金子雅和監督の最新作『リング・ワンダリング』が2月19日に公開されるのを記念した特集上映が1月22日より28日まで東京のシネマハウス大塚で開催され、長編『アルビノの木』と短編3作品が上映されます。
短編作品で着実に評価を高め、初長編『アルビノの木』(2016年)が国内外で注目された金子雅和監督の最新作『リング・ワンダリング』は、絶滅したニホンオオカミに惹かれる漫画家志望の青年が、不思議な女性との出会いを通して東京の土地に刻まれた記憶や命の重さを実感していく幻想譚。主人公を話題作への出演が続く笠松将さんが演じ、ヒロインを阿部純子さんが演じるほか、片岡礼子さん、安田顕さん、品川徹さん、長谷川初範さんらが出演しています。
『リング・ワンダリング』公開に先駆けておこなわれる今回の特集上映では、前作『アルビノの木』と、過去の短編3作品『ショウタロウの涙』(2000年)『水の足跡』(2013年)『逢瀬』(2013年)が上映されます。
世界15ヶ国20以上の映画祭で上映され20冠を獲得した『アルビノの木』は、神の遣いとして崇められる白い鹿を撃つことを依頼された害獣駆除に携わる青年を主人公に、自然と人間とのあり方を描く物語。長野県須坂市や群馬県、山形県の美しい風景の中で撮影がおこなわれ雄大な自然が表現されています。
松岡龍平さんが主演をつとめ、東加奈子さん、福地祐介さん、山田キヌヲさんらが共演。『リング・ワンダリング』で主人公の描く漫画の登場人物である猟師を演じている長谷川初範さんが本作でも猟師役で出演しています。
『アルビノの木』(2016年/86分 出演:松岡龍平 東加奈子 福地祐介 山田キヌヲ 長谷川初範 ほか)より
『水の足跡』は、写真家の青年が自然豊かな山中で一組の男女と出会う物語。群馬県桐生市で開催されているきりゅう映画祭の助成を受けて制作され、桐生市の美しい風景が映像に収められています。『アルビノの木』と同じく松岡龍平さんが主演をつとめており『アルビノの木』と対をなすような作品となっています。
『水の足跡』(2013年/30分 出演:松岡龍平 石坂友里 山科圭太 ほか)より
『逢瀬』は、発掘された骨から復元をおこなう考古学者が登場する”復元師”シリーズの1作で、神の遣いとされるイノシシの骨をめぐる現代の神隠し譚。山田キヌヲさん、尾崎愛さん、現代美術家の松蔭浩之さんが出演しています。
『逢瀬』(2013年/36分 出演:山田キヌヲ 尾崎愛 松陰浩之 ほか)より
今回上映される中では最も初期の作品となる『ショウタロウの涙』は16mmフィルムで撮影された作品(※今回の上映はデジタル素材)。幼少期を過ごした町に戻った姉弟の関係が幻想的な映像で描かれていきます。
上映される4作品は、いずれも動物や自然、水の流れなど『リング・ワンダリング』と共通する要素があり、最新作まで連なる金子監督の一貫したテーマやモチーフを感じられる作品群となっています。
今回の特集上映のために金子監督が制作した予告編は『アルビノの木』と『ショウタロウの涙』の映像で構成されており、作品の世界を伝えています。
特集上映はシネマハウス大塚にて、1月22日(土)より28日(金)まで、休映の25日(火)を除く6日間にわたり連日19時より開催。22日(土)・26日(水)・28日(金)に『アルビノの木』、23日(日)・24日(月)・27日(木)に短編3作品がそれぞれ上映されます。
今回の特集上映は、以前から金子監督の作品を追ってきた方はもちろん、新作『リング・ワンダリング』で初めて金子監督作品に触れる方にも、公開を前に『リング・ワンダリング』に至る流れをたしかめるまたとない機会になることでしょう。
なお、今回の特集上映はミカタ・エンタテイメントによる企画「Mシネマ」のひとつとして開催されます。「Mシネマ」は企画ごとにさまざまなテーマで数本の作品を約1週間にわたり上映する上映イベントで、東京ではシネマハウス大塚を主な会場として開催されるほか、同じラインナップによる各地のミニシアターでの上映も企画提案していくとされています。