総勢21名にモンスターも! 「夏のホラー秘宝まつり2019」開幕式&『シオリノインム』舞台あいさつ
後列左より『シオリノインム』の佐藤周(さとう・あまね)監督、松川千紘(まつかわ・ちひろ)さん、古谷蓮さん、辻凪子さん、武田一馬さん。『VAMP』の高橋真悠さん、中丸シオンさん、小中和哉監督。『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』の森川圭監督、森田亜紀さん、酒井健太郎さん、藤井奈々さん、階戸瑠李(しなと・るり)さん。『星に願いを』の佐々木勝己監督、正田貴美佳(まさだ・きみか)さん、畠山勇樹さん、尾関俊和さん。前列左より『怪談新耳Gメン 孤島編』の後藤剛さん(と、日本人形のはち)、谷口恒平監督、木原浩勝さん、山口幸彦さん。『星に願いを』に登場する名無しのモンスター
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毎年恒例の観客参加型ホラー映画祭「夏のホラー秘宝まつり2019」が開催されているキネカ大森で『VAMP』『シオリノインム』『怪談新耳袋Gメン 孤島編』など新作邦画5作品の監督と出演者ら総勢21名+1体が参加しての開幕式が24日におこなわれました。
「ホラー秘宝まつり」は、映画ファンやホラーマニアからの熱い支持を集めるキングレコードのホラー専門レーベル「ホラー秘宝」と、当時はホラー未開の地だったキネカ大森がタッグを組んで2014年に初開催。観客の投票でグランプリを選ぶホラー総選挙などの観客参加型企画が好評を得て、毎年開催される人気の映画祭となりました。6回目となる今回は、東京のキネカ大森(23日より開催)、名古屋のシネマスコーレと大阪のシアターセブン(24日より)の東名阪3都市同時開催となっています。
新作邦画の多い今回は開幕式参加者も増え、オープニング作品『VAMP』をはじめ『シオリノインム』『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』『星に願いを』『怪談新耳袋Gメン 孤島編』5作品からそれぞれの監督や出演者ら計21名(+1体)と、もはや舞台に並ぶのも限界と思われる人数が登壇し、ホラー総選挙に向けてそれぞれの作品の見どころをひとり45秒の持ち時間でプレゼンテーション。また、今年は5人の監督がベテラン勢と若手勢に分かれていることから“アダルト監督 VS ヤング監督”の対決構図も踏まえたプレゼンとなりました。
「ホラー秘宝まつり2019」オープニング作品である『VAMP』は、国産ホラーのキーパーソンである特殊脚本家・小中千昭さんとファンタジー作品を数多く手がける小中和哉監督の“小中兄弟”(兄・千昭さん、弟・和哉監督)久々のタッグ作となるヴァンパイアを題材とした耽美的ダークファンタジー。海外作品にも出演する国際派女優・中丸シオンさんと中学時代に『西の魔女が死んだ』(2008年/長崎俊一監督)に主演した高橋真悠さんを迎え、ヘマトフィリア=血液耽溺者を自称する美女・苓(れい)と父親から虐待を受ける女子高生・美以那(みいな)の出会いから始まる物語がエロティックな描写やアクションも交えて描かれていきます。
中丸シオンさん(中央)と高橋真悠さん(右)の衣裳の白黒のコントラストも印象的な『VAMP』チームは、中丸さんのアイディアで“赤縛り”のコーディネイト。小中和哉監督はTシャツが赤、高橋さんはスカーフが赤、そして中丸さんは爪と唇に赤を
開幕式に先立っておこなわれた『VAMP』単独の公開記念舞台あいさつでは「うちの兄と“作りたい映画を作ろう”と持ち込んで成立した企画で、こうやって公開してようやく映画として成立したという喜びでいっぱいです」と心境を語った小中和哉監督は「しっかりと人間の暗部を描こうと、中丸シオン、高橋真悠、素晴らしい役者を揃えまして、人間ドラマとしても見どころありますし、後半どんどんジャンルが変わっていきまして」とアピールしたところで規定時間を迎えて「あとは任せた」とふたりの女優にバトンタッチ。
