各方面から注目されるロックバンド・OLEDICKFOGGY(オールディックフォギー)と、同バンドの最新曲『シラフのうちに』のミュージックビデオを手がけた川口潤監督の顔合わせによるドキュメンタリー映画『オールディックフォギー / 歯車にまどわされて』が8月11日より公開されることが発表になりました。
OLEDICKFOGGYは2003年に結成され年間100本におよぶライブを中心に活動中。カントリーやブルーグラスの要素を取り入れたハードなラスティックサウンドが人気で、ミュージシャンやクリエイターなどからの支持も多く、2014年には『クローズEXPLODE』(豊田利晃監督)に楽曲を提供し、演奏シーンに出演もしています。
メガホンをとる川口潤監督は数多くのアーティストのミュージックビデオを手掛けるほか、bloodthirsty butchersに密着した『kocorono』(2010年)、ミュージシャン・山口冨士夫さん晩年の活動を追った『山口冨士夫 皆殺しのバラード』(2014年)などの音楽ドキュメンタリーも送り出しています。
この強力な顔合わせで制作された『オールディックフォギー / 歯車にまどわされて』は、2015年に撮影がスタート。プランもないまま撮影を始めた川口監督は、10000kmを越える距離をバンドとともに移動しながらその活動に密着。バンドの日常やライブ、アルバム制作の模様などがカメラに収められています。
映画完成にあたり、OLEDICKFOGGYのボーカル・マンドリン担当の伊藤雄和さんと川口監督は以下のようにコメントを寄せています。
バンドを結成した当初、実は物凄く自信があって思い描いたシナリオ通りに事は進むと思っていた。バンドがどうゆう風にサクセスしていくかをまとめたスケジュール表なんかも作成してその時が来るのを待ちわびていました。勿論、努力もしました。僕は漠然と絶対大丈夫と確信していました。勿論、根拠などないのですが。しかし、そんな日々を繰り返す中、何も変わらない、何も起きない、誰も聴いてくれない、たまに訪れるチャンスすら掴めない。それでも根拠なき自信はその逆方向のエネルギーを飲み込み更に増幅して行きました。座薬を入れるようにその力は僕の内部に 100%届き、僕のアイデンティティーを蝕んで行きます。そんな中、去って行くメンバーもいました。その背中を見る度に思いました。「元オールディックフォギーって言って誇れるバンドになるよ」って。だから、進むんです。そんな事では立ち止まれないんです。最高の仲間で狂った6人の記録です。まだまだ途中だけど皆様にも付き合って貰えたらと思います。 ―伊藤雄和 / OLEDICKFOGGY
クサい。キタない。アブない。愛煙家がいつのまにか街の片隅に追いやられたように、生粋のロックバンドもいずれ蓋をされて世の中から閉め出される時が来るかもしれない。いやそもそも、もうそんな音楽を楽しめる時代じゃなくなるかもしれない。そうなる前に転がってきたこの映画の企画、これも何かの縁、ならば一丁そのバンドの音楽と佇まいに寄り添って、映画をでっちあげて時代にかしめ打ってみようじゃないか。ひょっとしたら、新しい時代を生き抜くカギが見つかるかもしれない―――そんなことを勝手に思いながら形にしました。これは土蜘蛛たちのモザイクな地下活動の記録です。演出面に一つふれるとしたら、私は今作で、カメラからはみ出てしまったバンドの「香り」のようなものをあぶり出してドキュメントするという、自分にとって新しい試みに挑戦しています。批評を恐れずなぜそんな危険な遊びに打ってでたのか。それはもちろん私自身の資質でもありますが、それ以上にこのバンドが「規格外」のボンクラの集まりだったからなのです。―川口潤監督