舞台あいさつをおこなった武正晴監督、黒潮“イケメン”二郎さん、佐藤江梨子さん、瑛太さん、武尊(たける)さん(左より)
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佐藤江梨子さんと瑛太さんをダブル主演に迎えた武正晴監督の新作『リングサイド・ストーリー』が10月14日に初日を迎え、新宿武蔵野館で佐藤さん、瑛太さん、武監督と、共演の武尊さん、黒潮“イケメン”二郎さんが舞台あいさつをおこないました。
2014年の『百円の恋』が高く評価された武正晴監督3年ぶりの新作となる『リングサイド・ストーリー』は、プロレス団体でスタッフとして働くことになった江ノ島カナコと、カナコと同棲中の売れない俳優・村上ヒデオが主人公のラブコメディ。ヒデオがカナコと若手レスラーの仲を疑ったことから始まる騒動が描かれていきます。
劇中では、なかなか俳優として活躍できないヒデオの苦労が描かれた場面も多く、カナコを演じた佐藤さんは「“役者さんあるある”みたいなのがいろいろ出てきて、これはわかるなって思って、すぐに“やりたい!”って思いました」と脚本を読んだときの感想を述べ、劇中でヒデオが遭遇するさまざまなエピソードに「ヒデオのことを言われているのに自分が言われているみたいな気持ちになったりとか、そういうのはありました(笑)」とコメント。
ヒデオを演じた瑛太さんも「実際ぼくも、俳優という職業に就いたんだけど仕事が来ない時期がありまして、100円ショップでキャベツだけ買って食べていた時期もありましたし」と自身の経験を振り返りつつ「すごい(ヒデオに)共感できる部分もあって、オーディションに行ったら絶対にほかのやつとは違うことをやってやるという気持ちで取り組んだりとか、(映画の中で)“俳優は人に非ずって書くんだよ”って村上ヒデオは言っていますけど、道徳観とかそういうことも無視しちゃって、思い切り崖から飛び降りるような覚悟で生きていくというか、そういう勇気みたいなもの、それは今回演じてみて原点回帰できたというか、予定調和ではつまらないし、ただのお仕事にしたくないというか、挑戦し続けたいなということを、改めてヒデオに感じさせてもらいましたね」と、ヒデオを演じて得た想いを語りました。
また、佐藤さんと瑛太さん、武監督は公開直前の10月12日・13日に韓国でおこなわれた釜山国際映画祭に参加しており、佐藤さんは「映画の中で(ヒデオがカナコに)“カンヌのレッドカーペットを歩かせてやるよ! 特別な人にしか見えない景色を見せてやるよ!”って言うシーンがあったんですよ。私は実はカンヌは言ったことあるんですけど(※2007年に『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で参加)、釜山映画祭は初めてだったので、こういうのが特別なけしきなんだなって。ヒデオを信じてよかったと思いました」、瑛太さんは「サトエリさんが言ったとおりで、ヒデオの夢を半分叶えられたかなという気持ちでしたね、ぼくもいくつか映画祭に参加させてもらったことがあるんですけど、その中でもすごいお客さんの迫力といいますか、圧倒されて、韓国の方たちの映画への愛がすごいんだなということを感じましたね」と映画祭に参加しての感想を。
「出演してくれている人たちが素晴らしいので、隅から隅まで観ていただければと思っています」とあいさつした武監督も、釜山映画祭について「ほんとに、なかなか行けるところではないので、おふたりと一緒に行けてとてもよかったのと、また映画を作りたいなっていうモチベーションを上げさせてもらいました」と、参加が刺激となったことをうかがわせました。
『リングサイド・ストーリー』は、主人公のカナコがプロレス団体や格闘技イベントのスタッフとして働くというストーリーのため、人気プロレスラーの武藤敬司さんが本人役で出演するなど実際のプロレスラーや格闘家も出演。
