舞台あいさつをおこなった笹翼(ささ・つばさ)さん、松田岳さん、三山凌輝(みやま・りょうき)さん、秋葉友佑さん(左より)
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舞台などで人気の4人の俳優、松田岳さん、三山凌輝さん、笹翼さん、秋葉友佑さんが出演する『縁側ラヴァーズ』(2020年公開予定/今野恭成監督)の完成披露上映イベントが11月24日に目黒区民センターホールで開催され、4人が舞台あいさつをおこないました。
『縁側ラヴァーズ』は、都会から離れた街に建つ縁側のある古い日本家屋を舞台に、塾講師の佐々木諒、元・エンジニアの多井幸雄、アパレル店員の白鳥祐一、白鳥の上司の滝沢太郎という4人が繰り広げるハートウォーミングストーリー。佐々木と多井の引っ越しが迫るある1日の出来事を中心に、縁側で過ごす時間の中でそれぞれの人生について考えていく若者たちの姿が描かれていきます。
舞台あいさつは上映終了後におこなわれ、佐々木諒を演じた松田岳さんは「観ていただくお客様がいて初めて作品は陽の目を浴びるという言葉があるように、いま、この映画『縁側ラヴァーズ』完成したなと思って、感動いたしました」と作品のお披露目を終えての心境を述べました。
上映イベントは16日に大阪でも開催されており、多井幸雄を演じた三山凌輝さんは「東京のお客様って、笑うところがちょっと違ったりして、それも新鮮でした。うしろか(上映中の様子を)見ていて、そこも笑うんだとか、そこはやっぱり笑うよねとか」と、東京と大阪での反応の違いに触れてコメント。
三山さんも話したように作品は笑える場面も多い内容で、白鳥祐一を演じた笹翼さんは、出演者と観客のみなさんで笑うポイントが違ったところがあると話し「やっている側だからこその笑い、見ている側だからこその笑いみたいなズレも、二度楽しんでいるみたいな感じで見させていただきましたね」と、出演者ならではの視点を紹介。
滝沢太郎を演じた秋葉友佑さんは「2回目観ると“このシーン大変だったな”とかそういう想いで、そこを観て笑っていただいたりリアクションがいただけると、ほんとに嬉しいなという感じが今日しましたね」と、大阪での初上映に続き2度目の作品鑑賞の感想を話しました。
上映後とあってイベントでは作品の内容にかなり踏み込んだトークが繰り広げられ、三山さんは終盤のシーンで自身が演じた多井が見せる表情を見て客観的に「多井、よかったな」と思ったと話し「そこを観ていただけていたら嬉しいです」と見どころを挙げました。
笹さんは、この作品を観て「ぼく、カッコつけてるよりダサいことをしているほうが似会うんだと思って」と、自分について新たな発見があったと話し「ダサいところを観てほしいなって。“ダサ翼”を観てほしい」と、自分の名前をネタにして客席の笑いを誘いました。
映画は4人の若者と大家の親子や隣りに住むおじさんたちとの交流が大きな要素となっており、大家の娘の小学生・美衣子(みいこ)を演じた子役の咲希(さき)さんとの共演シーンが多かった三山さんは「かわいらしいし、すごくいい子だし、ほんとに娘にしたいなって。娘を持つってこんな気持ちなのかって、20歳になりたてで気づいてしまったという」と、ほかの共演者から「早いよ!」とツッコまれる発言で現場の和やかさを感じさせつつ、多井が美衣子を叩くシーンは「役になったらやらなきゃいけないんですけど“ゴメン……”って」と、戸惑いもあったと話しました。
また、佐々木と白鳥、秋葉が岡野陽一さんが演じる大家の岡野友郎と居酒屋で騒ぐコミカルなシーンについて松田さんは「一番監督がこだわっていたね」と話し、笹さんも「この映画全体を通してけっこうシュールな笑いが多い。ああいうシュールな笑いを作っていたんだというのが映画を観て初めてわかる。撮影現場だと“ほんとにこれ面白いのかな?”とかちょっとあったりもしたんですけど、ちゃんと監督の狙い所で笑いが起きていたのが、監督のコレだなって」と、メガホンをとった今野恭成監督の手腕に感心した様子。
三山さんも、佐々木と多井が衝突するシーンで今野監督から「カッコいいケンカじゃないんだ」と言われたことを明かし、その結果仕上ったシーンについて「あの感じがすごい好きでした」と感想を。同じシーンについて松田さんも「解決になっていないのがすごいよかったなっていうふうに思いますね。ケンカして仲直りじゃなくて、モヤモヤしたものが続くみたいなのが、なるほどなって思ってました」とそのシーンへの想いを述べました。
トーク中も仲の良さをうかがわせた松田岳さん、三山凌輝さん、笹翼さん、秋葉友佑さん(左より)
イベント終盤には、4人それぞれが作品についてメッセージを述べました。
松田さんは、歩く音や風の音など「生活音」と「自分の家でいろんな人、しかも家族ではない人が集まって食事をする」食事シーンがこの映画の魅力だと思うと振り返り「ケンカしたりとかあるかもしれないけれど、一緒に生きていくことだけですごく大事なことなんだなということを思い起こさせてくれた映画だなと思いますので、ぜひ何度も観ていだければ。またもう一度観るときに、その“音”に注目していただければ嬉しく思います」。
三山さんは、映画の終盤のシーンでの多井のセリフは「多井があそこで多井なりに思っていたことを全部吐き出すというか」という気持ちで演じていたと話し、今回の上映での反応でそれが伝わっていることを感じて「多井としてはすごくよかったなと」と話し「人ってこういう同時刻で一緒に生きていることって意味があるんだなとか思った映画だったので、生活音も聞き心地もいいですし、映画自体もあたたかいし、笑えるところがあったりとかする映画なので、機会があったら何回でも観てください」。
笹さんは、この作品が「いろんあ登場人物がいて、そのひとりひとりがいろんなバックボーンがあって」観るたびに誰かを中心にして観ることのできる映画であり「いろいろな人間がいるからこそ、この話ってそんなに大きな事件とかも起こらないんですけど、それでも最後まで飽きずに観られる、何度でも観られる映画」だと思っていると話し、最後のシーンも深読みができるので「また観る機会があればいろんな見方をしてもらいたいなと思いました」。
秋葉さんは「ぼく自身、この映画を獲ったときにですね、撮り終わってからもそうなんですけど、ほんとにすごくあたたかいなと強く感じました」と話すと、映画をご覧になったみなさんがプライベートであたたかい一瞬一瞬があったとき「この映画をまたちょっとでも思い出していただいて、そういう気持ちになっていただけたら嬉しいなと思います」と『縁側ラヴァーズ』とそれぞれの気持ちを重ねてほしいと勧め「重なってもらって、映画を思い出してもらえればぼくたちは幸いに思います」。
そんな四者四様のメッセージでイベントは締めくくられました。
松田岳さん、三山凌輝さん、笹翼さん、秋葉友佑さんの4人のほか、岡野陽一さん、咲希さん、温水洋一さんらが共演し、葛藤する人々の姿をゆるやかな時間とちょっとした笑いの中で描いていく『縁側ラヴァーズ』は、来春公開予定です。