主人公・苓を演じた中丸シオンさんは「『VAMP』は人間の生々しい痛みとファンタジーの配合が独創的な映画になっていると思います。この映画には心を病んだ人間が多く出てきます。その人間と真っ向から向き合った俳優さんのお芝居と、美しい音楽と、美しい映像をぜひスクリーンで観ていただきたいです」、女子高生・美以那を演じた高橋真悠さんは「人間ドラマもあります。アクションシーンもあります。ラブシーンもあります。全部あります。ほんとにホラーだけではないいろいろな要素がたくさん詰まっていて、観ていて胃もたれしちゃうかもしれないんですけど、盛りだくさんなので“今日はちょっと胃もたれしたいな”と思ったら、ぜひ観ていただきたいと思います。参加できてありがたいと思います」とそれぞれアピールし、中丸さんからは昨年のグランプリ作品『怪談新耳袋Gメン 冒険編』の出演者でもある山口幸彦プロデューサーに向けて「山口さんから王冠を奪いたい」という力強い言葉もありました。
“アダルト監督”と紹介され「若手監督のつもりだったんですけどいつの間にか最年長監督になっている立場に驚いているんですが」と小中和哉監督
苓役の中丸シオンさんはマイクを持つと「VAMP党から立候補させていただき……あ、違う違う」と45秒の制限時間の中にジョークを交える余裕も
美以那役の高橋真悠さんは前日に『VAMP』を鑑賞したお母さんが「娘そっちのけで“中丸シオンさんが素敵だった”と」言っていたいうエピソードも
「ホラー秘宝まつり2019」イメージガールをつとめる松川千紘さん主演のエロティックホラー『シオリノインム』の佐藤周監督は3年連続の「夏のホラー秘宝まつり」参加で「見どころはいろいろあるんですけど、うちのチームここに立っている俳優部4人いるんですが、3人脱いでます。『VAMP』より脱いでます。ホラー的な見どころで言うと、見えないモノをいかに見せるかという、そういう表現をこだわってやったので、見えないモノが見えたときにどう見せたかと、そこをぜひ注目していただけたらなと。今年は『シオリノインム』でグランプリ獲りたいので、ぜひよろしくお願いします」と、規定時間を5秒残す40秒で話をまとめる見事な技を披露。
昨年の『心霊ツアーズ』(窪田将治監督)に続いて2年連続「ホラー秘宝まつり」参加の主演・松川千紘さんは「この作品以上にエロくてホラーもあって盛りだくさんの作品は今年の『ホラー秘宝まつり』ではたぶんないと思いますので、楽しみにしていただけばと思います。あと、4人中3人脱いでますし、裸の割合が多い気がするので、去年『心霊ツアーズ』で惜しくもグランプリを逃しましたので、今年は投票をぜひ!」と、エロス面を強調しました。
さらに古谷蓮さんは「日本のホラーは昔から世界中で素晴らしいと言われてますので、この作品に携われてほんとによかったと思っています。ぜひとも『シオリノインム』ご鑑賞いただけたら」のアピールに加え「撮影現場で佐藤監督は全裸で監督していました」と暴露(?)も。辻凪子さんは「面白い、エロい、怖いは絶対保証します。ムラムラできるんで、みなさんぜひ観てください」、武田一馬さんは「エロとホラーはもちろんすごいんですけど、日常のシーンとかけっこうポップで、自分で観ていてそれに救われている部分もあって、でもポップだからこそホラーとかがより感じることがあるとか」と、それぞれ見どころを語りました。
『シオリノインム』チームの佐藤周監督、松川千紘さん、古谷蓮さん、辻凪子さん、武田一馬さん(左より)はそれぞれ思い思いの衣裳で登壇
