今年1月末で惜しまれつつ閉館した映画館・ニュー八王子シネマの70年の歴史を締めくくるイベント「さよならニュー八王子シネマ」が、3月25、26日と4月1、2日に開催。大森一樹監督作品3本立てなど幅広い作品が上映されます。
1947年に東京・八王子市に開館したニュー八王子シネマは、入居するビルの老朽化による建て替え決定にともなって今年1月31日に閉館しました。今回のイベント「さよならニュー八王子シネマ」は、ビルの解体工事開始直前に開催されるまさに最後のイベントとなります。
3月25日には、大森一樹監督の劇場公開最新作となる松坂慶子さん主演『ベトナムの風に吹かれて』(2015年)のDVD化を記念して、『ベトナムの風に吹かれて』を大森監督の過去の作品『シュート!』(1984年)と『悲しき天使たち』(2006年)とともに3作品同時上映。当日は大森監督も来館し、サイン会や映画評論家の秋本鉄次さんとのトークショーもおこなわれます。
4月2日には、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した脚本家・足立紳さんの監督デビュー作『14の夜』(2016年)と、足立さんが脚本を担当した大崎章監督『お盆の弟』(2015年)を、足立監督と大崎監督のトークショー付きで2本立て上映。
同じく4月2日には、横浜の街角に白塗りの化粧とドレス姿で立っていた女性“メリーさん”を追った中村高寛監督のドキュメンタリー『ヨコハマメリー』(2005年)を上映。中村監督と映画監督・俳優の利重剛さんが2014年にスタートさせ、これまで横浜でのみ上映されてきた連作ショートフィルム『Life Works』も東京初上映されます。
このほかにもバラエティに富んだ作品がラインナップしています。
3月25日より26日にかけては、故・実相寺昭雄監督らが参加した特撮テレビシリーズ「シルバー仮面」(1971年)のBlu-ray BOX発売を記念して、なんと12時間以上かけて全26話を一挙上映するオールナイト上映「オールナイトは命がけ!! 『シルバー仮面』全話一挙上映会 in ニュー八王子シネマ」が開催。
3月26日には、河崎実監督の劇場最新作『大怪獣モノ』(2016年)のDVD&Blu-rayリリースを記念して「ツッコミ可能上映会!」と題して河崎監督や主演の飯伏幸太さんも参加するイベント形式で上映され、さらに4月2日には河崎監督作品と佐藤文則監督作品をまとめて上映する『「燃えよ電影エース」「シンクラッシャーカズヨシ」まつり』が、ゲストを迎えて開催されます。
「のっぽのグーニー」名義で活動するミュージシャン・田中淳一郎さんが映画初主演をつとめ、映画監督の鈴木卓爾さん、小説家としても活躍する女優・柴田千紘さんらが共演する黒川幸則監督『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』(2016年)と、同作に出演している只石博紀監督の『Future tense』(2013年)が4月1日、2日の両日上映。『Future tense』は初上映となります。
4月1日には、過去にTAMA CINEMA FORUMや下北沢レインボー倉庫で開催された映画と音楽のイベント「観る音楽、聴く映画」の番外編として、音楽と関連する作品を特集上映。オムニバス『全員、片思い』への参加などで知られる藤井道人監督の4作品や、さまざまなアーティストのミュージックビデオを手がける池田圭監督がロックバンド・COUNTRY YARDのミュージックビデオの続編として制作した『眩しくて見えなかったから長い瞬きを繰り返した』(2013年)、『にがくてあまい』の草野翔吾監督がメガホンをとり人気バンド・THE BAWDIESが初主演をつとめる短編『NEW』を上映。
4月2日には、犬や猫を飼うことの意味を社会問題を含めて考える市瀬秀和さん主演の古新舜監督作品『ノー・ヴォイス』(2013年)を上映。また2013年より開催されている「八王子Short Film映画祭」の各年受賞作を中心にしたセレクション上映も同日開催され、古新監督の最新短編も上映されます。
また4月2日には、今年2月に元AKB48の前田亜美さんとHKT48の多田愛佳さんのダブル主演で上演された舞台「緋色八犬伝」が舞台シネマとして上映され、主演の前田さん、多田さんと共演の杏さゆりさん、植野堀誠さんをゲストに迎えてのトークショーも開催されます。
各プログラムの詳細なスケジュールや料金などは、「さよならニュー八王子シネマ」公式サイトでご確認ください。
まさに70年の歴史を締めくくりにふさわしいフェスティバル感満載となったさよならイベント、ぜひこの機会に劇場に刻まれた歴史を作品とともに堪能してください。