2015年開催の第28回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞した新世代の和製ノワール『ケンとカズ』が7月30日にユーロスペースで初日を迎え、ダブル主演のカトウシンスケさんと毎熊克哉さんらキャストと小路紘史監督が舞台あいさつをおこないました。
『ケンとカズ』は、高校時代からの腐れ縁で表向きは自動車修理工場で働きながら薬物売買で稼ぐふたりの男・ケンとカズが主人公。次第にそれぞれ違う生き方を目指すようになったふたりがあるきっかけから追いつめられていく姿が、ハードな暴力描写を交えながら描かれていきます。
これが長編初監督となる小路監督は「本日は、監督にとって人生に一度のデビュー作の初日なので、こんなにたくさんの方に観ていただいて本当に嬉しく思っています」とあいさつ。「この作品はもう4、5年前から制作を開始して、編集は2年半かかっているんですけど、長い期間で制作していると役者の人たちやスタッフに本当に完成したのか忘れられるということが起こるので、こういう場で初日を迎えられたことを嬉しく思っています。ぼくがこの作品で伝えたかったことは“映画の枠の中で映画を作りたかった”ということです。三幕構成で、ちゃんとした脚本があって、ちゃんとした役者がちゃんとした演技をした、ちゃんとした映画をみなさんに観てもらいたくて、ぼくはこの映画を作ったという感じですね」と、作品に込めた想いを語りました。
ケンを演じたカトウさんは「リハーサル期間も長かったので、ケンとカズがこの映画以前にどういう生活をして、お互いどういうことをしてきたのか、初めて会ったときはどうだったのかとか、初めて家に遊びに行ったときどうだったのか、初めて一緒にお風呂に入ったときどうだったのかとか(笑)、そういうことをエチュードしてやっていきました」と役作りを振り返り、カズ役の毎熊さんは「『ケンとカズ』という映画なのにふたりはものすごくドライというか仲良くするシーンとかはほとんどないので、その距離感は考えていました」とコメント。カトウさんは「実際の男同士の友人関係ってそんなにベタベタしていないと思うんですけど、(ケンとカズは)お互いに(自分に)ないものを持っているからなんとなく引かれあって、腐れ縁のようになっていったふたりの話だったんじゃないかなと思います」とふたりの関係について述べました。