舞台あいさつをおこなった川瀬陽太さん、佐藤睦さん、福島拓哉監督、今村怜央さん、芳野正朝さん、高橋卓郎さん(左より)
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海外の映画祭ですでに高い評価を得ている福島拓哉監督の新作長編『モダン・ラブ』が6月30日に新宿K's cinemaで初日を迎え、高橋卓郎さん、今村怜央さんら出演者と福島監督が舞台あいさつをおこないました。
『モダン・ラブ』は、失踪した恋人を忘れられない大学院生・ミカが、新惑星発見のニュースに世間が湧く中で「もうひとりの自分」に出会っていくサイコファンタジー。日本公開に先駆け、5月に開催されたフランスのニース国際映画祭コンペティション部門では4部門にノミネートされ最優秀音響賞を受賞、ドイツのハンブルク日本映画祭では今回より新設された特別芸術賞を受賞、さらに海外の複数の映画祭での上映が決定と、高い評価を得ています。
2012年の「ゴージャス・プリンセス!」(オムニバス『ヴァージン』の一編)、長編では2010年の『アワ・ブリーフ・エタニティ』以来となるK's cinemaでの福島拓哉監督作品公開は満席でのスタートとなり、福島監督は「ぼくはこのK's cinemaという箱(=劇場)が大好きで、箱もよいし、タバコも吸いやすいし、呑み屋も近い(笑)。ここに戻ってくるのに6年、長編ということで言うと8年かかりました。ひじょうに嬉しいです」とあいさつ。「みなさんご存知かと思うんですけど、日本で映画を作るのけっこう大変なんでね。けっこう時間がかかっちゃったんですけど、その中でもなんとか新しい作品をやりきろうという想いで去年の1月に新作企画としてスタートして、そこからノンストップで突っ走ってきたという感じです」と、8年ぶりの長編公開を迎えた心境を語りました。
福島監督作品の常連で『モダン・ラブ』ではミカの失踪した恋人・テルを演じた高橋卓郎さんは、ミカ役の稲村梓さんとの共演を「とにかく稲村さんのエネルギーを感じて、彼女と日のj子からもらったエネルギーを映画の中、お芝居の中で反映できたらということだけ考えてやっていました」と振り返り、福島監督からの演技へのリクエストについては「もちろん準備の段階でいろいろなアイディアやヒントになることはいただいてるとは思うんですけど、現場に入ったらそのときのグルーヴを大事にしてほしいと、福島さんの現場ではつねにそういうのがあるので、その場で新しいことをクリエイトできたらいいなというトライをしたつもりではいます」とコメント。
ミカの親友・シゲを演じた芳野正朝さんは「作品が始まる前に監督からご連絡をいただいて“ほぼお前に当て書きだから”と言っていただいて、メチャクチャ嬉しくて」と思った役がゲイの設定だったため「監督にはそう見えていたんだな(笑)」と裏話を披露して笑いを誘い、福島監督も「ホン書く段階から芳野くんにお願いしようと決めていました」。
テルの親友でイベントオーガナイザーのバードを演じた今村怜央さんはバンド・The John's Guerrillaで活動するミュージシャンで、バンドのミュージックビデオに福島監督が出演したのがきっかけとなって「けっこう急に決まったんですよ。それこそ(撮影の)1週間くらい前でしたよね。“映画出ない?”って言われて」出演が決まったそう。今村さんは「(福島監督が)映画を撮りはじめたときからすごく楽しそうにSNS上でやっているわけですよ。いいなあと思って“いいね!”を連発していたら案の定オファーが来て。だから、諦めなければなんでも叶うんだなと思って(笑)」と笑いを交えながら 「初めてのセリフだったんですよ。いままで本人役でしか(映像作品に)出たことがなかったので、(撮影のことは)覚えてないです。一生懸命やろうとしたので、それがこうしたかたちになってみんなに観てもらえて嬉しく思うので、どうか優しく観てやってください」と初の本格的な俳優への挑戦について話しました。
ミカの大学院の先輩・高山を演じた佐藤睦さんは「一生懸命ミカのことを支えてあげようと思ったので、仲良くなれるようにがんばりました」と、演じるにあたりミカとの距離感について考えたとコメント。
前田教授を演じた川瀬陽大さんは「満席スタートで始まるっていうのは、ほんとに冥利に尽きることです。福島くんもそう思っていると思うんですけど、ほんとにありがとうございました」とあいさつ。1990年代から付き合いのある福島監督との関係を「横目で伴走しているというか、違うことをやっているんですけど(横を)走っているなと思っていて」と表現した川瀬さんは「こっちが出ることになって、偉そうですけどなにかちょっと手助けになればという想いで関わったというのが最初ですね」と『モダン・ラブ』出演に際しての想いを述べ、好調のスタートに「よかったね」と監督に一言。
福島監督は、脚本を執筆する段階でいろいろな作品がモチーフとなったりインスパイア元になったと明かし「その中のひとつで、ぼくが好きなレディ・ガガの歌があって、その詞の世界観とかもけっこう脚本を書くときに参考したので、レディ・ガガが観てくれないかなと思ったんですけど、連絡先知らないからどうすればいいのかなって(笑)。とりあえずレディ・ガガのツイッターをフォローしました(笑)。コメントでもいただければウェブサイトで使わせていただきますので」と、レディ・ガガにも『モダン・ラブ』を観てほしいと希望を述べました。
舞台あいさつの最後には、高橋さんは「『モダン・ラブ』、ほんとに嬉しくありがたく思っています。この作品に関わってくれたほかのスタッフのみなさん、キャストのみなさん、ほんとにおめでとうございます。。一緒にこの喜びをわかちあいたいと思います」、芳野さんは「ほんとに福島監督の想いが詰まった作品で、1回観て、たぶんもう1度見たくなる作品だと思うので、何度でもお越しいただいて観ていただけたらなと思います」、今村さんは「監督含め、みんな命がけで長い年月かけて作った作品だと思うので、観ていただく方も一生懸命向き合ってもらえれば嬉しく思います」、佐藤さんは「私も初めて観たときに壮大だと思って、大きいスクリーンでいっぱいの人が観られるといいなと思ったので、ぜひ観てみてください」、川瀬さんは「もし“よかったな”と思ったら、いろいろなところで(いい映画だと)言っていただければと思います」とそれぞれにメッセージを。
そして福島監督は「一番大事な告知」だと「終わったら呑みに行きますので、誰でも参加可能ですので来たい人は来てください(笑)」とアナウンスした上で「ようやくこの場に帰ってこられたという気持ちが、いますごく強くしています。映画というのはパーティーであり旅であるというふうにぼくは思っていて、ここに来る前に何ヶ国か行ってきて、このあともいくつか行きます。東京(の上映が)終わってから地方も行きます。まだまだ『モダン・ラブ』であと1年くらいはぼくはずっと旅をし続けることになると思っています。みなさん気に入っていただけたらネタバレしない程度に拡散していただけると、ぼくらが行ける旅先が増えるという、それが日本の映画界というシステムなので、ぜひご協力いただければほんとにありがたいです。楽しんでいってください!」と呼び掛けて舞台あいさつを締めくくりました。
舞台などで高い評価を得ている稲村梓さんが主演をつとめ、草野康太さんらが共演、スペインのカタルーニャ州でのロケも敢行して独特の世界を描く『モダン・ラブ』は、6月30日(土)より新宿K's cinemaにてレイトショー。
7月10日(火)に主演の稲村梓さんの舞台あいさつがおこなわれるほか、公開期間中にはさまざまなゲストを迎えてのトークイベントなどがおこなわれます。