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初主演作『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』公開に矢野聖人さん「夢のひとつだった」

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舞台あいさつをおこなった葉山昴さん、秋吉織栄さん、岡本玲さん、矢野聖人さん、武田梨奈さん、鶴見辰吾さん、近藤芳正さん、藤原知之監督(左より)
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 実在のクジラ専門の博物館を舞台としたオール和歌山ロケの青春ストーリー『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』が11月3日に初日を迎え、シネ・リーブル池袋で主演の矢野聖人さん、共演の武田梨奈さんと岡本玲さん、藤原知之監督らが舞台あいさつをおこないました。

 『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』は、和歌山県太地町に実在する日本唯一のクジラ専門の博物館「太地町立くじらの博物館」が舞台。他人とのコミュニケーションはちょっと苦手だけどクジラが大好きな飼育員の鯨井太一を主人公に、東京からやって来た飼育員の白石唯、学芸員の間柴望美たちがさまざまな困難にもめげず博物館を盛り上げていこうと奮闘する姿がオール和歌山ロケで描かれていきます。

 主人公の鯨井太一を演じた矢野聖人さんはこれが映画初主演で「ぼくは20代のうちに映画で主演をやるというのが夢のひとつだったので、それが叶ったのはすごく嬉しかったです」と初主演作公開を迎えた心境を語り「正直、(撮影の)スケジュールはすごくタイトだったんですけど、ぼくはそんなに大変だとはあまり思わなかったです。むしろ、主演をやらせていただくという喜びのほうが多かったので」と撮影を振り返りました。

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主人公の飼育員・鯨井太一役の矢野聖人さん

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飼育員の白石唯を演じた武田梨奈さん

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学芸員・間柴望美を演じた岡本玲さん

 矢野さんと、飼育員・白石唯役の武田梨奈さん、学芸員・間柴望美役の岡本玲さんは、3人とも1991年生まれという共通点がありますが、それに加えて「泳げない」という共通点もあるとのこと。司会者からそのことを指摘されると、矢野さんは「そういうの気にしていられなかったですね。ぼくが(水の中に)飛び込むシーンがあるんですね。それは割りきってます」と明るく話しつつ、クジラの飼育員という役柄上、水の中に入るシーンも多かったことについて「正直、怖かった」と本音も。そして武田さんが「怖かったですし、泳げないって言ってキャスティング替えられたらどうしようって(笑)。アクションやっているから泳げるの前提で呼ばれてるのかなって思って……」と話すと、矢野さんも「ぼくなんか主演なのにさ、泳げないっていう理由だけで主演降ろされたら怖いからね」と話して客席の笑いを誘いました。

 また、矢野さんが「ぼくはそんなに大変ではなかったです。武田さんのほうがね」というほど水に入るシーンが多かった武田さんは、撮影の1ヶ月前に「知り合いで着衣水泳の免許とレスキューダイバーの免許を持っている人」に「鬼のようなトレーニング」をしてもらったこと、さらにその知り合いが「お笑いのチーモンチョーチュウの白井(鉄也)さん(※プール指導員、水難学会会員などの資格を保持)」であることを明かし「深いところで立ちながら泳ぐ練習とか、イルカと同じようにクジラと同じように泳ぐ練習をさせていただいたので、助かりました」と、トレーニングが撮影に役立ったとコメント。

 3人の中で唯一、水に入るシーンのない岡本さんは「私もふたりが泳げないこと(撮影中は)知らなかったです。撮影終わってから知った気がする」と、矢野さん、武田さんが泳げないことを感じさせない努力をしていたことをうかがわせ「私は学芸員の役なので(クジラの)トレーナーではないので、撮影中クジラとあんまり接することもなくて、もう(矢野さんと武田さんが)バリバリ泳げると思っていたから、逆に自分が泳げないことの劣等感とかをお芝居に反映させてたくらいだったので、私はうまいこと利用できました(笑)」と、泳げないことを役作りに活かせたと話しました。

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撮影を振り返る岡本玲さん、矢野聖人さん、武田梨奈さん

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舞台となる太地町の町長・岩崎守を演じた近藤芳正さん

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「くじらの博物館」館長・富樫文朗役の鶴見辰吾さん

 太地町の町長・岩崎守を演じた近藤芳正さんは「(ロケ地に)1泊2日で帰ってきたという、ほんとに行って来いの状況でして、和歌山の思い出ほとんどございません(笑)」と告白して場内を笑わせ、博物館の飼育員と接するシーンはなかったため「今日ね、矢野くんとも初めて会いますね」と、舞台上で矢野さんと互いにお辞儀してあいさつを交わす一幕も。

