舞台あいさつをおこなった木引優子さん、箱木宏美さん、岩井七世さん、荒川泰次郎さん、西山由希宏さん、西田麻耶さん、佐藤慶紀監督(左より)
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新鋭・佐藤慶紀監督が死刑制度を題材に描いた『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』が9月9日に新宿K's cinemaで初日を迎え、佐藤監督と出演者の荒川泰次郎さん、西山由希宏さん、岩井七世さんらが舞台あいさつをおこないました。
『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』は、一人娘を殺された母親・晴美が主人公。娘の夫であった加害者の死刑囚・孝司との面会を繰り返すうちに孝司の死刑執行を止めようと行動する晴美の姿を通して、殺人事件被害者遺族の感情を描いた作品となっています。
佐藤慶紀監督は「この映画はそもそもぼくの個人的なプロジェクトから始まりまして、脚本を書いているときは自主公開も視野に入れてやっていたんですけど、こういう素晴らしい役者さんたちと出会えて、おかげでこういう劇場で公開させていただくことになりました。(出演者の)みなさんがいらっしゃっていますので、お名前やいろいろを覚えて帰ってください」と、俳優陣への感謝を込めてあいさつ。
死刑囚の孝司を演じた荒川泰次郎さんは、映画の脚本を読んだときに「なぜかこの田中孝治という死刑囚の役に惹きつけられるように入り込むことができて、絶対にこの役を勝ち取りたいとオーディションに臨みました。そしたら(役を)取ることができたのでよかったなと思っています。ここでごあいさつさせていただき、ほんとにありがたいです」と役への想いを語り、孝司に殺される妻・みちよ役の岩井七世さんも「私もオーディションの前に脚本を読ませていただいて、こんなに早く脚本を読み終わるのは初めてなくらい没頭して一気に読んでしまって、この映画に関われたら嬉しいなと思って受けたオーディションだったので、とても嬉しいです」と、荒川さんと同じく脚本に惹かれたと述べました。
主人公の竹内晴美を演じた西山諒(にしやま・りょう)さんは舞台あいさつは不参加でしたが、晴美の夫を演じた西山由希宏さんは西山諒さんについて「観ていただいたとおり、母親として、女性として、ものすごく芯の強さが見受けられたかと思います」とコメント。
また劇中では晴美を夫が突き飛ばすシーンがあり、西山由希宏さんはそのシーンについて「あそこのシーンはほんとに彼女(西山諒さん)の強い眼力に追い詰められまして、投げ飛ばすまでは台本上の設定だったんですけども、そのあとダメ押しに腹でも蹴っておかなきゃと思うくらい追い詰められていたので、相手側の演技で理性を吹き飛ばされた瞬間でした。それくらい意志の強い女性に役作りされていたかと思います」と、西山諒さんの役への意気込みが感じられるエピソードを紹介しました。
孝司の母を演じた箱木宏美さんは、孝司役の荒川さんの撮影の前日に、役として綴った「母からの手紙」をメールで荒川さんに送っていたことを明かし「荒川さんもいろいろ(演技の)プランを考えていらっしゃると思ったので、もし邪魔になるようだったら見ないでくれとお伝えして。私にとっても、(映画のストーリーで)描かれていない部分を演じるための大切な作業になりました」と振り返りました。
佐藤監督は「映画にはいろいろな映画があると思うんですけど、今回ぼくはこの映画で、なにかを問うわけでもなく、なにかを主張するわけでもなく、まして一方的に考えを伝えるわけではなく、みなさまに話しかけたいと思って作っています。ですので、このあと(劇場内を)ウロウロしていますし、上映期間中はなるべく劇場のロビーにいたいと思いますので、ぼくに話し返していただいてもいいですし、みなさんのお知り合いの方にこの映画を観て話したいことを伝えていただいたり、インターネットでもなんでも結構ですので、“話し返して”いただけるととても嬉しいなと思います」と話して舞台あいさつを締めくくりました。
釜山国際映画祭(韓国)ニューカレンツ部門正式出品、大阪アジアン映画祭上映、ヴズール国際アジア映画祭(フランス)で箱木宏美さんがスペシャルメンションを受賞するなど、国内外の映画祭で話題となっている『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』は、9月9日(土)より新宿K's cinemaほか全国順次公開されます。