舞台あいさつをおこなったいまおかしんじ監督、小槙まこさん、森岡龍さん(左より)
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奇才・いまおかしんじ監督によるタイムスリップ・ラブストーリー『葵ちゃんはやらせてくれない』を上映中のシネマート新宿で、6月12日に主演の小槙まこさんと共演の森岡龍さん、いまおか監督が公開記念舞台あいさつをおこないました。
『葵ちゃんはやらせてくれない』は、映画監督志望の青年・信吾が、幽霊として現れた大学時代の先輩・川下さんの「後輩の葵ちゃんとやりたい」という願いを叶えるため、幽霊の川下さんとともに大学の映画研究部時代にタイムスリップして奔走する“SF×エロス×青春×ラブロマン”。
オーディションでヒロインの葵ちゃん役に抜擢された小槙まこさんはこれが映画初主演で、主演に決まったときの心境を「オーディションのときは“このページを読んでください”みたいな感じの、お芝居というよりホン(台本)を読むみたいなオーディションだったんですよ。ベッドシーンもあるので水着の審査もあって、手応えもなにも感じず“大丈夫だったかな?”という感じで帰った覚えがあったので、(決まったと連絡があったときは)すごい嬉しかったです」とコメント。
葵ちゃんがミュージシャンを目指しているという設定のため小槙さんは劇中でギター演奏と歌に初挑戦しており「台本は事前にいただいていたんですけど、実際に(自分が)やるって思って見たときに、ギターもある、歌もあるっていう、初めてのことが多すぎて“どうしよう?”っていう急な不安が(笑)押し寄せました」と振り返りました。
いまおか監督は小槙さん起用の理由を「オーディションってほかにも何人も会ったんでよくわからなかったんですけど(笑)、終わってみてフッと「ああ、(小槙さんは)葵ちゃんだな」と思ったので、ぜひということでお願いしました」と語り、葵ちゃんに想いを寄せる川下先輩を演じた森岡龍さんは「小槙さんがぼくの目を見るように意識してくださったみたいで、すごく気持ちが作りやすかったですね。やりやすかったです」と、共演しての印象を述べました。
物語の中心となる映画監督志望の青年・信吾を演じた松嵜翔平さんは台湾での映画撮影後に帰国して隔離期間中のため舞台あいさつには登壇できませんでしたが「劇場に直接顔を出せず残念です。いまおかさんの映画に出るのは3回目です。1回目は真犯人の役、2回目はヤクザの舎弟、そして今回はエッチな映研の学生。毎度毎度楽しいです。これからもよろしくお願いします。みなさん今日はありがとうございました」というメッセージが所属事務所の先輩でもある森岡さんにより代読されました。
2014年にも今回と同じく「先輩の川下さん」が登場する映画『川下さんは何度もやってくる』を監督しているいまおか監督は、監督自身の大学時代の映研の先輩で卒業後も「なんだかんだ」親交がありつつ40歳で自ら命を絶たれた「川島伸夫」さんという方が実在することを紹介。川島さんの死を「どのように受け止めていいのかずうっとわからなくて」という中で「ぼくはたまたま映画監督だったから、そのことを映画にして“こういう人がいたんだよ”と知ってもらうことができるんだといういうふうになって、最初はなかなかストレートにはできなかったんですけど、10年くらい経ってストレートにできるようになって、また今回できることになって、ほんとに個人的な趣味で自主制作でやるような話なんですけど、こういうのを商業ベースでやれる機会があればやりたいなと思っていたので」と、監督自身の川島さんへの想いが作品のベースになっていることを明かしました。
トーク中の小槙まこさん(中央)といまおかしんじ監督(左)、森岡龍さん
戻りたい時代にタイムスリップするという劇中の設定にちなんで「タイムスリップして戻りたい時代は?」という質問がされると、森岡さんは一度は「江戸とか行ってみたいですね。粋な人情が残っていそうで」と答えましたが、その後改めて「撮影現場に戻って、もうちょっとは痩せた体型で撮り直したいですね」と回答し、すでに映画を鑑賞している客席からも納得するような反応が。
