笠松将さんが主演をつとめる金子雅和監督最新作『リング・ワンダリング』公開を前に、作家の乙一さんら各界の著名人からのコメントが寄せられ、新たな場面写真も解禁されました。
金子雅和監督『リング・ワンダリング』に作家・乙一さんや漫画家・近藤ようこさんらが絶賛コメント
世界各地の映画祭で9つの最優秀賞を含む20冠に輝いた『アルビノの木』(2016年)に続き金子雅和監督が送り出す長編『リング・ワンダリング』は、東京の下町を舞台に漫画家志望の青年・草介が不思議な女性・ミドリとの出会いを通して東京の土地に刻まれた記憶や命の重さを知っていく一夜の幻想譚。
主人公の草介を映画・ドラマで話題作への出演が続く笠松将さんが演じ、ヒロインのミドリを『孤狼の血』(2018年/白石和彌監督)などの阿部純子さんが演じるほか、片岡礼子さん、安田顕さん、金子監督の前作『アルビノの木』にも出演していた長谷川初範さんら、実力派俳優陣が顔を揃えています。
すでに第52回インド国際映画祭(International Film Festival Of India)で金孔雀賞グランプリを受賞し、公開前から注目の集まる『リング・ワンダリング』に、作家の乙一さん、漫画家の近藤ようこさん、映画微学校で金子監督が師事した瀬々敬久監督、俳優の占部房子さんら。各界の著名人よりコメントが寄せられています。
金子監督の短編『失はれる物語』(2009年)の原作者であり金子監督が撮影・撮影監督として参加した『Good Night Caffeine』(2015年・オムニバス『ぼくたちは上手にゆっくりできない』の一編)『シライサン』(2020年)の監督(安達寛高名義)である乙一さんは「妖しく美しい怪異譚!」と作品を評し、話題作『偶然と想像』(2021年/濱口竜介監督)などに出演する占部房子さんは「「リング・ワンダリング」との出会いは私の記憶と結びつき、豊かな景色と共に、進むべき未來へ導いてくれました」と語るなど、作品への期待を一層高めるコメントとなっています。
漫画家・近藤ようこさんコメント
この青年の将来がどうなるかはわからないが、描くという行為と自分の人生が、一生に一度でもリンクすることがあるならば、それは漫画を描く者として幸福だ。
作家・乙一さんコメント
妖しく美しい怪異譚!
猟師が獲物を狙い撃つ様は、カメラマンが被写体にレンズを向けてシャッターを切る様を想像させる。
それは自然界から芸術を切り抜こうとする監督自身の姿なのかもしれない。
瀬々敬久監督コメント
三つの時間、時空を超えた恋愛、戦争への反対声明。
静かな語り口だが描かれるのは大きな物語だ。それでいて間違いなく今を撃っている。
金子雅和の現在進行形の到達点であり、そして何より阿部純子の永遠性が素晴らしい。
俳優・占部房子さんコメント
子どもの頃、黄金色の大地に寝転んで自分の身体の中にある生まれる前の記憶と対話した事がある。
だれにも邪魔をされない平和で孤独な創造の世界。
「リング・ワンダリング」との出会いは私の記憶と結びつき、豊かな景色と共に、進むべき未來へ導いてくれました。
ありがとう。忘れてた。忘れてはいけないものを私は忘れていたのです。
ほか、社会学者・映画批評家の宮台真司さん、映画評論家で大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクターの暉峻創三(てるおか・そうぞう)さん、ワルシャワ国際映画祭フェスティバルディレクターのステファン・ラウディンさんら、海外の映画祭関係者も含め多くのコメントが寄せられており、全コメントは『リング・ワンダリング』公式サイトに掲載されています。
また、あわせて解禁された場面写真は、草原の中で草介が幼い少年と向き合う姿など雄大な自然を感じさせるカットや、目に涙を浮かべたミドリのアップ、長谷川初範さん演じる銀三が登場する草介が描く漫画の世界、絶滅したニホンオオカミへ草介が関心を持っていることを示すカットなど、映画の持つさまざまな表情を象徴するものとなっています。
深遠なテーマを不可思議なストーリーと美しい映像で描き出していく『リング・ワンダリング』は、ほかに個性派バイプレイヤーの田中要次さん、ベテランの品川徹さんらが出演。2月19日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開されます。
『リング・ワンダリング』ストーリー
漫画家を目指す草介は、絶滅したニホンオオカミを題材に漫画を描いているが、肝心のオオカミをうまく形にできず前に進めない。そんなある日、バイト先の工事現場で、逃げ出した犬を探す不思議な娘・ミドリと出会う。転倒しケガをしたミドリを、彼女の家族が営む写真館まで送り届けるが、そこはいつも見る東京の風景とは違っていた…。