舞台あいさつをおこなった室賀厚監督、鈴木つく詩さん、長濱慎さん、藤田富さん(左より)
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どんな注文にも応える宅配ピザ店の店長と配達員たちが遭遇する奇想天外な出来事を描いた『デリバリー』が6月29日に池袋シネマ・ロサで初日を迎え、主演の鈴木つく詩さん、共演の長濱慎さんと藤田富さん、室賀厚監督が舞台あいさつをおこないました。
『GUN CRAZY』シリーズなどで知られる日本のアクション映画の第一人者・室賀厚監督が脚本も手がけた『デリバリー』は、どんな注文に応える宅配専門のピザ店・キャッツ&ドッグスの若き店長・榎本早希とイケメン配達員たちが、ちょっと変わった注文に応じる中で巻き込まれていくトラブルを笑いや涙、アクションをトッピングして送る「宅配エンターテイメント」。
主人公である20歳の店長・榎本早希を演じた鈴木つく詩さんは、クライマックスでは自らワイヤーアクションに挑戦しており「初めてワイヤーアクションしたので、雨もすっごい降ってたし、下もすっごい泥まみれの中、何メートルですかね、10メートルくらい? けっこう飛びましたね」とアクションについてコメント。
室賀厚監督は、実はそのワイヤーアクションは吹き替えを使って撮影するはずが、吹き替えの俳優用の衣裳を忘れるというアクシデントがあり「途方に暮れておりましたら、なんとつく詩さんが“私やりますよ”って言ってくださって」予定外で鈴木さんが演じることになったことを明かし「スタントチームもみなさん“任せてください、絶対安全に”ということで」撮影に臨んだと現場の様子を紹介しました。
ワイヤーアクションをやると申し出たときの心境を「気合です」と振り返った鈴木さんは「自分でやってよかったなと思いましたね。一番印象に残っています」と笑顔で話しました。
配達員のリーダー・内海達也を演じた長濱慎さんは、配達員たちがオニギリを食べながら話をする場面の撮影で「健吾って役(配達員・則本健吾役の行長浩信さん)いるんですけど、あいつ食べながらセリフを言うだけなのにそれができなくて、NG何回も出して、オニギリがなくなったんですよ(笑)」と裏話を披露し、室賀監督も「なくなっちゃったんで、助監督呼んで“オニギリ買ってこいよ”と言って、買ってきたのがなぜか知らないけど五目ごはん買ってきやがって、(撮影済みのカットと)繋がんねえじゃないかこれ! 困ったもんですね(笑)」と付け加えて場内の笑いを誘いました。
また、クールな配達員・成瀬真治を演じた藤田富さんは、配達のためバイクに乗るシーンが「ぼく自身免許を持ってなくて、なので停まっているバイクのところで、スタッフさんがうしろでこうやって揺らしてくれてたっていう。走ってなかったですね」と、完成した作品ではわからない現場の工夫を紹介しました。
劇中では長濱さん演じる達也、藤田さん演じる真治のほかにも数名の男性配達員が登場しており、舞台あいさつでは藤田さんが鈴木さんに「鈴木さん的に、この配達員メンバーがいるわけじゃないですか。誰がタイプですか?」と質問する一幕も。
鈴木さんは「誰かなあ……」と一向に答えを出さず、あまりの考えこみように長濱さんは「いないな」と一言。藤田さんも「いませんでした」と話をまとめようとしましたが、鈴木さんが「今後、もしこれが続く(=『デリバリー』がシリーズ化する)として、恋愛に発展するみたいなストーリーになることも」と言い出したため、室賀監督が「このふたりとどっちが恋仲になる展開のほうが喜ばしいですか?」と改めて質問し、長濱さんと藤田さんの二択で答えることに。
「待ってこれどうしよう」と迷う鈴木さんに長濱さんは「俺、一応年上だからね」とアピールし、舞台あいさつ冒頭から衣裳のサンダルがトイレのサンダルみたいだとネタにされていた藤田さんは「ぼく、普段はサンダルではないんで」とアピールしましたが、それが逆効果だったのか、鈴木さんの答えは「(藤田さんは)サンダルなので、私は長濱さんかな」。ガッツポーズをとった長濱さんの「靴履いてきてよかったあ! ピッカピカのやつ」という勝利コメントに客席からは笑いが起こりました。
鈴木つく詩さん(左)に選ばれてガッツポーズの長濱慎さん(中央・靴着用)と、苦笑いの藤田富さん(サンダル着用)
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室賀監督は“ピザとアクション”という発想が、旅行で訪れたグアムで街なかで起きたケンカを宅配ピザの配達員が制止するのを目撃し「その人がたぶん格闘技系のたしなみがあって、ものすごいキレキレの動きで解決しちゃったんですよ。“うわ、ピザ屋の兄ちゃんカッコいい!”と思って」という実体験から生まれたと説明。その発想に加えて、室賀監督が尊敬するクエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』(2009年・米)で“映画”が復讐のために使われるというストーリーがヒントとなって「よし、俺はピザというアイテムで復讐をする話を作ろう」と『デリバリー』に至ったと話し、いくつかのエピソードがオムニバス的に積み重なりつつ繋がっていくという構成も「(タランティーノ監督の)『パルプフィクション』(1994年・米)的な、オムニバスの作りだけど実は全部しっかりと繋がっているというのをね、どうしてもやってみたかった」と明かしました。
鈴木さんは、アクションもあり拳銃も出てくる『デリバリー』のような作品は「もう一生に最後かなってちょっと思ってます。嫌なわけじゃなくて(笑)、それだけ貴重な経験をさせていただきました」と感想を述べ「ここからスタートしていくので、みなさんぜひ優しいコメントをSNSで広めていただけたらなと思います(笑)。もしかしたら、コメントによっては第2弾みたいなことがあり得……ますよね? みなさんぜひ、コメントを上げていただけたらと思います」と”一生で2度目”への期待も感じさせて舞台あいさつを締めくくりました。
中原翔子さん、小沢仁志さんら迫力のキャストも共演する『デリバリー』は、6月29日(土)より1週間、池袋シネマ・ロサにて上映のほか全国順次公開。池袋シネマ・ロサでは上映期間中は連日、監督とキャストが登壇してのイベントが開催されるほか、大阪、別府、名古屋での上映でも舞台あいさつなどが予定されています。