トークショーをおこなった西川美和監督、本木雅弘さん、樹木希林さん(左より)
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本木雅弘さんが主演をつとめる西川美和監督の新作『永い言い訳』(10月14日公開)の特別試写会が10月3日に渋谷のユーロライブで開催され、上映前には本木さんと西川監督がトークイベントをおこない、ゲストとして樹木希林さんも出演しました。
西川監督が直木賞候補にもなった自著の小説を映画化した『永い言い訳』は、突然の事故で妻を失った人気小説家が主人公。妻の死に悲しみを持てなかった男が、同じ事故で亡くなった妻の親友の夫と子どもたちに出会い、交流を深めていく姿が描かれていきます。
津村啓のペンネームで活躍する主人公・衣笠幸夫を演じた本木さんは「映画が世の中にさらされる瞬間を迎えるのは出演者としてもドキドキする瞬間なんです」と公開を間近に控えての心境を語り「今回の話はしんどい部分もあり、ストーリーそのものはある意味で劇的な展開を迎えていくものではないのですが、ジワジワっとみなさんそれぞれの年齢、立場に響いてくるものがあると、私自身もできあがった作品を観て感じております。ぜひ、身につまされていただきたいと思っております」とあいさつ。
西川監督は「最初にアイディアが浮かんでから5年の歳月が経っているんですけど、こうやって(公開の)日にちが近づいてくると、いよいよ自分の手から離れて作品がお客様のものになっていくんだなと実感が湧いてまいりました」とコメントしました。
そして、観客のみなさんにはシークレットのゲストとして樹木希林さんが登場。『永い言い訳』には出演しておらず本木さんの義母という縁でイベントに出演した樹木さんの「義理の母をやらせていただいておりまして、身内に声がかかるということは(本木さんは)よほど交友関係というかお友達のいない俳優なんだなと思って、駆けつけてまいりました」というあいさつに客席からは笑いが起こり、本木さんは「いやいや、宣伝部の仕込みなんですけどね(笑)」と苦笑いを見せました。
樹木さんは、道具を置く位置にも厳格にこだわった茶人にたとえて本木さんを「利休みたいな人なんですよ」と表現。「そういう人ですから、この映画で西川監督と出会って、いい意味で50歳から俳優としてほころびて破けていく、そのほころびのところを監督にちょっと摘んでもらった、そんな感じがしましたね。だからこっからいろんなほころびたものがジワジワと出てくる、そうするとあと2、30年は俳優ができるかなと期待しています」と、身近な関係だからこその視点で『永い言い訳』での本木さんを評しました。
また、トークイベントでは「結婚・恋愛・お悩み相談会」と題して事前に来場の方々から寄せられた恋愛や人間関係に関する質問に3人が回答していき、その流れで樹木さんは「(人間の)根本の性格は絶対に変わりません」と断言。そのため樹木さんは『永い言い訳』のラストに「そうかな?」と思ったそうで「西川さんはまだ希望を持っているなあって」と、作品への感想を述べました。
フォトセッションでは、カメラマンの要望に答えて西川美和監督と樹木希林さんが本木雅弘さんと腕を組む親しげなポーズも
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トークイベントでは樹木さん、本木さん、西川監督のやりとりに客席からはたびたび笑いも起こり好評のうちに終了。本木さんは「内心、緊張感高かったんですけれども、やはり……うまく言えません(笑)。とにかく、ジワジワっといろいろ浸透していく映画だと思うので、みなさんぜひ劇場で」、西川監督は「この作品は、いろいろなかたちの“人のつながり方”があるのではないのかなと考えながら作った作品です。なので、家族とか夫婦とかそういう関係性に閉じこもらずにこの作品を受け止めていただけると、自分の周りの世界の見方も変わってくるかなと思います」と、それぞれメッセージを。
そして樹木さんは「監督なのにこんなに美人でしょ。それで性格が悪くないのね、珍しいわよね。性格が悪くない人って凡庸な作品作るんだけど(西川監督は)そうじゃない。こういう人たちがどんどん出てくると映画界も楽しみですよね。期待しております」と監督にエールを送りました。
本木さんのほか、ミュージシャンの竹原ピストルさん、CMなどで活躍する藤田健心とドラマで人気の白鳥玉季さんの子役ふたり、さらに堀内敬子さん、池松壮亮さん、黒木華さん、山田真歩さん、深津絵里さんら実力派が揃った『永い言い訳』は、10月14日(金)より全国ロードショーされます。