劇中の重要なシーンで登場するひまわりの花を手にした草野翔吾監督、武田梨奈さん、高杉真宙(たかすぎ・まひろ)さん、松本穂香さん、水野勝さん(左より)
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写真部の高校生の青春を高杉真宙さん主演で描いた『世界でいちばん長い写真』(6月23日公開)の完成披露上映会が6月4日にイオンシネマ シアタス調布で開催され、高杉さんと共演の武田梨奈さん、松本穂香さん、水野勝さん、草野翔吾監督が舞台あいさつをおこないました。
『世界でいちばん長い写真』は、人気作家・誉田哲也さんが愛知県の学校での実話をもとに執筆した同名小説が原作。学校で写真部に所属する内気で消極的な高校生・内藤宏伸が、リサイクルショップで周囲360°の風景を撮影できるパノラマカメラを見つけたのをきっかけに、次第に前向きになっていく姿が描かれていきます。
東京での初披露を前に、宏伸を演じた高杉真宙さんは自ら「ソワソワしちゃって(笑)」と言うほど緊張の色を覗かせながら「ほんとに観ていただいた方全員が好きになってくれる映画だとぼくは思っていて、こうやって暑い夏を過ごした日々が公開されるんだなと思うと、早いなと思うと同時に“やっと来たか”というのがあって、早くみなさんに青春を届けたいなと思っております」とあいさつ。
草野翔吾監督は「去年の夏休みを全部閉じ込めようと撮って、そういう映画になったかなと思っていて、青春映画なんですけど作り物という感じがしないというか、ほんとに去年の夏あそこにいた人たちを撮ったような感覚もあって」と作品への想いを語り「(高杉さんや共演者が演じた)強い女性とちょっと弱々しい男の子と(笑)、そのほかにも魅力的な人がいるから、映画の中に自分(に近いキャラクター)を見つけてくれると嬉しいなと思います」とコメントしました。
高杉さんは、最初に脚本を読んだときの印象を「(物語の中で)大事件が起きるっていうわけでもないと思うんですけど、宏伸というなんでもない内気な男の子がカメラに出会って、色づいていく青春感がほんとにきれいで、目に浮かぶような光景がたくさんあって、その青春を自分は踏みしめたいなと読んだときに思いましたね。これがどんなふうに画になって、自分は役として生きていけるかなって。ほんとにきれいだなって最初は思いました」とコメント。
宏伸の従姉でリサイクルショップを切り盛りする竹中温子役の武田梨奈さんは、姉御肌で活動的な温子を演じるにあたり「私は普段は人見知りで受け身なんですけど、真宙くんには初日(撮影に)入ったときに、今日からタメ語で“梨奈っち”って呼べと、松本(穂香)ちゃんには、まだ全然喋ったことないのにいきなり部屋に押しかけて“いまからお祭り行こう”って」と、温子のように「グイグイ行こうと思って」年下の共演者に接していたというエピソードを紹介し「でも水野(勝)さんや吉沢(悠=写真館店主・宮本賢一役)さんは年上のお兄さんなので、普通に甘えて」と振り返りました。
写真部の部長で宏伸に厳しく接する三好奈々恵を演じた松本穂香さんは「普段だと、自分がやるんだと思ったら、役のセリフとかを素直に読めないんですけど、でも三好が素直に“好きだな、この子”という子だったので、素直に“好きだな”って思えるセリフとかもたくさんあったので、すごく楽しみだなって思いました」と最初に脚本を読んだときの印象を語り、撮影中の様子を「三好がほかの子たちとはちょっと孤立したところがあるので、自分の性格もあるんですけど、最初はそんなに(共演者の)みんなと仲良くはなれなくて(笑)、でも撮影が進んでいくごとに、みんなが優しく話しかけてくれたこともあって、最後にはすごく仲良くなれました」と話しました。
温子の旧友・小出智也を演じた水野勝さんは「ぼくは普段、愛知県名古屋でBOYS AND MENというグループで活動していて、普段使っている(愛知の)言葉を使いながら智也という役を演じたので、普段自分が使っている言葉を通して役を演じているというのがすごく不思議な気持ちになりましたし、すごく自分とシンクロ率の高い役だったなと思いましたね」。その役との「シンクロ率」の高さは、草野監督も「佇まいがあまりにナチュラル過ぎて」と評するほどで、水野さん自身も、ひまわり畑でのロケ中に観光客の方から関係者と間違えられてトイレの場所を尋ねられたという裏話を披露しました。
また、この日の上映会には原作者の誉田哲也さんが来場しており、高杉さんは出演者を代表して「自分たちがこうやって(原作を)預けていただいて、キャラクターをいただいてやらせていただくというのは、真剣にやっていかなきゃいけないと思っていますし、預けていただいたからにはまっすぐに演じて世界観を作っていきたいなと思ってやらせていただいたんですけど、純粋に楽しんでやらせていただきました。この作品があったからこそ、自分は去年の夏に青春を送ることができて、こうやってみなさんと撮影ができて、ほんとによかったなっていうのがあって、もちろん作品としてやらせていただきましたけど、自分の青春としてはノンフィクションとして撮影させていただいたんじゃないかなと思うほど、この『世界でいちばん長い写真』という作品にめぐり会うことができてよかったです。これから公開ですが、がんばりたいと思います」と、客席の誉田さんに感謝を込めたメッセージを伝えました。
そして高杉さんが誉田さんへのメッセージを終えると、草野監督は「これがあるから(出演者がみんな)ずっと緊張していたんですよ」と明かし、高杉さんも安堵の笑顔を浮かべていました。
舞台あいさつの終盤、締めの言葉を求められた高杉さんが「今回のこの撮影で、もう自分の本当の高校生活は忘れて、この(映画の中の)高校生活に記憶を」と話すと、水野さんが「(実際の高校生活で)なにがあったんだよ?(笑)」と笑いながら一言。高杉さんはそのツッコミに微笑みつつ「それぐらいほんと(映画での高校生活が)楽しかったんです」と続け「ぼくはほんとに日福(※映画のモデルでありロケ場所にもなった日本福祉大学付属高等学校)の生徒だと思っていますからね。それぐらいみんな仲の良い現場で、こんな素敵ないい環境で演技ができたことを幸せに思います。観た人が好きになってくれる映画だと思っていて、楽しくいい青春を送った思い出がたくさん詰まっています。ぜひ、応援よろしくお願いします」と想いを述べて舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、黒崎レイナさん、吉沢悠さん、ベテランの小松政夫さんらが出演し、多彩な登場人物たちをいきいきと描き出した『世界でいちばん長い写真』は、6月23日(土)よりシネ・リーブル池袋、イオンシネマにて全国順次ロードショーされます。