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望月歩さん「映画に携われる時間が長いことが幸せ」 『向こうの家』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった監督・出演者。後列左より西川達郎監督、生津徹(きづ・とおる)さん、大谷麻衣さん、望月歩さん、南久松真奈さん、小日向星一さん。前列左より、植田まひるさん、円井わんさん、竹本みきさん
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 各地の映画祭で受賞やノミネートが続き注目を集めてきた『向こうの家』が10月5日にシアター・イメージフォーラムで初日を迎え、主演の望月歩さん、ヒロインを演じた大谷麻衣さんら出演者と西川達郎監督が舞台あいさつをおこないました。

 『向こうの家』は、高校生の森田萩が主人公。父親が不倫相手の瞳子(とうこ)さんと別れるのを手伝うために母親や姉には内緒で自宅と瞳子さんの家とを行き来するようになる萩や、その中で萩が見る“大人”たちの姿が、ユーモアを交えながら描かれていきます。西川達郎監督の東京藝術大学大学院映像研究科修了作品として制作され、各地の映画祭での受賞など好評を得て一般公開を迎えました。

 レイトショーにもかかわらず満席でのスタートとなり、主人公の森田萩を演じた望月歩さんは「ほんとにさっき(満席と聞いて)ビックリしちゃって、ほんとに嬉しいです」と笑顔を見せました。

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長編初監督となる西川達郎監督

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主人公・森田萩を演じた望月歩さん

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ヒロイン・向井瞳子役の大谷麻衣さん

 西川監督は、劇中で瞳子が住む家が「ある意味で主役の部分もある」ため、もともとある家をそのまま撮影に使うのではなく、空っぽの家に家具類を運び入れ庭に花壇を作るなどしてこだわって作りこんでいったと話し、撮影中には監督らスタッフや望月さん、大谷さんたちの宿舎にもなったというその家について「ぼくらが作りこんで一生懸命やった分だけ素敵な家になっていたので、気持ちのいい気分でそこに住むことはできたと思うんですけど、ただ、風呂がね(笑)」と望月さんに話題をパス。
 話を振られた望月さんは、その家の風呂場が4畳くらいある広い風呂場だったため「自分はお風呂は入るのはいつも30分くらいで、湯船に浸かるんじゃなくて、シャワーを浴びてってするだけで30分くらいかかるんですけど、怖くてたぶん5分くらいで」と、広すぎるお風呂場が怖かったと告白。
 西川監督も、望月さんがお風呂に行ったあと少し携帯を見ていたらもう望月さんが戻ってきていて「“もう終わったの?”って言ったら”怖くて”って(笑)」とそのときの様子を話し、望月さんは「そこ以外は素敵な家だったなって思います(笑)」と“主役”について話しました。

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萩の父親・森田芳郎を演じた生津徹さん

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萩の母親・森田奈保子役の南久松真奈さん

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萩の姉・森田芽衣を演じた円井わんさん

 ヒロインである向井瞳子を演じた大谷麻衣さんは、映画のクライマックスといえる終盤のシーンがクランクイン初日の撮影で「(スケジュールを)いただいた段階で、西川監督に“これ、どうにかならないですか?”」と言ったほどのスケジュールだったという裏話を紹介。

 そのスケジュールは撮影の都合上やむを得ず、西川監督も「ぼくも悔しかったですよ」と思いつつ決まったものだったそうですが、萩の姉・芽衣を演じた円井わんさんは「麻衣さん怖くて、はじめましてだったんですけど、喋りかけていいのかわからなくて」、萩の母・奈保子を演じた南久松真奈さんも「麻衣ちゃんは前から知っていたんですけど、(ロケ場所の)逗子の家で会ったときに、なんか、なにを話していいかわからなかったんで(笑)」と、いずれも初日に大事なシーンの撮影で大谷さんとどう接するかに戸惑いがあったとコメント。大谷さんは、役の設定上「私は距離をとっていたので」と振り返りました。

 また、萩の父親で瞳子の不倫相手の芳郎を演じた生津徹さんは「不倫真っ最中の方もお客さまの中にはいらっしゃるかもしれませんけれども」と話して客席の笑いを誘いつつ「あんなことができる人っていないだろうなって、ある意味すごい役を演じることができたなと思います。芳郎はほんとにいい奴なんだろうなということでまとめさせていただきたいと思います」と“いい父親”である一方で長年不倫を続けるという役を演じての感想を述べました。