 「くじらの博物館」館長・富樫文朗を演じた鶴見辰吾さんは「この映画のチームワークはすごく良かったですね。まず作家(※脚本担当)の菊池(誠)さんがとても思い入れを入れて書いている台本なので、映画では珍しくホン読みをしっかりやった上で臨みました。その辺からみんなの役どころというか役割みたいなものをみんなが掴んで、それで完成までつっ走ったという感じです」と撮影に参加しての感想を。
 そして矢野さんたち若い俳優陣の姿に「自分の若いころを思い出したりとか、そういう楽しさがありました」という鶴見さんは、プロサーファーを目指す青年を演じた過去の主演作で和歌山ロケ作品の『ときめき海岸物語』(1984年/朝間義隆監督)に触れ「33年ぶりくらいに(和歌山に)行ったんです。以前はサーフィンをやる人の映画で、今度は『くじらの博物館』の館長で、自分の中で、かつて和歌山でサーフィンをやっていた若者が、いろいろ思うところがあっていまここで『くじらの博物館』の館長をやっているような、そんなストーリーを繋いでやってみるとすごく演じることが楽しくて、この映画に対する役の思い入れもひとしおでした」と、和歌山ロケへの想いを述べました。

 主人公の太一たちを見守るお姉さん的存在の飼育員・野崎沙也加を演じた秋吉織栄さんは「太一たちが思う“クジラが好き”という気持ちに、すごい私自身も浮かされていくようなところがあって、それがみなさんにも伝わればいいなと思っています」とコメント。

 太一たちとなにかと衝突する飼育員・渡辺ケンジを演じた葉山昴さんは、飼育員役のキャストは事前に実際の仕事内容を学ぶため博物館で研修や練習をおこなっていたことを紹介し、葉山さんは練習でクジラのエサ作りをやっていたところ、博物館の方から次々と「次、これお願いします」と頼まれ「その日の午前中の分、俺が(全部)作っちゃったんですよ! 俺もうバイトしてたんですよ!」と、共演のキャストも笑い出すエピソードを披露。「働いている人の気持ちになったというか、(その気持ちになる)くらいやらせていただいて」と話しました。

 藤原知之監督は、撮影前に博物館の飼育員の方などに撮影内容を相談したところ、武田梨奈さんが演じる水中でのクジラのショーのシーンは「“さすがに難しいと思う”って」言われたことを明かし、そのためアップの場面以外は専門の方に吹き替えで演じてもらう準備もしていたところ「みんなすごく努力してくれて、一切吹き替えなしで全部自分たちでやったんですよね。それがすごいなと思って、さすがでございます。ありがとうございました」と、キャストに感謝の言葉を送りました。

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飼育員・渡辺ケンジ役の葉山昴さん

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飼育員・野崎沙也加役の秋吉織栄さん

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メガホンをとった藤原知之監督

 クジラとサインで意思の疎通がおこなえるようにするための事前の研修は矢野さんが武田さんより先に参加していたそうで、矢野さんはあとから参加した武田さんのため「(最初から本物の)クジラと接するよりは、イメージみたいなのを掴んでおいたほうがいいと思って、親切心でクジラ役をやったんです。そしたら武田さんに(完成披露の舞台あいさつなどで)“すごい変な人でした”みたいなことを言われて……」と、ちょっと不満気(?)な表情も浮かべましたが、武田さんが「初対面でいきなりそれを言われたら(笑)。“ぼくクジラやるので、サイン出してもらっていいですか”って真顔で言われたので(笑)」と事情を説明すると、矢野さん自身も「それはちょっと変。それは気持ち悪いわ(笑)」と納得の様子。

 さらに、その際の状況を再現しようと矢野さんが「クジラ役」を実演することになり、トレーナーのサインに合わせてヒレを動かすというクジラの動きを舞台上で実演してみせた矢野さんは、実演後の場内の空気に「すごい微妙なリアクションですよ(笑)、微妙な空気が漂ってる!(笑)」と苦笑い。岡本さんは「作中もたぶん出てくるサインなので“あ、これだ!”って(鑑賞の参考になる)」とフォローを入れましたが、矢野さんは司会者からの「さすが主演俳優」の声に「ぼくが知っている主演ってこういうのじゃない!(笑)」と主張しました。

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「クジラ役」を実演する矢野聖人さんの動きにサインを出した武田梨奈さんは崩れ落ち、ほかの出演者からも笑いが起こりました

