たったひとりで制作する長編アニメとして話題の坂本サク監督『アラーニェの虫籠』で、主人公の声を人気声優の花澤香菜さんがつとめることが発表されました。同時にシネ・リーブル池袋ほかにて2018年全国公開されることも発表されています。
『アラーニェの虫籠』は、郊外の巨大な集合住宅を舞台に、主人公の女子大生“りん”が、続発する奇妙な事件や“蟲”の謎に迫っていくストーリー。ホラーを軸に、ミステリーやファンタジー、バイオレンス、サスペンスなどの要素が盛り込まれた作品となっています。
監督・原作・脚本・アニメーション・音楽と“一人五役”をつとめる坂本サク監督は、自主制作の短編アニメーションが国内外の映画祭で高く評価されている注目のアニメーション作家。監督として愛媛県松山市PRアニメ『マッツとヤンマとモブリさん』シリーズ(ROBOT製作/声の出演:水樹奈々ほか)やNHK「みんなのうた」アニメなどを手掛けるほか、押井守監督作品『イノセンス』ではデジタル・エフェクトを担当。さらにヒットドラマ「MOZU」のイラスト&アニメや、人気ホラーシリーズ「怪談新耳袋」タイトルバック映像など、実写作品のフィールドでも活躍しています。
アニメーションの世界ではこれまでも個人やそれに近い少人数で制作された作品は存在しますが、その多くは短編作品で、長編アニメをひとりで制作するという『アラーニェの虫籠』の試みは極めて異例。個人制作ゆえのこだわりと高いエンターテイメント性が融合した、これまでに類を見ない作品となることが期待されます。
主人公・りん役に決定した花澤香菜さんは、テレビアニメ「ゼーガペイン」「化物語」「PSYCHO-PASS」や劇場用アニメ『言の葉の庭』『夜は短し歩けよ乙女』など数々の話題作・ヒット作でメインキャラクターを演じる人気声優。
坂本サク監督は、花澤さんの出演決定にあたり「この作品の主演として具体的なイメージを固めていく中、当初、夢のように思い描いてたキャスティングです。花澤香菜さんの出演される作品を初めて拝見した時に、声自体の持つ質感、世界観が魅力的な方だなと感じたのをはっきり覚えています。」
とコメントしています。
すでに発表されているほかの声優陣は、謎の少女・奈澄葉(なすは)役に「仮面ライダーアマゾンズ」シーズン2でヒロインを演じるなど多方面で活躍しこれが声優デビューとなる白本彩奈さん、民俗学者・時世(ときよ)役に「特捜戦隊デカレンジャー」や人気ホラーシリーズ「心霊写真部」などの伊藤陽佑さん、呪術師・斎恩(さいおん)役にアニメ「ピンポン THE ANIMATION」ペコ役で声優デビュー作にして主演をつとめた片山福十郎さん、不可解な行動をする青年・未可耶(みかや)役に2016年開催「第十回声優アワード 新人発掘オーディション」で史上最多の15社にスカウトされたバトリ勝悟さん。
花澤さんも含め充実の声優陣により、坂本監督の描く美しいキャラクターが、さらに魅力的な存在として劇中に息づくことは間違いありません。
この意欲的なプロジェクトをプロデューサーとしてバックアップするのは、人気作「心霊写真部」シリーズ(原作・脚本)や多部未華子さんを主演に迎えた劇場用映画『こわい童謡』(監督・脚本/2007年)など、作家・映画監督としてメディアを越えて活躍するホラークリエイターの福谷修さん。監督・プロデューサーとしての経験から、坂本監督の作家性を最大限に発揮できる制作体制を作っています。
製作費を支援する国内向けクラウドファンディング(終了)に続き、現在は海外の映画祭出品費用のためのクラウドファンディングをアメリカの大手クラウドファンディングサイト・Kickstarterで実施中。開始後わずか2日間で目標額を達成、10月2日現在で当初の目標額の2倍以上の額が集まっており、海外での注目も高まっています。
海外向けクラウドファンディングページでは、映画監督の清水崇さんからの応援動画メッセージが公開中。また、第81回アカデミー賞短編アニメーション部門受賞作『つみきのいえ』の監督・加藤久仁生さんの応援メッセージも掲載される予定となっています。
花澤香菜さんの出演発表、海外でのクラウドファンディングも話題と、様々な角度からさらに注目を集めること必至の『アラーニェの虫籠』は、2018年シネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田ほかにて全国ロードショー。
劇場用アニメが大きなムーブメントを起こしている近年の日本映画界。その新たな風となることを予感させる『アラーニェの虫籠』の、公開に向けての今後の動きに注目です。