新型コロナウイルス感染症拡大により苦境に立つミニシアターへの緊急支援を政府に要請する#SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクトが多くの映画人らの呼びかけと賛同によりスタートし、オンラインでの賛同者募集もおこなわれています。
全世界的に猛威を振るう新型コロナウイルスは映画産業にも大きな影響をもたらしており、特に小規模映画館=ミニシアターは、来場者の激減や自粛要請に応えた休館により経営上の打撃を受けており、現状が続けば閉館を余儀なくされるミニシアターも多いと予想されています。
多様な映画を観客に届ける重要な場であるミニシアターを守るためにスタートした#SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクトでは、政府にミニシアターへの緊急支援を求める要望書を作成、オンラインで賛同者が募られています。
このプロジェクトは、映画監督、脚本家、俳優や映画関連団体を含む多くの呼びかけ人と賛同人によって実施されるもの。
要望書提出のほか、クラウドファンディングを利用した具体的な施策もおこなっていくのに加え、深田晃司監督と濱口竜介監督が発起人となり準備が進められている「ミニシアター基金」とも連携して活動をおこなっていきます。
賛同者を募るキャンペーンは Change.org(http://chng.it/Sk6V6Vhc7g)で実施中。プロジェクトの進行状況など詳細は公式ツイッターアカウント(https://twitter.com/save_the_cinema)で更新されています。
連携する活動の「ミニシアター基金」は、クラウドファンディングが準備中で、公式サイト(https://minitheater-aid.org/)が4月中旬に本格稼働予定。最新情報はFacebook(https://www.facebook.com/minitheateraid/)、ツイッター(https://twitter.com/MiniTheaterAID)の公式SNSで伝えられます。
以下、要望書全文と呼びかけ人一覧を記載します。賛同者は多数のため本記事では省略します。
新型コロナウィルスによって大きな打撃を受けている
日本政府、国会議員の皆さまへ。
小規模映画館(ミニシアター)等への緊急支援を求めます
現在、新型コロナウィルスによる影響は、芸術文化の一翼を担う映画の企画、制作、配給、上映などに関わるすべての映画人にも甚大な被害を与えています。
とりわけ、映画文化の多様性を担うインディペンデントの小規模映画館(ミニシアター)は存続の危機を迎えており、私たちは大きな危機感を抱いています。
新型コロナウィルスが大きな社会問題となり、まず映画館の集客は30~50%以上減少しました。3月26日にイべントや不要不急の外出の自粛が要請されて以降は観客の減少は急激に加速し、集客80%減や観客ゼロでの上映という悲鳴のような声も聞かれるようになりました。ミニシアターの上映を支えている良質な映画の配給者も、このような状況の中で配給を延期せざるを得ず、ミニシアターの今後の状況はさらに悪化してゆくものと思われます。 この状況のもと、映画館や上映事業者は、感染防止の観点から、あくまで自らの責任で運営や活動の休止を決断するよう迫られています。しかし、何の経済的補償もない中での「休館」は、そのまま「閉館」に繋がってしまうことになりかねません。今の状態が 6 月まで続けば、夏を待たずに閉館する映画館が続出することか予想されます。
ドイツの文化相は「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は」と述べ、文化機関や文化施設を維持し芸術文化によって生計を立てる人々の存在を確保することはドイツ政府の文化的、政治的最優先事項である」と明言しました。地域やコミュニティに根ざし、日本の映画文化の中核を担うミニシアターは、単なる娯楽施設ではなく、地域に多様な文化芸術体験を提供し、コミュニティの「文化権」を確保する重要な文化芸術拠点であり、美術館、劇場、音楽堂等の公立文化施設や劇団、楽団、美術家、音楽家等と同等に民主主義社会に欠くことのできない存在です。
いま、「映画」を人々に届ける文化芸術拠点が地域から消滅してしまう危機に瀕しているのです。
私たちは映画文化に関わる映画人として政府に対して以下の支援が得られることを強く求めます。
・緊急的な支援として 新型コロナウィルス感染拡大防止のための自粛要請・外出自粛要請、また、拡大防止対策 (時短営業や客席数を減らす等)によって生じた損失(観客数の大幅な減少)を補填することに よる支援を求めます。
・終息後の支援として 集客を回復させるための広報活動の充実、ゲスト招聘、特集上映などのイベントに対する支援を求めます。
2020年4月6日呼びかけ人# SaveTheCinema(50音順)
荒井晴彦(脚本家 映画監督)
井浦新(俳優)
井上淳一(脚本家 映画監督)
入江悠(映画監督)
岩崎ゆう子(一般社団法人コミュニティシネマセンター事務局長)
上田慎一郎(映画監督)
枝優花(映画監督)
柄本明(俳優)
大高健志(プロデューサー MOTIONGALLERY代表 POPCORN共同代表 Incline)
上村奈帆(映画監督)
是枝裕和(映画監督)
佐伯俊道(脚本家 協同組合日本シナリオ作家協会理事長)
志尾睦子(シネマテークたかさき支配人・高崎映画祭総合ディレクター 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
白石和彌(映画監督)
諏訪敦彦(映画監督)
想田和弘(映画監督)
田井肇(大分シネマ5代表 一般社団法人コミュニティシネマセンター代表理事)
塚本晋也(映画監督)
土屋豊(映画監督 独立映画鍋)
寺井隆敏(CINEMA PLANNERS代表)
西原孝至(映画監督)
濱口竜介(映画監督)
深田晃司(映画監督 独立映画鍋)
藤井道人(映画監督)
舩橋淳(映画監督 独立映画鍋)
北條誠人(ユーロスペース支配人 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
松本正道(アテネ・フランセ文化センター 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
馬奈木厳太郎(弁護士 プロデューサー)
森達也(映画監督)
一般社団法人コミュニティシネマセンター(代表理事 田井肇)
太秦(配給会社 代表 小林三四郎)
NPO法人独立映画鍋