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主演もつとめた中村友則監督、過酷な撮影で「家が泥だらけ」 『ケイタネバーダイ』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった監督とキャスト。前列左より、西山真来さん、竹下かおりさん。柱列左より葛野雅貴さん、中村友則監督、ポスターを挟んであらい汎さん、竹之下桃さん。後列左より有戸麻(ゆうこ・あさ)さん、綱木謙介さん、大瀬誠さん、青木佳文さん、大迫茂生さん
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 バイオレンスやコメディとジャンルを横断する予測不能の展開で各地の映画祭で注目された『ケイタネバーダイ』が12月15日に池袋シネマ・ロサで初日を迎え、主演もつとめた中村友則監督、共演の大迫茂生さん、西山真来さんらが舞台あいさつをおこないました。

 映画美学校出身の中村友則監督が主演・脚本・監督をつとめた『ケイタネバーダイ』は、裏の社会に踏み込んだ挙句に殺されてしまい“あの世”へたどり着いた男・ケイタの魂の復讐を激しい暴力描写やコミカルな展開を交えつつ描いた、現代のお伽草子ともいえる“摩訶不思議冒険奇譚”。

 ケイタを演じた中村監督は「今日はいろんな映画が封切りなんですけど、この映画に来ていただいてありがとうございます。感動しております」とあいさつ。

 劇中に登場する組織・木村組の親分を演じたあらい汎さんは「友人なんかには“とにかくあやしい映画だよ”と、このように言ってですね、内容をうまく説明できないまま友人たちを誘っております。今日はありがとうございます。たっぷりと“あやしさ”を感じていただけましたでしょうか?」と『ケイタネバーダイ』の世界の独特さを感じさせ、中村監督の映画美学校での先輩にあたり劇中では木村組組員・貝原を演じた青木佳文さんは「学校時代、学校ですれ違っても“こいつとは絶対に友達になりたくないな”と思ったんですけど、いざ関わってみるとピュアでいいやつなんで、このあとぜひ気軽に声をかけてあげてください」と、監督の人柄を紹介しました。

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監督・脚本に加え主人公・島袋ケイタを演じた中村友則監督

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ケイタの父・島袋満男を演じた大迫茂生さん

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木村組組長・木村ノリフミを演じたあらい汎さん

 暴力シーンや格闘シーンも多い作品のため、中村監督はアクションや暴行を受けるシーン、意識を失った状態で川を流れていく“川下り”のシーンなど過酷な撮影に挑んでおり、ケイタの姉・アキを演じた西山真来さんが「撮影に行くたびに、頭のかたちが今日は右側が腫れているとか、川下りの次の日はめっちゃ全体的に黒っぽいとか、顔色が黒ずんでいるとか、日によってすごい頭のかたちが違うくらいの本気のアクションやってたんですけど、どうだったんですか?」と監督に尋ねると、監督は「家が泥だらけになりましたね。布団とかが土まみれでしたね」と、体についた泥が落ちないほどだった撮影の様子を語り、川下りの撮影のあとには部屋に土だけでなく「ダンゴムシとかいました」と話して、客席だけでなく壇上の共演者も驚かせました。
 西川さんは、そのシーンで中村監督が川にかかった木の下をカットをかけず水に浸かったままくぐるのを見て「ついていくしかないこの人にって思いました」と話し、中村監督は実は川下りの撮影は危険なために監督の代わりの人形が用意されていたにもかかわらず「テストでぼくが流れたらそれがいいからそれで行って。人形はそばにあったんです」という裏話も披露しました。

 また、中村監督はケイタが殴られるシーンでは実際に監督自身を本気で殴るよう相手の俳優陣の求めていたそうで、殴る側だった青木さんは、撮影後には周囲が心配するほどだったという監督の様子に「あんな人の姿を見るのは二度とご免だなと思いましたね」と振り返りました。
 そしてケイタの父・満男を演じた大迫茂生さんが、文字通り体を張った中村監督に「ほんとは自分が(主演を)やるつもりじゃなかったんだよね?」と尋ねると、中村監督は「誰かカッコいい人にやってもらいたかったんですけど」。大迫さんは「だけどこんな無茶を他人にやらせられないということで自分がやったということなんですよね」と、中村監督が自ら主演をつとめた理由を明かしました。

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ケイタの姉・島袋アキを演じた西山真来さん

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ケイタの母・島袋清美を演じた竹下かおりさん

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木村組組長の娘・木村サチを演じた竹之下桃さん

 “あの世”の神を演じた葛野雅貴さんは、監督の求めで2ヶ月で17キロ落とすダイエットをして撮影に臨んだものの、体を見せるシーンがなかったことや「長ゼリフを覚えてきてほぼカット」されたことを告白。西川さんや青木さんも出演シーンがカットされていることを明かし、中村監督の作品へのこだわりの深さをうかがわせました。

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木村組組員・貝原典を演じた青木佳文さん

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木村組組員・与根靖を演じた大瀬誠さん

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あの世の運送屋職員・星野哲郎役の綱木謙介さん

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AVカメラマン・福島を演じた有戸麻さん

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神を演じた葛野雅貴さん

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客席からの質問に答える中村友則監督(右)と大迫茂生さん

 舞台あいさつでは質問コーナーも設けられ、作品を鑑賞したばかりの観客の方々からは、やはり川下りのシーンについて、川に入ると自然に流れていくものなのか、あるいは撮影用に引っ張ったりしていたのかという質問がされ、中村監督は「あれはね、川の流れが早いと勝手に流れます」と、経験者としてシンプルに回答し、場内の笑いを誘いました。

 さらに、司会者から監督・脚本・主演すべてをこなした監督に、どの役割が一番“燃えた”かが質問されると、監督は「ホン(脚本)が燃えましたね。あのときに目黒の事故物件の、風呂なし2万いくらのところに住んでいたんですよ。隣が中国の方、(もう片方の)隣がお年を召してボケていらっしゃる方が住んでいて、壁が薄いんです。上はネズミなんかが走っているんです。そこでワクワクしながら、暑いんで裸で書いてて、燃えましたね」と、奇抜な発想の作品が生まれた時期を語りました。

 『ケイタネバーダイ』は、12月15日(土)より池袋シネマ・ロサにて1週間限定レイトショー。公開期間中にはゲストを招いてのトークイベントが開催されるほか、オリジナルグッズも劇場で販売されています。

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