日本映画専門情報サイト:fjmovie.com

fjmovie.comトップページニュース一覧>「新しい吉川友さんが観られます」と川口浩史監督も自信 『チャットレディのキセキ』プレミア上映

「新しい吉川友さんが観られます」と川口浩史監督も自信 『チャットレディのキセキ』プレミア上映

記事メイン写真

誕生日を祝して贈られた花束を抱える吉川友(きっかわ・ゆう)さん(左)と、吉川さん誕生祝いのケーキを持つ川口浩史監督
※画像をクリックすると大きく表示します

 インターネットのライブチャットサービスを題材とした純愛ファンタジー『チャットレディのキセキ』が第3回秋葉原映画祭2018上映作品として5月5日にアキバシアターでプレミア上映され、主演の吉川友さんと川口浩史監督が舞台あいさつをおこないました。

 歌や演技などマルチに活動する吉川友さんと俳優集団D-BOYSの鈴木裕樹さんがダブル主演をつとめる『チャットレディのキセキ』は、学費を稼ぐためにチャットレディのバイトをしている音大生・結城美音(みお)と、ハンドルネーム“カノン”という男性が、チャットを通じて会話やピアノ演奏を交わす中で次第に惹かれ合っていくというストーリー。

 音大生の美音を演じた吉川さんは「音大生って憧れじゃないですか。the 女性という感じが私は(音大生に対して)あったので、音大生を演じられて貴重な体験になりましたし、チャットレディというのも本作を通して経験させていただいたので、いい思い出になりました」と役について語り、音楽活動と演技の違いについて質問されると「アーティスト活動のときは目の前にファンの方がいて、それを歌にして言葉にして伝えていけるというのがあるんですけども、今回は相手役の鈴木(裕樹)さんと一切鉢合わせないまま、ひとりの撮影が多くて、カメラに向かってフィルターを通して伝えるというのはすごい難しかったなと思いますね」と撮影を振り返りました。

 あまりパソコンを使わないため、この作品に携わって初めてチャットについて知ったという川口監督は「チャットというのは自分の正体をまったく見せずに話をする。そこで本音を出すということで、本音から始まっていくストーリーというのがこの世の中にあるというのがすごく面白くてですね、基本的に人間というのは社会に属している人が多いものですから、なにかしらしがらみというのがあるんですけど、それがまったくないところで話ができる、そういう世界が無限に広がるというのが面白いと思いました」と、チャットでのコミュニケーションを「素晴らしい世界」と評し「すごく勉強になりました」とコメント。さらに映画のもうひとつの題材である音楽に関して「そこ(=チャットの世界)にプラスして、ピアノというオールドメディアな手段ですけど、ピアノとパソコンが融合することによってなにかが生まれるんじゃないかと思って、ある種の実験的な映画を撮ってみたということがありました」と語りました。

コメント写真

主人公・結城美音役の吉川友さん

コメント写真

メガホンをとった川口浩史監督

コメント写真

フォトセッション時の吉川さんと川口監督 ※クリックで拡大します

 この作品で印象に残った点が質問されると、吉川さんは「ピアノをバリバリ弾けるという役だったんですけど、私は音楽活動をずっとしていますが楽譜も読めなければピアノも一切弾けない状態でこの映画に撮影に入りますと聞いて、急いでピアノのレッスンから始めまして、弾けないですけど当て振りでいかに弾けるように撮れるかというのが今回の勝負どころだったので、ぜひそこを観ていただきたいなと思いますね」と音大生役のための努力を挙げ、川口監督は「(主人公のふたりが)画面を通して会話をしてピアノを弾きあうんですね。同じ空間にいないふたりがどういうふうに空間を共有するかということを考えまして、映画でしかできない手法というのはなにかなと考えまして、そういうシーンがあります。ふたりが心を通わすというシーンを映像的に表現したんですけど、そんなところを観ていただけたら嬉しいと思います」とチャットでのコミュニケーションを表現したシーンを挙げました。

 また、映画祭にちなんで秋葉原のイメージも質問され、海外での映画作りが多く日本を客観的に見る機会も多いという川口監督は「必ず彼ら(=一緒に映画を作る海外のスタッフ)と話をしているときに出てくるキーワードが“秋葉原”です。それはなにかなと思ったときに、今回の作品にも出したんですけど、リアルというものと次元・空間が違うヴァーチャルな世界が融合している街だというのがすごく面白くて、それをどういうふうに外国の人に伝えていけばいいのかなというのが、ここの街の魅力なのかなと思いました。街を歩いていても“この奥になにがあるんだろう?”とワクワクしてくるような、新しいものと古いものが入り混じっているようなところが面白いなと思っています」と、吉川さんは「秋葉原は日本の方ももちろん多いですけど、海外から来る方も秋葉原に集うことも多いじゃないですか。だから海外に来ているイメージはすごくあります。あと、きらびやかとしているので写真スポット、インスタ映えと言いますか、いい場所だなと思っています」と、それぞれ答えました。

 そして、吉川さんが5月1日に誕生日を迎えたばかりということで、サプライズでスタッフから花束とケーキが贈られ、川口監督の「みなさん、おめでとうと一斉に言いましょう」という呼びかけで客席も一緒に「おめでとう!」の声をプレゼント。
 26歳になったばかりの吉川さんは「三十路への階段を着々と昇りはじめております」とジョークも交えながら「ありがとうございます」と感謝のメッセージを。
 川口監督は「映画の中でケーキが出てくるんですけど、撮影が終わった瞬間に群がるふたりの女性がいまして、吉川さんとメイクさんで(笑)」と、撮影中のケーキにまつわる裏話を披露して客席の笑いを誘いました。

記事写真

花束とケーキを贈られ「おめでとう!」の声を浴びる吉川さん。このあとロウソクの炎を吹き消し、会場から大きな拍手が起こりました
※画像をクリックすると大きく表示します

 川口監督は「新しい吉川さんが観られます。いつもの感じじゃないので期待して観ていただきたいと思います。こんな素敵な面もあるということで、もともと素敵なんですけど違う面もある。女優さんとしての吉川さんを観てください」と映画での吉川さんの魅力を強くアピール。
 吉川さんは「美音という役は、最初はちょっと内気と言いますかあまり溌剌とした子ではないのですが、チャットレディというお仕事をして、ひとりの男性と通じあって、音楽が大好きになって、そこからファッションとかメイクとかも変えて自信を持っていく。そんな、ひとりの女の子が自信を持っていく、成長していくお話になっているところを注目して観ていただきたいですし、チャットレディというものも日本だけでなく世界の方も興味ある文化、カルチャーだと思いますので、ぜひ海外の方にも観ていただけるような、愛していただけるような、そんな作品になればいいなと思っております」と話して舞台あいさつを締めくくりました。

 2010年公開の『トロッコ』で日本映画批評家大賞新人監督賞受賞など高い評価を得た川口浩史監督がメガホンをとり、ダブル主演の吉川友さんと鈴木裕樹さんのほか永いキャリアを持つ宮下順子さんらが出演する『チャットレディのキセキ』は、今後劇場公開が予定されています。

 『チャットレディのキセキ』がプレミア上映された「秋葉原映画祭(AFF)』は、2016年より開催されている、アニメやアイドル主演作などポップカルチャー作品を中心とした映画祭。2018年は5月3日より5日まで秋葉原UDXシアターとアキバシアターのふたつの劇場をメイン会場に、さまざまな趣向で多彩な作品が上映されました。

スポンサーリンク