格闘イベントK-1の有望選手・和希(かずき)役で初演技に挑戦したK-1チャンピオンの武尊さんは「格闘技の試合って、普段はリングの上だけしか見られることがないので、リングに闘いに行くまでの過程だったりとか、そういう部分を見せることが普段はないので、そういうところが観られるのがこの映画の見どころじゃないかなと思っています」「リングに上がるときは“自分が強いんだ!”って行くんですけど、上がるまでは闘いに向かう恐怖だったり不安だったりがあるので」と、格闘技の裏側を描いた作品ならではのポイントをアピール。
若手レスラー・梅宮健太役でやはり演技初挑戦のWRESTLE-1所属のプロレスラー・黒潮“イケメン”二郎さんも「プロレス界自体が盛り上がっていなくて、選手がみんな自分がチケットを売りに行くんですね、営業して。(そのシーンを)観てください! みんなやっているので」と、現実のプロレス事情を反映した場面を見どころに挙げました。
そんなふたりをはじめレスラー・格闘家の方々と共演して、佐藤さんは「やっぱりアスリートの方って、ほんとにまっすぐなんですよ。朝はちゃんとあいさつして、休憩時間もストレッチしてアップして“ちょっと打ってきていいですか?”みたいな。やっぱり試合前に撮影させていただいたりしているので、私もちゃんと体も鍛えなきゃな、みたいな」と、普段から鍛錬を欠かさない姿勢が印象に残った様子。
そして瑛太さんは「みなさん、ものすごい自然なお芝居ですし、イケメンさんなんて、二度見とかもすごいうまいですよね。俳優の二度見はやっぱり技術的にあるじゃないですか。すっごいうまいです。あとは、武尊さんのセリフの吐き方が最高ですね。(カナコと和希とヒデオの3人が絡むシーンで)ほんとにちょっとイライラしましたね、武尊さんの芝居が素敵すぎて。負けだと思いましたね」と、ふたりの演技を絶賛しました。
その瑛太さんの言葉に武尊さんは「公開される前からぼくの演技を瑛太さんが褒めてくださって、それがネットニュースみたいになってて、ハードルが上がっているのがすごい辛いんですよね(笑)。これで“(実際に演技を見たら)そんなにじゃない?”みたいになったら嫌だなって(笑)」と、やや困惑の照れ笑い。
また、武監督は「3年前にはまさかこんな映画を作るとはこれっぽっちも思っていなかったので、ほんとに映画って不思議だなって。ある日突然降ってくるんだなという。もちろん、リングの上の物語というのは前作(※ボクシングを題材にした『百円の恋』)にもつながるところがあるんですけども、プロレスとK-1、俳優さんたちという、その融合というのが、思いもつかぬところからできあがって今日を迎えているというのがすごく面白くて、舞台に上がるというのはみんなさまざまだと思うんですけど、そういうところで命をかけてやっている人と、それを支えている人たち、舞台を作ってくれている人たちの映画だと思っています」と、プロレス・格闘技と俳優という要素がミックスされた作品について語りました。
『リングサイド・ストーリー』では、ヒデオの「売れない俳優」という設定にちなみ、新宿と渋谷の公開劇場で、名前入りのチラシなど映画に出演したことを証明できるものを提示すると料金が割引になる「(自称)役者割引きキャンペーン」を実施中。
瑛太さんはそのキャンペーンを踏まえ「武監督の前作の『百円の恋』というたくさんの賞賛を得た作品がありますが、ぼく自身は『百円の恋』を『リングサイド・ストーリー』は超えたと思っています。そして、安藤サクラ! この映画を役者割りで観に来い!」と、『百円の恋』主演の安藤サクラさんへ向けたプロレスラー張りのマイクアピールを披露して会場を沸かせ「そして、シンプルに日本中のみなさんに観ていただきたいです」と落ち着いたコメントも付け加えました。
武監督は「少しでも気に入っていただければ、いろいろな方に伝えてあげてください」、黒潮さんは「瑛太さんに褒められた二度見が開始40分くらいであるので、ぜひ楽しみにしてください(笑)」、武尊さんは「ぼくの初演技の映画なので最後まで楽しんでください。それでちょっと格闘技に興味が湧いたら、K-1を観にきてください」と、それぞれコメント。
最後は佐藤さんの「映画でみなさんの気持ちが少しでも幸せになったら、それが幸せです」というメッセージで舞台あいさつは締めくくられました。
『リングサイド・ストーリー』は、10月14日(土)より、新宿武蔵野館、渋谷シネパレスほか全国公開されています。