後列左より、宍戸英紀さん、紺野千春さん、Sharoさん、山中聡さん、前列に木下航志(きした・こうし)さん
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城戸賞受賞作のシナリオをふたりの監督のメガホンで映画化した『クロス』が7月1日にユーロスペースで初日を迎え、主演の紺野千春さん、原案・脚本の宍戸英紀さん、音楽と主題歌を担当した木下航志さんらが舞台あいさつをおこないました。
『クロス』は、殺人を犯した過去を持つ女性と、彼女に惹かれていく男性、やはり殺人の過去を持つ男性の妻の3人が織りなすドラマをエロティックな表現も交えて描いたサスペンスストーリー。プロデューサー・監督として数多くの話題作を送り出してきた奥山和由監督と、さまざまな監督の作品に参加する名カメラマンで本作が初監督となる釘宮慎司監督の共同監督作となっています。
上映後におこなわれた舞台あいさつは木下航志さんによる主題歌「Just a Closer Walk with Thee~輝く明日へ僕は歩く~」の生演奏で幕を開け、主人公・真理子を演じた紺野千春さんは「この作品は、闇でもがく人間のそれぞれの姿だったり、贖罪だったり、重いテーマなのですが、そんなこの作品の問いかけをみなさんにくみ取っていただいて、どこか片隅に残していただければ嬉しく思っています。そして、劇中音楽と主題歌を歌ってくださった木下航志さんという偉大なアーティストの存在を、みなさんの中にインプットしていただければ嬉しく思います」とあいさつ。
宍戸英紀さんは「賞を獲ったのが2013年の12月くらいなんですね。それから3年半くらいかかってようやっと映画にすることができて、みなさんにお目にかけることができました。とても感慨無量の1日です。ありがとうございます」と、公開を迎えての心境を述べました。
奥山和由監督と釘宮慎司監督が客席から舞台あいさつを見守る中、ふたりの監督の演出について質問された孝史役の山中聡さんは「素晴らしい演出で、目からウロコでした」と回答し、紺野さんも同じく「目からウロコでした」。本作が映画デビューとなる知佳役のSharoさんは「現場はほとんど釘宮監督が指導してくださって、(奥山監督が)全体の指揮をという感じで」とふたりの監督の役割分担を説明し「私は(映画の)現場が初めてで“これが普通なのかな”と思ったので、次の現場に入ったときに目からウロコが落ちるんじゃないかなと思います」と感想を述べました。
宍戸さんは「この映画の始まりというのは、ぼくが一面識もない奥山さんのところに押しかけて、受賞作の載っている『キネマ旬報』をお渡ししたところから始まったんですね」と振り返り「この映画ができたのは、奥山さんのおかげというのが一番なんですけど、それ以外にもスタッフ、キャストのみなさんに大変なご苦労を強いながら、釘宮さんはじめ、みなさんにがんばっていただいたおかげで素晴らしい映画になったのではないかと、ぼくは誇りに思っております」と、舞台あいさつをしめくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、ちすんさん、秋本奈緒美さん、斎藤工さんらが出演し、過去を背負い生きる人間の欲望や贖罪、愛や嫉妬を描いていく『クロス』は、7月1日(土)よりユーロスペースほかにて全国順次公開。
7月3日(月)には、ユーロスペースと同じビルにあるライブハウス・LOFT9 Shibuyaで木下航志さんに加えてシンガーとしても活躍する紺野千春さんとSharoさんが出演するライブが開催されるほか、紺野さんは14日までの公開期間中、連日劇場に来場し登壇します。