『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似会う』は、ヘアメイクの女性を主人公に撮影現場の裏側を描いたワンシチュエーション・コメディ『メイクルーム』のシリーズ第3作目で、ホラー現場の裏側を描いた作品。
1作目から引き続きメガホンをとった森川圭監督は「内容としてはホラーもエロも正直ありませんので、そこらへんに怖さを見出していただけるということであれば、ぜひお薦めしたいと思います。増して、これがグランプリ獲っちゃったら相当怖いと思いますので、ぜひ観て感想を教えていただければと思います。『残念ななんとか』という映画を撮りました森川でした」と、作品の異色さをアピールするとともに、長いタイトルを自らネタに。
やはりシリーズ1作目から主人公の都筑恭子を演じている森田亜紀さんは「第3作目なんですけど、どんどん(作品の舞台となる)現場が変わっていって、今度はホラー現場ということで、毎回現場が自分自身ほんとに恐怖で、毎回けっこう大変な目に遭うことが多いので、私の中では怖い現場の作品のひとつではあるんですけど、怖いところを探すというよりかは、どちらかというと面白みを感じていただけると嬉しいと思いますし“ホラーあるある”と言いますか、ホラーの撮影の中でこういうことがほんとに起きるなってこともあったりとかするので、そのへん楽しんでいただきたいと思います」と、自らの経験も踏まえてアピールしました。
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森川圭監督、森田亜紀さん、酒井健太郎さん、藤井奈々さん、階戸瑠李さん(左より)の『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似会う』チームは森田亜紀さんが夏らしい浴衣姿で登場
劇中で映画監督を演じた酒井健太郎さんは「ポイントは“恐怖と笑いは紙一重”というところで、ホラーと笑いはつねに隣り合わせに共存しているなと思って、というよりも、怖いくらいに笑える映画になっております」、“ちょっと天然なアイドル”を演じた藤井奈々さんは「(アイドルの)ファンの方が観てもアイドルが観ても心にグサッと刺さるようなセリフがけっこう出てくるんですよ。そこがちょっと怖いなと思っていて、そこを楽しんでいただけたらなと思っています。でも森川監督らしい、最後はホッコリできる映画になっています」とそれぞれ見どころをコメント。
タイトルになっている“残念なアイドル”を演じた階戸瑠李さんは「いろんな映画が参加している中で、しびれたり感動した中で“ちょっと疲れたな”とか思ったときに、口休めみたいな感じに笑えるような作品にもなっているので、ちょっと笑ってホッコリしてもらえたらと思います」と、ほかの参加作品との違いを強調して『残ゾビ』チームのプレゼンをまとめました。
“アダルト監督”の紹介に「たしかにAV監督やらせてもらってます森川です」と別の意味の“アダルト”な自己紹介をした森川圭監督
「『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』という、とてもインパクトのある長い題名の作品で」と自己紹介の主演・森田亜紀さん
「この映画は見どころがいっぱいあるのが見どころだと思って、観る角度とか視点を帰ると何回観ても楽しめるなと」と酒井健太郎さん
「この作品は、アイドルのすごいリアルな、残酷な話とか、厳しい現実とかが描かれていて」と作品の見どころを語った藤井奈々さん
「数々あるホラー映画の裏側がかいま見えるような映画になっていますので、そういうところで観ていただけたらなと」と階戸瑠李さん
『星に願いを』の佐々木勝己監督は短くまとめたプレゼンテーションで場内を沸かせました
新鋭・佐々木勝己監督が送る『星に願いを』は“徹底的にクソでリアルな登場人物の人生が交錯する群像劇”で、開幕式には劇中に登場するモンスターも連れて参加。佐々木監督は「いっぱい殺しました、ハイ。以上です」と規定時間を大きく残す約5秒でプレゼンを終わらせ、周囲からは「早っ!」の声も上がりました。
