国内外の映画祭でグランプリを含む11冠を獲得している『公衆電話』をはじめ、松本動(まつもと・ゆるぐ)監督の短篇3作品が上映されるイベントが佐賀県のミニシアター“シアター・シエマ”で3月24日に開催されます。
東日本大震災時の障害者と支援者の姿を描いた新作長編『星に語りて~Starry Sky~』の公開も決定している松本動監督は、大林宣彦監督最新公開作『花筐/HANAGATAMI』の監督補佐と予告編制作やドキュメンタリードラマの脚本と演出、アイドルグループ・乃木坂46シングルCD特典映像監督など幅広い映像分野で活躍。短篇制作も精力的におこなっており、多くの作品が各地の映画祭で受賞するなど高い評価を得ています。
今回のイベントで上映されるのは『公衆電話』『ガチャガチャ/ GACHA GACHA』『ミックス』の3作品。
最新作となる『公衆電話』(2018年)は、2018年年5月に開催された第5回岩槻映画祭でグランプリにあたる最優秀作品賞と観客賞をダブル受賞、6月開催のSSFF&ASIA 2018では出演者の入江崇史さんがジャパン部門ベストアクターアワードを受賞するなど、すでに受賞が相次いでいる作品。OL役に菅井玲さん、その父親役に入江崇史さんを迎え、公衆電話からの着信をきっかけに始まる娘と父の物語が情感豊かに描かれていきます。
『ガチャガチャ/ GACHA GACHA』(2016年)は、いまおかしんじ監督『おんなの河童』(2012年)主演の正木佐和さんや「ウルトラマンオーブ」ジャグラスジャグラー役で注目され映画出演が続く青柳尊哉さん、針原滋さん、桜木梨奈さんらが出演。若い男性社員に恋をしたアラフォー女子が「ドラマのヒロインになれる」というガチャガチャを回したことで起こる出来事を描いていきます。(→予告編)
『ミックス』(2015年)は、子役の咲音さん、古澤裕介さん、今谷 フトシさん、正木佐和さんらが出演し、ある場所を目指して家を出た5歳の女の子と、女の子の手助けをしようとする40歳の男の旅を描いた作品。(→予告編)
『公衆電話』『ガチャガチャ/ GACHA GACHA』『ミックス』は、いずれも横浜で毎年開催されている映画祭「横浜映像天国」でグランプリを獲得(『ガチャガチャ/ GACHA GACHA』は審査員賞とダブル受賞)しており、今回のイベントは同映画祭の第20回から22回までのグランプリ受賞作一挙上映ともなっています。
今回の上映イベントは、シアター・シエマを応援するファンの集まり「シエサポ会」による映画を語り合うイベント「月いちシエマ」の特別篇としておこなわれるイベントで、佐賀県唐津市を舞台とした『花筐/HANAGATAMI』撮影の際に、監督補佐である松本監督と現地スタッフとして参加していたシアターシエマスタッフが出会い意気投合したことにより実現したもの。
当初は昨年の7月7日に開催が予定されていましたが、西日本豪雨の影響で無期延期となっており、8ヶ月以上を経てのリベンジ開催となりました。
イベント参加者には上映作品のポストカードが全員にプレゼントされるのに加え、当日のお楽しみとなるシークレットプレゼントも用意。上映後には松本監督も交えて感想を語り合う会もおこなわれ、料金はご覧になった方が自由に決められる投げ銭方式(別途1ドリンク代が必要)というユニークなスタイルになっています。また、イベント後には監督も参加する懇親会も開催されます(イベントとは別料金)。現在、シアター・シエマにて、メールと電話で参加申し込み・問い合わせを受け付けています。
なお、昨年のイベントに出演予定だった松本監督は豪雨によって博多で足止めされ宿泊施設も満室のため車で一夜を過ごすことを余儀なくされましたが、その車中で『公衆電話』の続編のストーリーを思いつきシナリオを執筆、そのシナリオは『カセットテープ』のタイトルで映像化され、2018年12月に開催された第6回八王子Short Film映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞するという、松本監督のたくましさを感じさせるエピソードも生み出されています。
そんなエピソードを持つ松本監督だけに、監督とのトークや懇親会も楽しい時間と鳴るに違いありません。