森岡さんは、撮影が昨年の緊急事態宣言解除後すぐで「ちょっとコロナ太り」していたのに加え『川下さんは何度もやってくる』で佐藤宏さんが演じた川下さんが太目だったため「おそらく実際の川島さんはこういう体型だったんだと勝手に」判断して撮影のために7キロ体重を増やしたところ「衣装合わせでいまおかさんの前に行ったら“太り過ぎだよ!”って怒られちゃって(笑)」と告白。
「人生で一番太っていたので、かつ濡れ場あるので、自分のお腹とか見ていられないですね(笑)」と話す森岡さんに、小槙さんも「私もすごくコロナ太りをしていて、自粛中ほんとにお昼からお酒を飲んでいたらブクブ太っちゃって(笑)。めちゃくちゃがんばって痩せましたけど、まだまだだったなあって(笑)」と、撮影の意外なエピソードを披露しました。
また『葵ちゃんはやらせてくれない』には伝説的フォークシンガーの三上寛さんも出演しており、いまおか監督は「撮影を理由に呼んで会って、それで演奏もしてもらうみたいな、そういうのがすごくよかったですね」と、小槙さんは「渋くて、歌も伝わってくるものも、纏っているオーラが違うというか、カッコよかったです」と、それぞれ印象を語りました。
フォトセッションではなぜかいまおかしんじ監督、小槙まこさん、森岡龍さん3人揃って「カニ歩き」ポーズ
舞台あいさつの最後に、小槙さん、森岡さんは次のようにメッセージを述べました。
「本日はご来場ありがとうございました。ほんとにこのようなご時世で、ほんとは先月公開予定だったのが1ヶ月伸びてしまって(※5月7日公開予定が緊急事態宣言で延期)、どうなるのかなというのがすごい心配だったんですけど無事に公開させていただいて、こんなにも多くのお客さんが観にきてくださって、ほんとにありがたく思います。今度とも応援のほどよろしくお願いします」(小槙まこさん)
「ほんとにコロナがやってきて現場が遠のいてしまって、すごく現場に飢えているときにこのお話をいただいて、現場から離れちゃうとどうしても役者の芸には錆が付いちゃうと言いますか、脂肪も付いちゃうと言いますか(笑)、そういう状況でお話をいただけたので、まさかソーシャルディスタンスが騒がれているときに濃厚接触シーンがある映画だとは思わなかったんですけど(笑)、ありがたく、すごくいろいろな意味で記憶に残っている大切な現場です。ほんとに、いまおかさんの個人的な想いが込もっていたり、あのときの小槙さんの美しさみたいなものがちゃんと残っている、素敵な映画になったのだなと思っています。劇場に足を運ぶということがだんだん難しい時代になっちゃったと思うのですけど、やっぱり映画は映画館で観る醍醐味がきっとあると思うので、これからもぜひ、こうやってみなさんと直接お会いしてお話したりできたら嬉しいです。今日は本当にどうもありがとうございました」(森岡龍さん)
そしていまおか監督は、大学時代に川島伸夫さんが映研の自己紹介の用紙の《このスペースは有効にお使いください》という欄に書いた、音楽や作家、アーティスト、食べ物、アイドルなどなど、雑多で多彩な大量の川島さんの「好きなもの」を読み上げ「川島伸夫はこういう人でした。ありがとうございました」と締めくくり、森岡さんも「川島さんもいらしているんじゃないですかね」と言葉を添えました。
川島伸夫さんの「好きなもの」を読み上げるいまおかしんじ監督とそれを見る小槙まこさん
4月公開の『裸の天使 赤い部屋』『聖なる超 赤い部屋』(いずれも窪田将治監督)、5月公開『「アララト」誰でもない恋人たちの風景vol.3』(越川道夫監督)に続き、大人の男女に魅力的な作品を届ける映画レーベル「エロティカクリーン」が送る『葵ちゃんはやらせてくれない』は、小槙まこさん、松㟢翔平さん、森岡龍さん、佐倉絆さん、三嶋悠莉さん、増田朋弥さん、田中爽一郎さん、三上寛さんらが出演。シネマート新宿にて6月11日(金)より17日(木)まで1週間限定レイトショー、大阪のシアターセブンにて6月19日(土)より25日(金)まで上映されます。