SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映され注目を集めている酒井善三監督の短編心理サスペンス『カウンセラー』が、10月30日より下北沢トリウッドで上映されます。
酒井善三監督が描く42分の奇妙な世界『カウンセラー』10月30日より下北沢トリウッドで上映
『カウンセラー』は、産休を間近に控えた心理カウンセラーの女性が、予約なしで相談に訪れた女性の「妖怪が見えるんです……」という告白によって奇妙な妄想に駆られていくストーリー。
カウンセリング室という限定された空間で繰り広げられる女優ふたりの緊張感あふれる演技と、どこか不穏さが漂う回想シーンによって、42分の短編ながら高い密度で観客の感情を静かに揺さぶる作品となっています。
『やす焦がし』(2017年/大工原正樹監督)『RIP』(2018年/酒井善三監督)や舞台に出演する鈴木睦海(すずき・むつみ)さんと、『へばの』(2008年/木村文洋監督)『夏の娘たち〜ひめごと』(2017年/掘禎一監督)『寝ても覚めても』(2018年/濱口竜介監督)などに出演する西山真来(にしやま・まき)さんがダブル主演をつとめ、鈴木さんがカウンセラーの倉田真美を、西山さんが相談に訪れた女性・吉高アケミをそれぞれ演じています。
脚本・監督をつとめた酒井善三監督は、1985年生まれで映画美学校フィクションコース出身。これまで同校修了作品『おもちゃを解放する』(2012年)や『RIP』(2018年)などの監督作を発表するほか、篠崎誠監督の『あれから』(2012年)『SHARING』(2014年)には脚本で参加。2019年にはオリジナル長編企画『狩人の夜明け』が新鋭監督のオリジナル企画を支援する東京フィルメックス新人監督賞準グランプリを受賞するなど、現在、期待を集めている監督のひとりです。
『カウンセラー』は酒井監督と録音技師の百々保之(どうどう・やすゆき)さんとの映画制作チーム・Drunken Birdによる自主制作映画で、制作前にシナリオと詳細な予算内訳をウェブで公開した上でクラウドファンディングをおこない約130万円の資金を得て制作されたもので、映画製作のかたちについても実験的な試みをした作品となっています。
大工原正樹監督が「この映画『カウンセラー』は二度観ることをお勧めします。」、篠崎誠監督が「映画好きはもとより、恒川光太郎や京極夏彦の小説、妖怪好きの人にもおすすめします」と評するなど(※いずれもコメントより抜粋。全文およびほかのコメントは公式サイトに掲載されています)、多くの映画人が賛辞を寄せている『カウンセラー』が、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021国内コンペディション短編部門でのワールドプレミア上映に続き、10月30日より下北沢トリウッドにて上映されます。
酒井監督しか描けないような独特の世界と俳優陣の個性が光る珠玉の42分は必見です。
なお『カウンセラー』が出品されているSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021は9月25日より10月3日までオンライン開催されており、10月3日23時まで特設サイトで『カウンセラー』を含む上映作品がいつでも鑑賞可能(有料)で、9月30日には酒井善三監督のオンラインQ&Aが開催されます。
『カウンセラー』あらすじ
ある心理相談室に勤める心理カウンセラー・倉田真美は、妊娠6ヶ月目で産休前最後の出勤日だった。
予定していた最後の相談者を見送ったあと、ある一人の女性・吉高アケミが予約なしでやってくる。
やむなく「相談内容だけでもお聞きしましょうか」と伝えた倉田に、アケミは「……妖怪が見えるんです」と語り始める。
謎めいた彼女の口から語られる暗い物語が、奇妙なことに聞いている倉田を妄想に駆り立て、不安の渦に堕としてゆく……。