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24歳の阿部はりか監督「いろんな言葉が生まれるといいな」 『暁闇』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった阿部はりか監督、水橋研二さん、中尾有伽(なかお・ゆうか)さん、青木柚(あおき・ゆず)さん、越後はる香さん、若杉凩(わかすぎ・こがらし)さん、石本径代(いしもと・みちよ)さん、芦原健介さん(左より)
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 音楽を通じて知り合った少年少女の姿を現在24歳の阿部はりか監督が描く『暁闇』(ぎょうあん)が7月20日にユーロスペースで初日を迎え、青木柚さん、中尾有伽さん、越後はる香さんら出演者と阿部監督が舞台あいさつをおこないました。

 これまで舞台の作・演出などを手がけてきた阿部はりか監督の映像作品初監督作となる『暁闇』は、インターネット上で活動する音楽ユニット・LOWPOPLTD.の音楽にインスパイアされて生まれた作品で、周囲に無関心に生きるコウ、見知らぬ男たちとの関係を繰り返すユウカ、歪な関係の両親の狭間で生きるサキ、LOWPOPLTD.の音楽に引き合わされるように出会った3人の中学最後の夏休みを描いたストーリー。気鋭の監督とミュージシャンのコラボレーションによる映画祭・MOOSIC LABで好評を得て単独公開を迎えました。

 主要な登場人物はセリフが少なく、阿部はりか監督は自身もあまりしゃべらないタイプだと話し「自分が黙っていれば大丈夫かなって思っていたことがたくさんあるんですけど、それって大丈夫じゃないかもと思ったりして、1回全部自分がほんとに思っていたこととか、ほんとに言いたいこととかをかたちにしてみようと思ったという作品です」と、作品に込めた想いを述べました。

 物語の中心となるコウを演じた青木柚さんは、撮影の中で唯一「ちょっとわからないなという感情になった」シーンだったというコウが父親を殴るシーンの撮影の際、阿部監督がコウの心情を青木さんに説明しながら涙を流したことを明かし、その監督の説明があったため「不思議とコウの気持ちというかそういうのが入ってきて、本番はけっこうしゃべらないの状態くらいになって」演技に没入したと撮影時の様子を語ると「そういうこともあったくらい大変だったんですけど、あれからいろんな作品をやっていく中でも感情移入がしやすくなったというか、そういうきっかけにもなった演出の場面だったので、感謝しています」と、この作品の経験がその後に活きていると話し、阿部監督は「すごい嬉しいです」と笑顔で答えました。

 また『暁闇』は今年5月に韓国で開催された第20回全州国際映画祭のワールドスケープ部門に招待され監督やキャストも映画祭に参加しており、サキ役の越後はる香さんは登壇者を代表して「上映が3回あったうちの2回でQ&Aがあって、上映を観てくださった方がけっこう若い年代の方が多くて、それがすごい私にとっても新鮮で、若い方の意見が実際に聞けたことが印象に残っています」と映画祭の印象を語りました。

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コウを演じた青木柚さん

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ユウカを演じた中尾有伽さん

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サキを演じた越後はる香さん

 ユウカを演じた中尾有伽さんは『暁闇』以前にも舞台で阿部監督の作品を経験しており「演劇のときの阿部さんの演出にすごく慣れてしまっていた部分があったので」映像での演出のやり方の違いに苦労した部分もあったそう。一方で阿部監督とは「情報の共有」が早いために「悩んで大変でということはあまりなくて、むしろ私が脚本に口を出しまくってしまったことが本当に申し訳なかったなというのは思っているんですけど(笑)」と振り返るとともに「映画を通じてみなさんと出会ったことが私にとってすごくプラスになったので、ほんとによかったなと思っています」と、撮影で得たものを語りました。

 複雑な事情を持つサキを演じた越後はる香さんは、脚本を最初に読んだ時点では「自分の中にサキという人物がいなかった」ため演じる上で不安もあったと話し「脚本を読み込んでいくうちに、あと監督やキャストの方々と関わっていくうちに、もっとやってみたいというふうに強く思って、作品を通して、演じている上で探り探りですけど、サキという役になっていけたかなというふうに思います」と役についてコメント。

