舞台あいさつをおこなった飯塚健監督、三浦俊輔さん、伊藤沙莉(いとう・さいり)さん、渋川清彦さん、森岡龍さん、滝藤賢一さん、余貴美子さん、片岡礼子さん、キンタカオさん(左より)
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群馬県渋川市出身の渋川清彦さんと飯塚健監督が“同郷タッグ”を組み、故郷の群馬を舞台に贈る『榎田貿易堂』が6月9日に新宿武蔵野館で初日を迎え、主演の渋川さん、共演の森岡龍さん、伊藤沙莉さん、滝藤賢一さん、余貴美子さんら出演者8人と飯塚監督が舞台あいさつをおこないました。
『榎田貿易堂』は、群馬県でリサイクルショップ「榎田貿易堂」を営む榎田洋二郎を主人公に、洋二郎や榎田貿易堂に集まる人々の身に起こるさまざまな“事件”を描いていく群像劇。
『榎田貿易堂』は、作品のエグゼクティブプロデューサーをつとめている狩野善則さんの紹介で渋川清彦さんと飯塚健監督が会ったことからスタートした作品で、渋川さんは「飯塚監督とは高校も一緒なんですよ。小学校も低学年まで一緒でっていう変な縁があって、これはもうね、絶対(笑)。しかも俺、名前を渋川なんて名づけているくらいで渋川市好きなんで、俺もプロデューサーみたいな気持ちでやりましたよ」とコメント。「撮影しているところが、たとえば渋川市の駅前とかメインなところじゃなくて、ちょっとローカルというかアンダーグラウンドなところだったりするんで、ああいうところを(映画を観る方々に)観てもらうのもちょっとよかったなって思いますね」と、郷里で撮影しての感想を述べました。
飯塚監督は「最近はテレビのお仕事だとオリジナルもやらせていただいていたんですけど、映画だとほんとに10年ぶりくらいなんですよね、オリジナル脚本で映画を撮らせていただく機会というのが。だから“どう受け止められるんだろうな?”というのもありながら、笑ってもらえればいいなと思いながら、今日はちょっと怖いなと思いながらここまで来ました。楽しんでいただけたなら嬉しいです」と作品について語り、群馬を舞台にした脚本作りについて「半分くらい書いたときに、KEEさん(渋川さん)が“とりあえず群馬行こうぜ”っていうことで、車で群馬にいったんですよね。いろいろな場所をとにかく走って“おいしいラーメンあるから食おうぜ”とか、そういうことをしながら、なんか話し合いながら“この場所だったらいいね”って、ふたりでロケハン旅みたいなことをしながら、話はなんとなくできていった感じですよね」と振り返りました。
榎田貿易堂で働く青年・落合清春を演じた森岡龍さんは、主演の渋川さんについて「何度も共演させていただいているんですけど、いい兄貴という感じで、優しくてあったかくて、今回は特に地元での撮影ということで、温泉地であるとか、ご当地のおいしいご飯屋さんとか教えてくださって、ほんとに大好きな先輩です」と、同じく榎田貿易堂でバイトする人妻・真木千秋を演じた伊藤沙莉さんも「思っていたより何倍も優しくて、もっとクールな感じかと思ってたんですけど、すごく優しくて、ほんとに兄貴という感じはしますね」と、その人柄の魅力を語りましたが、渋川さん本人は「そう言うしかないでしょ、だって(笑)」と照れたような笑いを。
また、映画助監督の萩原丈を演じた滝藤賢一さんと榎田貿易堂の客・志摩ヨーコを演じた余貴美子さんが「すごい贅沢なケータリングとか、おふたり(渋川さんと飯塚監督)の人望があって、いろいろな人が手伝いに来てくれていましたよね」(滝藤さん)、「地元の方のご協力でね」(余さん)と、渋川さんと飯塚監督の地元ならではの現場だったことを語ると、飯塚監督は「差し入れはね、ほとんどKEEさんのポケットマネーで。正直、KEEさん赤字だと思うんです(笑)」と明かし、滝藤さんはじめ出演者一同から驚きの声が上がりました。
永井柊子を演じた片岡礼子さんは、脚本を読んだときにはイメージしづらかった登場人物の感情が現場に行くと自分の中に湧き上がったそうで「そういういっぱいいろいろなことがホン(脚本)に入っていて、それがあの場所でこの人たちでっていうことがすごく大きくて」と話し、榎田貿易堂に集まる人々とは違った立ち位置の役だったため「私は榎田貿易堂のこっちのメンバーにジェラシーを(笑)」と感想を。
伊藤沙莉さんが演じた千秋の夫・一幸を演じた三浦俊輔さんは、出演シーンが「台本でセリフないんですね、ト書きなんです。状況だけ書かれているという。ほぼなにも準備をしないで(現場に)行って、でもすごくやりやすかったというか、ちゃんとリアクションできるように(伊藤さんが)やってくれたと言いますか、すごい楽しかったです」と撮影時の状況を語り、伊藤さんに「あのときはありがとうございました」と感謝し、伊藤さんも「こちらこそ」。
弁当屋の店主を演じたキンタカオさんも台本にセリフがなかったそうで「1日の撮影で、しかもセリフがないと。結局、一泊して、すっかり伊香保温泉の湯に浸かって帰ったんですけど」と撮影時の様子を語りました。
そんな個性的な俳優陣が集まった撮影について、飯塚監督は「(撮影期間が)すごい短い時間ではあったんですけど、ほんとに幸せな時間でしたね。久しぶりにフィックスという、カメラを三脚に据えて撮ってあまり動かさないという手法でこの映画は撮ろうと決めてやってたんですけど、それってやっぱりしかるべき(技術のある)人たちがいてくれないと、(俳優の位置が)被ったら終わりなんですね、こっち(=カメラ)が動けないので。なので、そういうのもすぐやってくださる方々がこんなに揃ってくれると、いや現場ってめちゃくちゃ楽しいなっていうのはとても思いました」と振り返りました。
渋川さんは「ほんとにまた第2弾、やりたいとみなさん思ってくれているので、応援よろしくお願いします」と、続編の実現に意欲を見せ、飯塚監督は「この作品は、スタッフも全部で30人、40人とかそういう世界で作りました。大きい(規模)のになると200、300といたりするんですけど、今回はそういう体制で撮りました。そのうちの誰ひとり欠けてもこの日はないと思っています。その想いがスクリーンに宿ったかなとは思っています。先ほどKEEさんが言ったように、続きはやろうと思っているので、どうぞみなさん力を貸してください」と応援を呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、根岸季衣さんや駒木根隆介さん、宮本なつさん、諏訪太郎さんらが出演する『榎田貿易堂』は、6月9日(土)より新宿武蔵野館、6月16日(土)より舞台である群馬県のシネマテークたかさきと大阪のテアトル梅田ほか、全国ロードショーされます。