佐々木勝己監督、正田貴美佳さん、畠山勇樹さん、尾関俊和さん(左より)の『星に願いを』チームはお揃いのTシャツ姿。さらに佐々木監督の手には映画に登場するアイテムも
正田貴美佳さんは「出てくる11人のキャラクターがどうしようもないんですが、どこかみなさんも共感を覚えてくれるような愛着があると思うのでそこを観てもらえると嬉しいです。素晴らしい作品がいっぱいあるんですが、絶対に負けたくないので応援よろしくお願いします」と、グランプリに向けた意欲も充分。
畠山勇樹さんは「佐々木勝己監督、これからの日本ホラー映画界をしょって立つ男でございます。そんな監督が、ほんとにめんどくさい役者たちと真剣に向き合って、人間臭いところをキャラクターに反映させて作り上げた映画が『星に願いを』です。ご覧になってですね、みなさんお気に入りのクソ野郎を見つけていただければと思います」と、尾関俊和さんは「ぼくが注目してもらいたいのは人間ドラマ部分です。ほんとにどうしようもない奴しか出てきてないです。そのどうしようもない奴を演じてます。ぜひ観てください」」と、登場人物が“クソ”ばかりという作品の特色をアピールしました。
正田貴美佳さんは「この映画の見どころは、まず音楽がすごいいです」とアピール
「汚い一票、清い一票、普通の一票よろしくお願いします」と投票を呼びかけた畠山勇樹さん
「このくまちゃんが出てきます」と、誰も話題にしなかったモンスターに触れた尾関俊和さん
『怪談新耳袋Gメン 孤島編』は“新耳Gメン”の男たちが心霊スポットを訪れる人気心霊ドキュメントシリーズの、絶海の孤島を舞台にした最新作。一時期の中断を経て2017年の『怪談新耳袋Gメン 復活編』で待望の復活を遂げた『新耳Gメン』シリーズは、昨年の『冒険編』で見事「ホラー総選挙」グランプリを獲得し、ディフェンディングチャンピオンとしての参加となりました。
谷口恒平監督、後藤剛さん、木原浩勝さん、山口幸彦さん(左より)の『怪談新耳袋Gメン 孤島編』チームは、映画には出演していない原作者・木原浩勝さんが登壇するというディフェンディングチャンピオンらしい強力な布陣で開幕式に参加
今回初めて『新耳Gメン』シリーズのメガホンをとった谷口恒平監督は「このラインナップの中で唯一のドキュメンタリー、ガチンコの恐怖が映っています。先月撮影しましてできたてホヤホヤのドキュメンタリーになります。いままでの『新耳Gメン』シリーズを揺るがすような問題作になっていますのでぜひご覧ください」と自信を見せつつ「具体的な見どころはこちらのGメンが言っていきますので」と丸投げしてほかのメンバーからはツッコミが。
Gメンには欠かせない初期からのメンバー・後藤剛さんは「問題作品なんですが、ぼくは一切ウソをついていません。それで観てもらえれば、いろいろわかると思います」と思わせぶりな言葉で期待を高めました。
作品の原作となった実話怪談集「怪談新耳袋」作者の木原浩勝さんは、ホラー総選挙に向けて「この作品のよいところは、アンケート用紙に『Gメン』と書くだけで成立します。映画の完成度はみんなあっち。女優の美しさと脱ぎっぷりもあっち。ハンデがありまくりの中で、もっとも素晴らしいのが『Gメン』と書くだけです。ほかのものはみんな譲りますけど、グランプリだけはぜひ我々に。それだけの作品ができあがっています。最後まで気を抜くことができない映画は同じですので、乞うご期待!」と、内容面だけでなく記入面での優れた部分をアピール。
そして新耳Gメンに欠かせないメンバーであり、上映作品の多くのプロデューサーでもある山口幸彦さんは「『怪談新耳袋Gメン』復活してから4作目ですか? 4作目になりますけど、先ほど谷口監督も言っていたように、今作が一番エロいです。おそらくたぶんすごいことになっています。あと喋ることはもうないので大丈夫です」と、気負うことのないコメントで21名の多彩な作品の監督・出演者が揃った開幕式を締めくくりました。