 コウの彼女・トモコ役の若杉凩さんは、現場が「いい意味でフワっと」していたと印象を語った上で「できあがったのを観たときに全然違って、たしかに現場で“よーいスタート!”ってなった瞬間から空気が変わった感じがすごくあって、カラコレというんですかね、ちょっと青っぽい感じの画面の色の構成が私はすごく好きで、現場の空気感そのままをカラコレで表現しているなと思って、技術面というか編集によってすごくいい作品が生まれたなと思っているので」と完成した作品の映像面の魅力を語り「すごくいい現場でした」と感想を述べました。

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トモコを演じた若杉凩さん

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サキの母親役・石本径代さん

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サキの父親役・芦原健介さん

 サキの母親役の石本径代さんは、脚本は完成した作品とは異なる部分があり「これやるの? どんなふうになるんだろう、大丈夫かな?」と思うほどだったと話し「できあがったものを観たら、ほんとにあたたかい、私は救われた映画だったので、みなさんも気に入ってくださっていたら嬉しいなと思っています」とメッセージを。

 サキの父親役の芦原健介さんは、阿部監督は「お会いしたときにフワフワした気持ちになる」穏やかな雰囲気で、現場もシビアなシーンの撮影でも「フワっとした空気で楽しい感じ」だったため「フワっとしたな」と思いつつ完成した作品を観たところ「映画の魅力というかすごい感動して、あんなフワフワした人がこんなことを考えているのって、そういう意味でいうと怖いなって(笑)」と話し、その言葉に阿部監督は「怖がらないでください(笑)」。

 コウの父親を演じた水橋研二さんは「ぼくのデビューは自主映画から育ってきている人間なので、そのときとすごい雰囲気が似ていて、いい意味で台本を映像が超えているというか、台本では想像できないものが画になっているので、もちろんロケ地の場所もすごいよかったですし、映画というのはいろいろなものがひとつの画角に入ることによって脚本をどんどん超えていく感じがあるので、それがすごくこの作品は多々あったんじゃないかなと思って、初めて観たときにビックリしましたね。あ、これにぼく出てたんだって(笑)」と作品を評するとともに、青木さんも触れたコウが父親を殴るシーンについて「あそこのシーンは大変でしたね」とコメント。中尾さんや越後さんが心配するほど青木さんが役に入り込んでいたというそのシーンについて、青木さんが「心配させてしまってすみませんでした」「(実際に拳が)当たらなくてよかったです」と恐縮すると、水橋さんは「いやいや全然全然。楽しかったです」と先輩らしく笑顔で答えました。

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コウの父親を演じた水橋研二さん

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脚本・編集も手がけた阿部はりか監督

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撮影を振り返る青木柚さんと中尾有伽さん

 最後に阿部監督は「できるだけいろんな人に観ていただいて、いろんな言葉を私も聞きたいなと願っています。なので、もしよろしければ周りの方だったりとかネット上だったりとかで、自分がどんなことを感じたかとか、思ったかとかということを言葉にしていただけると、私はそれを見てすごいいろんなことを勝手に感じ取って嬉しくなると思うので、よければいろんな方に広めていただいて、いろんな言葉が生まれるといいなと思っています。今日はほんとにありがとうございました」と舞台あいさつを締めくくりました。

  枝優花監督の話題作『少女邂逅』でも撮影を手がけた平見優子さんが撮影を担当、現代の10代の空虚さを瑞々しく描く『暁闇』は、7月20日(土)よりユーロスペースにてレイトショーほか全国順次公開。公開期間中には阿部監督とゲストによるトークショーが連日開催されます。

作品スチール

暁闇

  • 監督・脚本・編集:阿部はりか
  • 音楽:LOWPOPLTD.
  • 企画:直井卓俊
  • 出演:中尾有伽 青木柚 越後はる香 若杉凩 加藤才紀子 小泉紗希 新井秀幸 折笠慎也 卯ノ原圭吾 石本径代 芦原健介/水橋研二 ほか
  • 配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS 宣伝協力:MAP

2019年7月20日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

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