のアルバムの１曲目の曲がこうして映画になって、生きていると不思議なことがあるなと思っています。映画の音楽を作りながら、たぶん映画を１００回以上観ているんですけど、役者さんみなさんのファンになってしまっていて、今日、楽屋とかで揃っているのを見てとても嬉しいです」と話し、原作の冨士原直也さんは「haruka nakamuraさんの『every day』という曲が大好きで、きわめて個人的な動機から書きはじめた『Every Day』という作品が、これだけのキャストとスタッフのみなさんに恵まれて、haruka nakamuraさんに音楽をつけていただいて、これだけたくさんのお客様に観ていただけるということで、幸せな気持ちでいっぱいです」と話しました。

　手塚監督は「すごい小さい規模の映画ではあるんですが、みなさん心を込めて演じていただいたり、裏でもスタッフが力の限りかたちにしてくれていますので、今日ご覧になって“よかったな”と思われた方は、ぜひお友達等におすすめしていただきたいです」と映画への応援を呼びかけるとともに「今日、この瞬間というのは二度とない瞬間で、このときしかありませんから、ぜひその思い出というか、どなたか一緒に映画を観にきた方がいらっしゃったら“この人と一緒に観にきたな”とか、そんなことをときどき思い出していただけたら嬉しいです」と、映画の内容にもリンクするようなメッセージで舞台あいさつを締めくくりました。

　『Every Day』は新宿K's cinemaにて７月23日(土)よりレイトショー上映中。上映期間中にはゲストを招いてのトークイベントも開催されます。