東日本大震災を障害者と支援者の立場から描くヒューマンドラマ『星に語りて~Starry Sky~』(松本動監督)が、震災8年目を目前にした3月10日にアップリンク吉祥寺で緊急先行上映されます。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は甚大な被害をもたらしました。その中で、障害を持つ人の死亡率がそうでない人の2倍であったというあまり知られていない事実があります。『星に語りて~Starry Sky~』は、被災した共同作業所の利用者や職員、支援する人々の姿を通して、震災において障害者や支援者が直面した現実を取材に基いて描いた作品です。
脚本を担当したのは「どんぐりの家」などで知られるマンガ家で自身も被災者である山本おさむさん。大林宣彦監督『花筐/HANAGATAMI』で監督補佐をつとめ、短篇作品が各地の映画祭で受賞している気鋭の監督・松本動(まつもと・ゆるぐ)監督がメガホンをとっています。
作品が「ごく普通の人たちの群像劇」であるため、固定イメージの先行する俳優よりも「知名度は低くとも、実力のある役者に演じてもらうことにより、観客が自然と感情移入できる」という脚本の山本さんと松本監督の意向から、知名度にこだわらないキャスティングが実現。そこに、幅広い作品で活躍するベテランの螢雪次朗さん、数多くの山田洋次監督作品に出演する赤塚真人さん、宮城県気仙沼市出身のアナウンサー・タレントの生島ヒロシさんが加わりました。
さらに、オーディションによって普段は共同作業所で働いている障害当事者の方々を出演者として起用しており、松本監督は「障害のある人たちの強い人間力には圧倒されました。その存在感は素晴らしく、心を鷲掴みにされるお芝居には、本当に唸らされました。この映画の一番の見所です」と、熱いコメントをしています。
『星に語りて~Starry Sky~』は、成人期の障害のある人たちが地域で 働く・活動する・ 生活することを応援する事業所の全国組織である“きょうされん”の結成40周年を記念して製作された作品。今後、劇場での上映と併行して全国各地で自主上映会が行われる予定となっています。
3月10日(日)アップリンク吉祥寺での緊急先行上映は午前10時より1回上映。より多くの方に映画を鑑賞していただけるようバリアフリー上映され、上映終了後には、松本動監督と出演者(現在調整中)ほかによる舞台あいさつもおこなわれます。
作品の上映にあたり松本動監督は以下のようにコメントを発表しています。また、公開された特報映像では劇中の映像に加えメイキング映像や松本監督の作品への想いも見ることができます。
松本動監督コメント
私が強く願うことは、この映画を障害福祉へ関心の無い人たちにこそ、ぜひ観てもらいたいという思いです。
私はこの映画に携わるまで、恥ずかしながら自分もその一人でした。
普段、障害のある人と接点が無い人たちは、きっと私と同じでしょう。
ですから、そんな人たちがこの映画を観て実情を知ってくれれば、きっと障害のある人たちの存在を意識し、関心を持ってくれるはずです。
人は、いつ障害を持つかわかりません。
それは病気や事故によるものかもしれませんし、健康である人も、歳を取ると共に何かしらの障害がある人になり得るのですが、それに気づいていない人たちが大勢いるのです。
この映画は、過去の東日本大震災を描きながら、すべての人にいずれ訪れる、未来の有り様をも描いています。
私はこの「星に語りて~Starry Sky~」を、一人でも多くの人に観てもらい、その真実を知っていただきたいのです。
そのためにも、障害のある人たちを描く作品というと、教育映画的になりがちですが、一つのヒューマンドラマとして、見応えのある魅力的な作品創りを心掛けました。