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「『天気の子』と共通するところも多くありますのでぜひ観ていただければ」と謎のアピールの谷口恒平監督
後藤剛さんは、シリーズではお馴染みの日本人形・はちを連れて登壇しました
木原浩勝さんは「『残念なオッサンは悪天候が似会う』の原作・木原です」とライバルを意識してあいさつ
司会者に「俳優」と紹介されて「俳優ですかぼく!?」とビックリの『ホラー秘宝まつり」を支える山口幸彦プロデューサー
『星に願いを』のモンスターは『新耳Gメン』チームのあいさつ中は邪魔にならないようにしゃがみ意外と気配りのできるところを見せていました
「夏のホラー秘宝まつり2019」開幕式に続いては、上映作の1本でこの日が初上映となる『シオリノインム』公開記念舞台あいさつがおこなわれました。
『シオリノインム』は、今年の「ホラー秘宝まつり」イメージガールで、昨年の「ホラー秘宝まつり」には美女たちが心霊スポットを訪れるドキュメンタリー『心霊ツアーズ』で参加していた松川千紘さんが主演のエロティックホラー。主人公・詩織が見る淫らな夢に出てくる男が、いつしか現実にも現れて詩織を脅かす恐怖が描かれていきます。
『シオリノインム』舞台あいさつで揃ってポーズの佐藤周監督、古谷蓮さん、松川千紘さん、辻凪子さん、武田一馬さん(左より)
実は『シオリノインム』は『心霊ツアーズ』オーディションでエロティックな心霊体験を告白したオーディション参加者が何人かいたことに着想を得て作られた作品で、佐藤周監督曰く「ある意味実話に基づく映画だという(笑)」。
『心霊ツアーズ』のゲーム企画で優勝しイメージガールの座を掴んだ松川千紘さんは、自身はエロティックな心霊体験はないものの『心霊ツアーズ』オーディションの際にほかのオーディション参加者が「すごくいい」と話しているのを聞いて興味を持っていたそうで、詩織を演じるにあたって「人間相手とは比べ物にならないなにかがたぶんあるんだろうなと思ったので、思う存分、激しい感じを出そうとがんばりました」と振り返りました。
佐藤監督は、現実の女性と幽霊が関係を持つという状況をどう映像で描くかについて「幽霊というのをかたちとして出したときにどういう表現にするのか、それともまったく映さずに一人芝居にするのかというのですごい悩んで、ぶっちゃけ両方やったんですけど」と語り「松川さんの一人芝居のときにすごいがんばっていて、相手がいないのでひとりで動くの大変だったと思うんですけど」と、まさに体当たりで演じた松川さんを賞賛。
そのシーンの撮影で「毎日のように筋肉痛になりまして、普段しない動きが多くて」という松川さんは、体をぶつけてアザをいくつも作るほどだったそうで、佐藤監督は「テストでも本番並の力でやるからすぐアザができちゃうんですけど、それがまたいいところでもあると思うんですけど」と、松川さんの熱演を労いました。
佐藤周監督は、メインロケ地が事故物件という告白に加え、別のロケ地に関する裏話も明かして場内を沸かせました
昨年『心霊ツアーズ』には“眼帯ビキニ”姿で出演し、今回は「眼帯すらさせてもらえない」のが見どころと松川千紘さん
恐怖場面やエロティックな場面以外では現場の和やかさが「ポップな面としてにじみ出てると思う」と語った古谷蓮さん
古谷蓮さんが「現場の雰囲気はどういうものなのだろうかと思っていたんですが、ホラーやエロとはかけ離れたような楽しいような現場で、笑いが絶えず」リラックスしたムードで撮影していたと現場の様子を語ると、佐藤監督がおもむろに「俳優部のみなさんに謝らなくていけなくて、和やかとか言っているんですけど、実はメインロケ地の家が事故物件だった」と衝撃の告白。古谷さんは「言ってくださいよ先に!」と驚くと「いまが一番ゾッとしていますね」と苦笑い。