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萩の彼女・成瀬みなみ役の植田まひるさん

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萩と同じ部活の斉藤英治役・小日向星一さん

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萩の部活の顧問の教員・皆川真帆役の竹本みきさん

 萩の彼女の成瀬みなみを演じた植田まひるさんは、撮影中は出演者はスタッフから役名で呼ばれるところ、植田さんだけ「“まひる!”って呼ばれていて、怒られているかのようにシャキッとなって、そういう場面があってちょっと笑いました」と撮影中の様子を語り、西川監督は「役名とごっちゃになってました。あとから気づくんですけど、誰ひとり直らなかったですね」とスタッフ側の事情も紹介。

 萩と同じ部活の友人・斉藤英治を演じた小日向星一さんは「歩くんの持つ親しみやすさのおかげで、すごく自然に仲のいい部員を演じられたって思っています」と話すとともに、望月さんと一緒の撮影のときに差し入れでもらったごま団子を望月さんに勧めたところ「歩くんが“ごま団子はちょっと……”って言ったので、嫌いなのかなって思ったんですけど、(望月さんが)“食べたことないんですよね”って言って(笑)。“じゃあ食べてみたら?”って言ったら、おいしいって、結局ぼくより食べてましたね(笑)」という微笑ましいエピソードを披露し、望月さんは「(その会話を)全然覚えてない(笑)。おいしかった記憶はありますけど」と照れ笑い。

 映画の冒頭に登場する部活の顧問の教員・皆川真帆を演じた竹本みきさんは、大谷さんのエピソードとは逆に「最初のシーンだったんですけど、オールアップの最後で撮ったので。私が入って15分くらいで(作品の撮影すべてが)アップしましたね」と話し、西川監督も「この作品はファーストシーンが最後で、最後のシーンで最初って、そういうスケジュールでしたね」と、スケジュールが生んだ面白さ話しました。

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トーク中の西川達郎監督、望月歩さん、大谷麻衣さん(左より)

 舞台あいさつは、大谷さん、望月さん、西川監督それぞれのコメントで締めくくられました。

「この作品は、私が初めてヒロインを演じさせていただいた作品で、個人的にもとても思い入れの深い作品です。それがこうして劇場公開という運びになったことをほんとに嬉しく思っていて、東京・渋谷から始まり全国に行けたらいいなと思っております。なのでみなさん、この作品が少しでもよかったなと思ってくださったら、今後も応援していただけると嬉しいです」(大谷麻衣さん)

「7月20日から『五億円のじんせい』という映画の主演をやらせていただいて、今年2本目の主演という映画の公開だったんですけど、撮影はこっちのほうが早くて、ぼくの初主演の映画は(撮影の順番では)こっちなんです。だからぼくの中ではほんとに大きくて、10年くらい前からこの道を目指して、この場所にたどり着こうと思って、まだまだ先は長いですけども、やっとここまで来られた作品のひとつがこういうかたちで映画館で公開されることがほんとに嬉して、ぼくら役者は作品が終わったらすぐ打ち上げやって次の作品って、ほんとに関われる期間が短いんです。それでも主演という立場をやらせてもらうことで、映画に携われる時間が長いことがほんとに幸せで、だから今年はほんとにいろいろ考えられることがあるなと思って生きています。『五億円のじんせい』のときも言ったんですけど、ぼくはほんとに絶大的な知名度があるわけでもなく、みなさんを呼び込めるような言葉が出せるような頭があるわけでもなく、ずっと芝居ばっかやってきた人間だから、みなさんの言葉でこの映画のことを広めてくださるとありがたいなって思うので、そこはどうかよろしくお願いします。今日は楽しんでいただけたのなら嬉しいです」(望月歩さん)

「『向こうの家』という作品はあくまで大学院の修了制作なので、決して大きな体制の作品ではないんです。“風が吹けば飛んでいってしまうような”というか、なにもしなければこうやって劇場公開もできない、そういった作品だったのを、どうにかこの作品にふさわしい場を設けたいと思って、この1年半くらい駆けずり回ってきて、今日ようやくここを迎えられたというのがあります。この日を迎えるにあたって協力してくださったみなさまと、こうしてお越しいただいてこの光景を一緒に作ってくださったみなさまに、ほんとに感謝しております。『向こうの家』という作品が、この渋谷のイメージフォーラムでやっていて“自分は観てこう思ったよ”とか“こういうふうに考えたよ”とか“面白かったよ”とかですね、ぜひみなさま。お近くのどなたかに言葉として伝えていただけたらと思いますし、もちろんSNSなどでも発信していただけたらなと思います」(西川達郎監督)

 舞台あいさつ登壇者のほか、多くの作品で強い印象を残すでんでんさんらが出演する『向こうの家』は、10月5日(土)よしシアター・イメージフォーラムにて公開されています。

作品スチール

向こうの家

  • 監督・原案:西川達郎
  • 出演:望月歩 大谷麻衣 生津徹 ほか

2019年10月5日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかロードショー

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