日中の若き映画人・今野恭成(こんの・やすまさ)監督と張丹妮(ちょう・だんに)プロデューサーが新人・真崎かれんさんをヒロインに送る日中合作サイコサスペンス『心魔師』が、10月27日より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーとなることが発表されました。
日中若手映画人合同プロジェクト第1弾となる『心魔師』は、血液凝固を防ぐ薬を注射して失血死させるという猟奇殺人事件を巡るストーリー。
職務上のミスによる謹慎から復帰し事件の捜査にあたる刑事・今村と、今村が捜査で訪れた精神科の病院に入院する少女・夕子を中心に、繰り返される殺人の中で今村が近づいていく謎が描かれていきます。
主人公の不眠症の刑事・今村修平を演じるのはドラマや映画、舞台で活躍する生津徹(きづ・とおる)さん、ヒロインである入院患者の安藤夕子役には20歳の新星・真崎かれんさん。そのほか、ドラマ「新・天までとどけ」シリーズなど数多くの作品に出演する小橋めぐみさん、北野武監督作品やホラー作品で印象を残す柳憂怜さん、ベテランの竹中直人さんらが脇を固めています。
メガホンをとる今野恭成監督は、早稲田大学在学中より映画制作を始め、ENBUゼミナール映画監督コース、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域で学んだ1989年生まれの気鋭の若手監督。商業デビュー以降は、女優・水谷果穂さんの映画初主演作となるホラー『バレンタインナイトメア』(2015年)や第12回大阪アジアン映画祭で上映された中編コメディ『レンコーンの夜』(2016年)など多彩な作品を手がけています。
ラインプロデューサーをつとめた張丹妮プロデューサーは日本で映画を学んでおり、今野監督と同期となる東京藝術大学大学院映像研究科映像専攻9期生。今野監督の大学院修了作品『結城家の眠り』(2015年)では張プロデューサーが編集をつとめるなど大学院時代にも一緒に作品作りをおこなっており、今回の『心魔師』では商業作品に舞台を移して共同での作品作りに取り組みました。
公開決定にあたり、今野監督や生津さん、真崎さんら出演者は下記のようにコメントを発表しています。
今野恭成監督コメント
思いがけず中国の方々と映画を制作することになりました。日本の片田舎で起こる連続殺人事件を自由にアプローチをさせていただき、感謝しています。小道具の一つ、画の色の一つにいたるまで、二つの文化が溶けあった奇妙な映画を楽しんでもらえればと思います。
刑事・今村修平役:生津徹さんコメント
この作品で、“人”というものの、“心”というものの怖さを、ゾクっとするくらい感じました。やっぱり、どこかで人って人を必ず求めて、それが意識的であれ、無意識であれ、そういう“人と一緒にいる”ってことはすごく大切なことだなって思いました。それは今村にとっては夕子。夕子にとっては今村。それは決して恋人とか家族とかではないけれども、ある人がいることによって、人間は“ああ生きていけるんだな”っていう事を演じながらすごく感じました。
安藤夕子役:真崎かれんさんコメント
私が演じた夕子は病院の中でずっと暮らしています。孤独だろうなと思うけど、それを表面には出さず、会う人たちみんなに嬉しそうな態度で接するところが私は好きです。でもそれが逆に可哀想だなと思ったりもします。私はそんな夕子が悲しいなと思いながら演じましたので、そういったところ観て頂けたらと思います。そしてこの映画はあまり説明的なところが無いので、観た人はそれぞれ違う捉え方をすると思います。なので、観終わった後にみなさんで話してもらい、それぞれの違った感じ方を楽しんでもらえたらと思います。更に二度観るとまた違うと思います。
刑事・田島勉役:柳憂怜さんコメント
この「心魔師」という映画は、中国のプロデューサーが暖めていた企画を日本を舞台にして日本人の若い監督とスタッフやキャストたちとで一緒に作りました。でも、国はどこであろうとも関係無く、いろいろなことにチャレンジし、前に進もうとあがいている、そんな人たちが集まって作った作品です。そんな映画がどんなふうにお客さんの目に届くのか、どんな結果をもたらすのか、どんなふうに広がって行くのかが楽しみです。そしてこの作品をスタート地点として今後スタッフやキャストのみんながどう活躍するか期待したいです。
精神科医・谷役:阿部翔平さんコメント
私は谷という医師がよくわからないまま演じました。谷の人となりがよく見えないというか、現実感が薄い人というか。だからあまり現実的にみえないように演じました。自分ではそのアプローチが良かったのかどうかですら、まだわかっていません。ただただ今野監督の指示のもとこの役を全うしました。観た人から「谷っぽい」「谷っぽくない」と言われたら、どちらも「そうかも」と思うし、良いと思ってくれるのなら「どこが良い?」と逆に聞いてみたいです。出来上がった映画を観ると谷が作品の雰囲気に溶け込んでいて非常に心地よい気持ちになりました。
このプロジェクトのトータルプロデュースは『Shall we ダンス?』(1996年/周防正行監督)や『がんばっていきまっしょい』(1998年/磯村一路監督)、『ウォーターボーイズ』(2001年/矢口史靖監督)、『サバイバルファミリー』(2017年/矢口史靖監督)など、数々の大ヒットメジャー作品を送り出してきたアルタミラピクチャーズ。
2017年公開の『シンクロナイザー』(2015年/万田邦敏監督)でインディペンデントによるエンターテイメント映画の可能性を示したアルタミラピクチャーズが、グローバルな展開でインディペンデント作品の新たな道を開拓します。
『心魔師』は、公開に先駆けて8月23日より26日までに大分県で開催される第43回湯布院映画祭で招待作品として上映(※上映日は現在未発表)されたのち、10月27日(土)より新宿シネマカリテほかにて全国順次ロードショーされます。