詩織の友人を演じた辻凪子さんは「幽霊と交わるシーンが興味があったので、この映画で経験できなかったのはちょっと残念でしたっていう(笑)」と作品に心残りを見せ、詩織の元カレを演じた武田一馬さんは「たまに幽体離脱してます」と自らの心霊体験を告白しました。
辻さんの“交わるシーン”や、武田さんの幽体離脱体験を活かすためには続編を、という声も上がり、佐藤監督は「それか『完全版』を作るっていう」と、冗談ながら意欲的な姿勢を見せました。
「衝撃のシーンがあって、10回くらい観返したシーンがあるのでそこを楽しみにしてください」と期待を高めた辻凪子さん
「出てくるキャラクターたちが愛らしいというか、みんな個性豊かでかわいらしいんですよね、みんな」と武田一馬さん
舞台あいさつでは松川千紘さんのグラビアが掲載された週刊誌を辻凪子さんが取り出して舞台上で見るという一幕も
佐藤監督は、霊に暴行される女性の苦しみを描いたオカルト映画『エンティティー 霊体』(1982年・米/シドニー・J・フューリー監督)を例に挙げ、今回は『エンティティー』のような苦しむタイプの作品ではなく、かと言って霊との関係を楽しむ主人公にしてしまうとホラーではなくなることから「快楽がいかに危険なものか」を描いていこうと考えたと明かし「危険なタイプの快楽ってなにかなと思ったら、ギャンブルとか酒とかドラッグかなと思って、そういう依存症の恐怖を描いた映画でもあるかなとぼくは思っていて、裏テーマは依存症の恐怖みたいな感じで松川とも話して撮っていたんですけど、そういうのを考えて観ていただけると特にラストシーンなんかはまた違った味わいになるかなと」と作品の隠れたテーマについてコメント。
松川さんは「この映画の話をするとエロティックな話が多くなってしまうんですけど、もちろんエロティックな部分もすごくありますが、ホラーの部分もものすごくあって、監督がいまおっしゃっていた依存症の恐怖とか重い感じのテーマにも真っ向から立ち向かっていった作品だと思うので、去年の(『心霊ツアーズ』で着ていた)眼帯ビキニを取り外した私の感じも注目して観ていただきつつ、楽しんでいただければ嬉しいなと思います」と舞台あいさつを締めくくりました。
「夏のホラー秘宝まつり2019」は、開幕式に参加した5作品と、ニューヨークを拠点に映画評論家として活躍してきた小林真里(こばやし・まさと)監督が“【ニュー・ウェイブ・オブ・フレンチホラー】ムーブメント”を検証するドキュメンタリー『BEYOND BLOOD』の、新作6作品がプレミア上映されるのに加えて『ザ・クレイジーズ』(1973年・米/ジョージ・A・ロメロ監督)と『ドリラー・キラー』(1979年・米/アベル・フェラーラ監督) という海外の巨匠の2作品をリバイバル上映。まさに古今東西の作品を取り混ぜた「夏のホラー秘宝まつり2019」は、東京のキネカ大森では8月23日(金)より、名古屋のシネマスコーレ、大阪のシアターセブンでは24日(土)より、それぞれ開催。
例年同様、5本鑑賞したら1本無料となるスタンプラリーや、上映全作品コンプリートでDVD プレゼント、観客投票による「ホラー総選挙」&投票1位の作品を的中させたら抽選でDVDプレゼント、投票率最高の作品は最終日にシークレット上映、ゲストによるトークショー【ホラーしゃべれ場】などの開催といった観客参加型イベントもおこなわれます。
夏のホラー秘宝まつり2019
- 会場・会期:キネカ大森 8月23日(木)~9月5日(木)/シネマスコーレ 8月24日(金)~/シアターセブン 8月24日(金)~
- 料金:新作¥1500/旧作¥1100
- 提供:キングレコード/配給・宣伝:ブラウニー