大野いとさんと森崎ウィンさんの主演で日本人女性とベトナム人青年のピュアな恋愛を描いた『クジラの島の忘れもの』が５月12日に渋谷シネパレスで初日を迎え、大野さんと森崎さん、共演の黒田よし子さん、牧野裕二監督が舞台あいさつをおこないました。

　沖縄とベトナムでロケをおこなった『クジラの島の忘れもの』は、東京を離れ沖縄の旅行代理店で働きはじめた女性・愛美が、沖縄のＩＴ企業で働くベトナム出身の研修生・コアと出会い、コアの純粋な気持ちに触れる中で心の傷を癒していくというストーリー。ホエールウォッチングの名所として知られる沖縄・座間味島周辺で撮影されたクジラの姿も劇中に使われています。

　愛美を演じた大野いとさんは「今日はたくさんの映画がある中で、この『クジラの島の忘れもの』を観にきてくださって、本当にありがとうございます」とあいさつ。撮影で初めて訪れたベトナムについて「本当に心に残っていて、行きたい国でもあったのですごく嬉しくて」と印象を語り、撮影の際に現地の方から教わったという「お誕生日をお祝いするときに“おめでとう”と言ってケーキでお祝いしたあとに、自分の願い事を」それぞれが言うというベトナムの風習について「いい風習だなと思いました。日本でもはやるといいなと思いました」とコメントしました。

　コアを演じた森崎ウィンさんは「２日前まで雨が続いていて、初日にしっかり晴天に恵まれて、それはここに足を運んでくださっているみなさんのおかげだと信じております」と、公開初日が好天となったことを感謝するとともに「監督をはじめ、キャストのみなさん、ほかのスタッフさんのみなさんも精神的にすごく強いなって印象を受けました。短い期間でひとつの映画を撮るという大変さだったり、もちろんロケとかの状況も含め、その中で一丸となってみんなで乗り越えられたということで、その中の一員になれたことにぼくは幸せな気持ちでいっぱいです。なのでほんとに携われてよかったなと思います」と出演しての感想を。
　また、現在公開中のスティーブン・スピルバーグ監督作品『レディ・プレイヤー１』への出演でも注目されている森崎さんは、ベトナムロケの際「（森崎さんは）ベトナム語を喋れるわけではないし、向こうの方も日本語がわからないので、英語でコミュニケーションをとったりして」と『レディ・プレイヤー１』でも披露している英語が役に立ったと話し、現地の男の子からＳＮＳをやっていないのかと尋ねられた際に「ぼくはダンスボーカルユニット・PrizmaXに所属していまして、そのＳＮＳがあるので“フォローしてよ！”と言って、ひとり獲得しました」と、ベトナムロケでフォロワーを増やしたエピソードを紹介しました。

　愛美の母親を演じた黒田よし子さんは、牧野裕二監督は現場であまり演技について話はしないものの「（演技がこれでいいかと）訊くと的確に答えが決まっていて、方向をきちんと指示してくれるような、とても穏やかな静かな演出でした」と話し、牧野監督自身も「基本的には（キャストの）みなさんが作り上げてきたもの、現場に持ってきてくださったものが素晴らしかったので、ぼくはチョイスするだけというかたちでした」と撮影を振り返りました。

　これが長編初監督作となる牧野監督は、撮影がおこなわれた２０１７年の１月が沖縄では曇りが多い時期だと説明し「狙いとして、沖縄本島のパートは曇っていても（劇中で愛美とコアたちが訪れる）座間味島に渡ったときは晴れていてほしいなという想いがあったんですけど、なんとか座間味は晴天で撮りきれて、なおかつベトナムも前日まで雨予報だったんですけど撮影当日はカラッと晴れてくれて、いろいろなことに助けられた作品だなと思います」と、撮影が天候にも恵まれていたとコメント。
　森崎さんはその監督のコメントに反応し、これまでPrizmaXでの活動ではツアーや野外イベントなど「けっこうぼくがいると雨が降るというふうに言われていたんですね」と明かし「ほんとに（雨男だというのを）挽回したくて、ぼくはほんとに晴れ男なんですよ。というのをこの作品で証明できたなというのはありますね」と、冒頭のあいさつにもつながる“晴れ男宣言”で笑顔を見せました。

　さらに舞台あいさつ中盤では映画のタイトルにちなんだ「人生最大の忘れものは？」という質問も。
　牧野監督は「最近、歳を取ってきたからかもわからないですけど記憶を忘れてしまうって(笑)。昨日の夜の思い出とかお酒を飲むと忘れてしまう(笑)」と会場を笑わせ、黒田さんは20歳くらいのときに急いで出かけてワンピースの背中のファスナーを止めるのを忘れたという「忘れて恥ずかしい想いをした」経験を告白。
　森崎さんは、家を出るときに鍵を決まった場所に置くのを忘れてしまったため「この舞台あいさつが終わって、いろいろ（仕事が）終わったら、しばらく（家族）みんなが家に帰るまで家に入れないという状況」という今朝やったばかりの失敗談を、同じマンションに住むご近所さんとのエピソードも交えて披露しました。
　大野さんは「高校生から上京してきて仕事と学業を両立してやっていて、休みの日とかも（仕事で疲れて）寝ちゃうとかしていて、ほんとに友達と全然遊んでいなくて、もうちょっと渋谷とか原宿とか自由が丘とかで制服とか着て遊べたらよかったなというのは高校時代の忘れものですね」とあまり遊ばなかった高校時代を惜しみ、最近は学校を卒業してからも制服姿でテーマパークなどに行くのが流行だと勧められると「もう22歳なので制服は着られないです(笑)」と照れ笑いを見せました。

　大野さんは「私はこの映画で、国を越えて人を好きになって、恋愛して自分が前に進んでいくという物語が本当に好きです。この映画をたくさんの方に“ここがよかったよ”とか言って広めてくださったら本当に嬉しいです。今日は来てくださって本当にありがとうございました」と、森崎さんは「映画を観終わったあとなので、なにかみなさんが心の中で思うこととか、すごく感じたことたくさんあると思います。人それぞれ自由なので、ぼくとしては少しだけでもみなさんの日々の生活の中で、この映画を観て心がちょっとでも洗い流されたらいいなと思う部分もあるので、ぜひそこも感じていただけたらなと思います。本日はお越しいただきまして誠にありがとうございました」と、それぞれメッセージを述べて舞台あいさつを締めくくりました。

　沖縄とベトナムの美しい風景の中で純愛ストーリーが展開される『クジラの島の忘れもの』は、５月12日(土)より渋谷シネパレス、ほか全国順次公開されます。