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佳山明さん「ポジティブなエネルギーになったら嬉しい」 『37セカンズ』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった監督とキャスト。前列左より佳山明(かやま・めい)さん、芋生悠(いもう・はるか)さん。後列左より、HIKARI監督、渡辺真起子さん、大東駿介さん、神野三鈴さん、板谷由夏さん。佳山明さんとHIKARI監督のドレスはアパレルブランド・WEGOの服を文化服装学院の生徒さんがリメイクしたコラボ作品
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 障害を抱えたひとりの女性が羽ばたく姿を描き、ベルリン国際映画祭で2つの賞に輝いた『37セカンズ』(サーティーセブンセカンズ)が2月7日に初日を迎え、新宿ピカデリーで主演の佳山明さんら出演者とHIKARI監督が舞台あいさつをおこないました。

 『37セカンズ』は、生まれたときに“37秒間”呼吸が止まっていたために障害を抱えた車椅子の女性・貴田ユマが主人公。人気マンガ家のゴーストライターをしているユマが、新しい世界に足を踏み出しさまざまな人々との出会いの中で変わっていく姿が描かれていきます。昨年2月に開催された第69回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門で、同部門の最高賞である観客賞と、国際アートシアター連盟賞をダブル受賞し、1年を経て日本公開を迎えました。

 18歳のときに渡米し映画を学び、これが初長編作となるHIKARI監督は「実はですね、ベルリン国際映画祭がちょうど1年前、2019年の2月7日がスタートの日だったのですよね。なので今日、こんなパーフェクトな日にみなさんにお会いできて、日本で劇場公開をさせていただけるという、ほんとに幸せな気分でいっぱいです。どうもありがとうございます」と初日を迎えた喜びを込めてあいさつ。

 実際に脳性まひで身体に障害を持ち、オーディションでユマ役に抜擢され演技に初挑戦した佳山明さんは「少々緊張しておりますが、素敵なみなさんといまこうやってこの場に立たせていただいていて、すごいありがたいなと思っています」とあいさつしました。

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HIKARI監督は主演の佳山明さんについて「ふたりで二人三脚で、私も初長編、彼女も初演技ということで、ほんとに命を懸けてがんばってくれた」と話しました

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主人公・貴田ユマ役の佳山明さんは、舞台あいさつ中に涙を見せたあと「メイクさん(メイクを崩して)ごめんなさい」と、スタッフを気遣う細やかさを見せていました

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「監督の情熱と愛情と、いままでアメリカで撮られてきたいろいろな想いが、初長編の中で開花していると思います」と、ユマの母・恭子を演じた神野三鈴さん

 佳山さんは感極まったのか舞台あいさつ序盤から涙を見せ「素敵なみなさんにたくさん支えていただいて、応援していただいて、この作品があります」と想いを述べると「観ていただいて、この(共演者の)みなさんの素敵さとともに、この作品の素敵さを感じていただけたら嬉しいなと思います。(観客の)みなさんそれぞれ思われるところがあると思うんですけど、ポジティブなエネルギーになったら嬉しいです」とメッセージを語りました。

 ユマの母親・恭子を演じた神野三鈴さんは、作品を「明ちゃんの勇気」から始まった“冒険旅行”と表現し「その冒険旅行をみんなで一緒にこれから楽しんでください」と呼びかけました。

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「(撮影してから)1年半の間にこの作品に対する思いがぼく自身どんどん募って、やっと今日が迎えられたなという想いです」と、介護士・俊哉役の大東駿介さん

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「深く強く覚悟をして、監督のもとでみんなががんばって撮り上げた作品です。ほんとに初日を迎えて感無量でございます」と、デリヘル嬢・舞役の渡辺真起子さん

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物語の展開上、上映前には「言えない役」の芋生悠さんは「自分にとってかけがえのない作品になりました。これからみなさんに観ていただけるのが嬉しいです」

 介護士の俊哉を演じた大東駿介さんは、現場でのHIKARI監督について「愛情を持って現場に立っていらっしゃる」と評し「厳しいこともあるし、なかなか粘り強いところもあるけど、それもこの作品に対しての想いが明確に見えているので、周りは一切迷わない」とコメント。ダメ出しも俳優それぞれの今後までも考えてくれていると話し、完成した『37セカンズ』は「HIKARIさんみたいな作品やなという印象でした」と話しました。

 コミック誌誌編集長・藤本役の板谷由夏さんや、芋生悠かさんらほかの出演者からもHIKARI監督の厳しくも愛情を感じる現場での様子が語られ、当のHIKARI監督は今回のキャストとの映画作りについて「すごく勉強になりました。いっぱい映画を撮り続けても一生忘れてない経験だなというのはいまだに想いますよね。なので感謝しています」とキャストに感謝。

 また、大東さんは「この作品ですごくエネルギーをいただきまして、どうにかこれを還元できへんか」という想いから、インターネット上で「『37セカンズ』とか障害とか、そういうものをキーワードに各界のいろんな方にお話を伺うという新しいプロジェクト」であるインタビューマガジンを始めたと話し、この作品で得たものの大きさを感じさせました。

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1年前からこの作品が「みんなの愛情も含め、羽ばたく感じも含め、すごくパワーを持ってきていて」いるように感じるとコミック誌編集長・藤本役の板谷由夏さん

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舞台あいさつ入場時には車椅子の佳山明さんを介護士を演じている大東駿介さんが劇中と同様にサポート

 舞台あいさつの最後に佳山さんは「みなさんありがとうございます、ろしくお願いします」とシンプルに感謝の言葉を。

 HIKARI監督は「ここまで来るのにほんとに長い道のりで、脚本を書いたときから3年、4年経ったいまなんですけど、こうやって今日この作品と大好きなキャストのみんなとこうやってみなさんの前で映画を上映できるのがすごく嬉しくて、この映画はほんとにいろんな想いとこの作品を世に出したいと思ってくださっているたくさんの方々の愛の賜物だと思うんですね。いま世界でいろんなことが起こっている中で、私のような人間のことを信じて映画を作らせていただけているというのがすごく幸せだと思っています」と心境を語り「私たちはこの作品をここまで持ってくることができたので、あとはみなさんにバトンタッチします。映画を観終わったあとに“あの人に観てほしいな”という人がいたら、その人と手を繋いで劇場にもう一度やってきてください。ぜひ、たくさんの方に観ていただきたいので、これからもどうぞよろしくお願いします」と舞台あいさつを締めくくりました。

 舞台あいさつ登壇者のほか、熊篠慶彦さん、萩原みのりさん、渋川清彦さん、尾美としのりさんら多彩なキャストが出演し、さまざまな壁を越えていくユマの姿を高いエンターテイメント性の中で描いていく『37セカンズ』は、2月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開中です。

作品スチール

37セカンズ

  • 監督・脚本:HIKARI
  • 出演:佳山明 神野三鈴 大東駿介 渡辺真起子 熊篠慶彦 萩原みのり 芋生悠 渋川清彦 宇野祥平 奥野瑛太 石橋静河 尾美としのり/板谷由夏 ほか
  • 配給:エレファントハウス、ラビットハウス

2020年2月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

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