女優・中原翔子さんの初プロデュース作となるオムニバス映画『愛∞コンタクト』が11月５日に渋谷ユーロスペースで初日を迎え、主演の加藤夏希さんと広澤草さん、渡辺あい監督、中原さんらが舞台あいさつをおこないました。

　渡辺あい監督と深井朝子監督の若手女性監督ふたりが脚本も担当しメガホンをとった『愛∞コンタクト』は、ＡＶ界の伝説的監督・代々木忠さんのエッセイ「つながる セックスが愛に変わるために」が原作。「感電」「おはよう、マコちゃん」「LOVE REVOLUTIONS」の短編３編と、３作品をつなぐ幕間映像「interlude～つながる～」で構成されています。

　自尊心が高すぎる女優・愛子が主人公の「LOVE REVOLUTIONS」で主演をつとめた加藤夏希さんは「この役をいただいたときに“私もこんなふうに天狗になっちゃうときがあったな”とか、ちょっと自分自身に戒めの気持ちもあったり、でも愛子というキャラクターに私自身が憧れるような不思議な役で、撮影期間は短かったのですが、愛について“なんだろう？”と、撮影中も撮ったあともついつい考えてしまう内容でした。いろんなかたちの愛があるんだなということを感じ取ってもらえたらなと思います」と、年下の彼氏に執着するＯＬ・マコが主人公の「おはよう、マコちゃん」主演の広澤草さんは「いま（加藤さんが）おっしゃったとおりに、私も愛についていろいろ考えさせられる作品でしたし、いろいろなかたちの“愛とは？　つながるとは？”をそれぞれの作品でそれぞれのかたちで表現しているなと思います。私が演じたのはその中でも加藤さんと違う方向でブッ飛んだ役なんですけど、その辺も楽しんでいただければなと思います」と、主演をつとめての感想をコメント。

　「感電」「LOVE REVOLUTIONS」でメガホンをとった渡辺監督は「性愛だけじゃなくもうちょっと幅広い“愛”というものに対して必死に考えた映画です。みなさまの心にいい意味で引っかき傷を残せるような作品になっていると多と思います」と、「interlude～つながる～」演出と全３編の監督助手を手がけた淺雄望さんは「とても思い入れの強い作品になっていますので、最後まで観ていただいて、感想をいただけたら、そしていろいろお話ができたら嬉しいなと思っております」と、それぞれ作品公開を迎えての想いを述べました。

　加藤さんは、作品が撮影されたのがご自身の結婚翌月の２０１４年７月で、撮影最終日からちょうど２年の今年７月７日に出産したという作品との縁を紹介し「私自身の人生の分岐点の中にこの作品の撮影があり公開があり“愛についてしっかり考えなさい”と背中を押されているような感じで、私自身この作品と私はなにかあるな“つながって”いるなと感じています」と、作品のテーマにちなんだ作品と自身との「つながるエピソード」を披露。
　広澤さんも、作品で自身が演じた“マコ”にそっくりで名前も同じ友達がいると明かし「けっこう恋愛の相談とかも受けていまして“この子ダメだなあ”と思いながら相談を受ける立場でマコを見ていたんですけど、オーディションで台本の一部を見たとき“あの子を守ってあげたい、どうにかしてあげたい”という想いからすごく感情移入ができて、その子をイメージしながらやることですごくリアルにできたので、すごく私の中では“つながって”いたんですね。やりがいもありましたし楽しい経験になりました」と「つながるエピソード」を披露したのち「撮影後にマコが結婚したんですよ。ちゃんとした男をつかまえられたので、私も追いかけたいと思います(笑)」という報告を付け加え、客席を沸かせました。

　そしてスペシャルゲストとして原作者の代々木忠さんも登場。「３．１１のあとだと思います、マスコミでも我々の中でも“つながる”ということがいかに大事かということを意識する時代でした。ぼくは１９８１年くらいからビデオを撮っているんですけど、出演者と向き合う中で21世紀は女性性の時代だろうな、そうあるべきだなと強く意識するようになりました。それで、震災のあとに女性を意識し女性に向けた本として出させてもらったのが『つながる』でした。それを中原翔子さんが受け止めてくださって、ぜひとも映画化したい、しかも女性の監督でやりたい、主役も女性であると、それを聞いたときには驚きとそれ以上の喜びがあったのを思い出します。中原さんありがとうございます。監督ありがとうございました」と、映画化を実現させた女性たちに感謝の言葉を贈るとともに、来場の方々に「今日はゆっくり楽しんでいただければと思います」とメッセージを贈りました。

　以前の出演作の役名に由来する“早川ナオミ”名義で企画・プロデュースを手がけ「感電」では主人公の母親役で出演もしている中原翔子さんは「代々木監督の『つながる』に出会ってからもう５年くらいになります。ご縁があって映画化させていただくことになり、そこから３年近い月日が経ってしまいました。やっとここに立てて公開をするということで、スタートラインに立てた気になっております」と初日を迎えての心境を語るとともに、出産間近のため舞台あいさつ不参加となった「おはよう、マコちゃん」の深井朝子監督の名を挙げ「深井朝子監督もひじょうにこの日を喜んで楽しみに待っておりますので、深井監督が戻ってきてまた上映できるように、みなさまよろしくご支援のほどよろしくお願いいたします」と呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。

　舞台あいさつ登壇者のほか、「感電」主演の長谷川るみさんや、真山明大さん亜紗美さん、諏訪太郎さん、寺島進さんら若手からベテランまで多彩なキャストが揃った『愛∞コンタクト』は、11月５日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開中です（配給：OSD syndicate）。