 舞台あいさつ終盤、コメントを求められた藤原監督は「ほんとに今日は初日からありがとうございます。もしいいなと思ったら2度3度観ていただいたらと思うんですけど」と話すと、おもむろに「シネ・リーブル(池袋)さんすごいいい劇場でして」と、TCGメンバーズカード(シネ・リーブル池袋含め加盟の映画館共通で使える特典付き会員カード)を紹介し「すごくお得に観られますので、ぜひお帰りに作っていただければ」と、監督自身もよく利用しているというシネ・リーブル池袋とTCGカードをPRし、キャストから「劇場の人だ(笑)」とのツッコミも浴びました。

 そして出演者それぞれのメッセージで舞台あいさつは締めくくられました。

「今日は都合により来られませんけど、もうひとつの重要な主役はクジラです。クジラのいきいきとした表情や動きなんかもこの映画の見どころですので、ぜひそこを楽しんでご覧いただければと思います」(鶴見辰吾さん)

「クジラも見どころで、もうひとつぼくからの観点でお伝えしたいことがあるんですが、ここに登壇されている以外にもすごくいっぱい若い役者さんがいらっしゃいます。クジラの飼育員の役なぞ通しながら、それぞれのこれからの役者としての人間としての成長物語なども含まれてはいます。だから、みなさんそれぞれお気に入りの役者さんとか、この人の成長を見たいなとか思ったら、ぜひぜひ2度3度観て応援してくださればと思います。まあ、ぼくと鶴見くんはオヤジ枠なのでほっといていただいて大丈夫です(笑)。よろしくお願いします」(近藤芳正さん)

「さっきちょっと冗談っぽく話しちゃったんですけど(笑)、ほんとに『くじらの博物館』の飼育員の方のお話を聞いたり、想いとかも聞く時間もあったりなんかして、そういう想いを受けてぼくらも一生懸命リアルに演じようと努力しましたし、この映画をきっかけにクジラを好きになっていただいたりとか、和歌山太地町に関心を抱いていただけたらぼくたちも本望ですので、これからも『ボクジラ』の応援をよろしくお願いします」(葉山昴さん)

「クジラのかわいさや優しさ、頭の賢さもすごく伝わると思うんですけど、太地町の海のきれいさや空の青さなんかもすごく伝わってくる良い作品になっていると思います。太一たちが思い描いていた“俺はクジラが好きだ”って気持ち、その気持ちってすごく大事だなと思いました。私も“この業界が好き”とか“こういう映画に出たい”という気持ちが、いまこの場に立てていることだと思っています。みなさんにもそういう“好き”という気持ちをまっすぐでいられる気持ちを大切にしてもらえたらなと思います」(秋吉織栄さん)

「私は和歌山出身で、(この映画は)全編、和歌山の太地町でロケしていまして、そこでオールロケしたからこそ出た空気とか色とか、みんなのチームワークだったり、エキストラのみなさまにもたくさん和歌山の方に出ていただいたので、ほんとに和歌山の魅力がたくさん詰まった作品になったなと思います。みなさんも話の種に“和歌山ってね”ということが、ここからきっかけで広まればいいなと思います」(岡本玲さん)

「私も監督と同じく、ここ(シネ・リーブル池袋)よくプライベートで観に来たりもしてまして、今年ここで4作品舞台あいさつさせていただいて、シネ・リーブル池袋に今年一番来ている女優だと先ほど言っていただきました(笑)。またプライベートで『ボクジラ』も観に来る予定なので、もし見つけたら声かけてください(笑)。とてもさわやかな青春映画になっているんですけど、その中で、とても大切なメッセージも込められています。小さな宿題を持ち帰っていただけたら嬉しいなと思います」(武田梨奈さん)

「この作品はですね、ぼくは“こういう作品です”というふうにあまり言いたくないなというか、観ていただいた方がおのおのいろんな感情を、わかりやすく“和歌山行きたいな”とか“クジラに会いたいな”とか、そういうそれぞれがそれぞれの想いを持ち帰ってくれたら嬉しいなという作品だと思うので、ぜひなにかひとつ持ち帰っていただいたら嬉しいなと思います」(矢野聖人さん)

 『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』は、舞台あいさつ登壇者のほか、末野卓磨さん、長濱慎さんらが出演し、和歌山出身でアイドルグループ・虹のコンキスタドールのメンバーとして活躍する清水理子さんがソロで主題歌を担当。ストーリーには実際の「太地町立くじらの博物館」の実際の活動に基づいた内容も盛り込まれており、和歌山の、そして「くじらの博物館」の現実が反映された作品となっています。
 10月12日(金)より和歌山県内で先行上映され好評を博しており、11月3日(土)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショーされます。

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