舞台あいさつをおこなった堀江貴大(ほりえ・たかひろ)監督、小柳友(こやなぎ・ゆう)さん、服部彩加(はっとり・さいか)さん、コンドルズのオクダサトシさん、コンドルズの山本光二郎さん(左より)
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コンテンポラリーダンスを通して自分の進む道を拓いていく女性の姿を描いた『ANIMAを撃て!』の完成披露試写会が3月15日に東京・飯田橋の神楽座で開催され、主演の服部彩加さんと共演の小柳友さん、メガホンをとった堀江貴大監督らが舞台あいさつをおこないました。
東京藝術大学大学院映像研究科で学んだ堀江貴大監督の商業デビュー作となる『ANIMAを撃て!』は、バレエダンサーの呉田果穂が主人公。クラシックバレエで将来を期待されつつも自分のダンスに迷いを感じていた果穂が、元ドラマーの青年・伊藤瑛と出会い、瑛のドラムに合わせたコンテンポラリーダンスで留学選考会に挑む過程と、瑛との関係が描かれていきます。
果穂を演じた服部彩加さんは「撮影してからもう1年近く経つのかと思って“ああ、あっという間だったなあ”という気持ちと、これから公開される、スタートなわけなので、すごいワクワクした気持ちでいっぱいです」とあいさつ。
伊藤瑛を演じた小柳友さんは「ここからスタートして、この『ANIMAを撃て!』が映画としてみなさんの心の中に残っていくというのは、すごく嬉しい気持ちです」と、脚本も手がけた堀江貴大監督は「今日、お越しいただいているみなさんがこの映画の最初のお客さまになるというか、観ていただいて(映画が)完成すると思うので、どういった感想がいただけるかというのがすごくドキドキします」と、一般の観客への初披露を前にした心境を語りました。
『ANIMAを撃て!』の大きな見どころとなるのが、実際に服部さんが踊り、小柳さんがドラムを演奏しているダンスとドラムのコラボレーション。
服部さんはクラシックバレエと新体操、競技ダンスの経験者ですがコンテンポラリーダンスは初挑戦だったそうで「(バレエなどとは)まったく別物で、クラシックバレエはけっこう重心が上なんですけど、コンテンポラリーダンスはけっこう力強さというか、エネルギー、パッションで動いていくというのと、かたちが決まっていないので、なんでもいいというのはある意味難しいなと思って、すごく苦労しました」とコメント。
また、振付は基本的に撮影前のリハーサルも含め即興だったとのことで、服部さんは「振付の北川(結)さんの考えでは、振付を与えてそれをやるというよりも、コンテンポラリーがなんなのかという質感であったりとかを学んでほしいというのがあって、振付はけっこう即興でしたね」と振り返りました。
ドラム経験者ながらドラムを叩くのは「5年ぶりくらい」だったという小柳さんは「5年ぶりに叩いて徐々に徐々にドラムに触れていったときに、ある意味進化していくのがどうやったら見えるかなっていうのを考えながらやって、それが自分としては苦労した部分でもありますけど、すごく楽しかったです」。
堀江監督は「ドラムとダンスという、音と身体という、言葉ではないところのやりとりで、ふたり(=果穂と瑛)の協調関係であったりとか、決裂した瞬間であったりというのを、音と映像で表現していくというのは、なかなか繊細なところではあると思うので、どう表現していくかというのは作っていく中で一緒に発見していきましたね。そこはちょっと難しかったといえば難しかったことですね」と、撮影しての感想を述べました。
また、舞台あいさつにはゲストとして、学ラン姿でコンテンポラリーダンスなどを披露するダンス集団・コンドルズのオクダサトシさんと山本光二郎さんも登壇。
オクダサトシさんは『ANIMAを撃て!』について「素晴らしかったです。表現に悩む、型通りをやっていくヒロインが、どっかで自我に目覚めて自由な表現を目指すというのは、まさにコンテンポラリーダンスの一番根幹」と賛辞を送り、映画の果穂と同じようにクラシックバレエからコンテンポラリーダンスの道に進んだ山本光二郎さんは「ぼくは偶然、面白い人(=コンテンポラリーダンスをやっている人)を見て“そっち面白いね”って行ったんですけど、ゼロから創るというとそれなりの覚悟があって、そんな気持ちはありましたね」と、自らの経験を映画と重ねて語りました。
そしてオクダサトシさんは偶然にも堀江監督と高校も大学も同じとあって「(ダンスを)観る人も大事なんですよね。これからダンスを観る人に、この映画がちょっと影響を与えてくれればいいなと思います」と監督にエールを贈り、堀江監督は「まさにぼくもコンテンポラリーダンスを観てその面白さに惹かれて“その面白さを伝えたい”というのが、まず第一にこの映画を作りたかったことなので、いまオクダさんがおっしゃってくださったように、観る人のコンテンポラリーダンスの入り口になったら、この映画を作った意味がすごくあるなっていうふうに思います」と答えました。
服部彩加さん(左)とトークを繰り広げる、ゲストのコンドルズ・オクダサトシさん(中央)、コンドルズの山本光二郎さん
舞台あいさつの最後には、服部さんは「ドラムとコンテンポラリーのセッションはもちろんですし、作品中に散りばめられたダンスシーンもたくさんあるので、そちらも観ていただきたいです」と、小柳さんは「ぼくがやらせてもらった伊藤瑛という役は、夢を諦めて、また新しい夢の向き合い方というか、そういうものを描ければいいなと思っていたので“夢とのつきあい方っていろいろなかたちがあるんだな”ということをいろいろな方に観ていただいて、そしてガムシャラにがんばった服部彩加さん、ほんとに素晴らしい輝いている服部さんを観ていただいて、ぼくはなんとなく観ていただければいいんですけど(笑)、ほんとにこの作品がたくさんの方に観ていただけることを願っています」とそれぞれ映画の見どころをアピール。
コンドルズのオクダさんは「ふたり(=果穂と瑛)の言葉がすごくきれいで、ダンスはもちろんプロから見て十分素晴らしいと思いましたけど、今時の人じゃないような美しい言葉のやりとりがすごく好きで、不思議な感じがしました。とっても印象に残っています」と別の角度から映画の魅力を挙げ、同じくコンドルズの山本さんは「小柳さんの口笛のところは“あり”だと思いました。とっても“あり”だと思います。それは観てのお楽しみ」と、映画を観るとわかるコメントを。
そして堀江監督は「ダンスとドラムという、言葉を使わないところのコミュニケーションもなんですけど、それ以外のお芝居でセリフがあるところの、ケンカであったりとか、ふたりの仲いいところとか、その瞬間がすごく輝いて映っていると思いますので、そういうところも観ていただけたらと思います」と話して舞台あいさつを締めくくりました。
埼玉県で毎年開催されている「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」の2017年オープニング作品として上映され好評を得た『ANIMAを撃て!』は、中村映里子さん、黒澤はるかさん、藤堂海さん、大鶴義丹さんらが共演。3月31日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開されます。