日本映画専門情報サイト:fjmovie.com

fjmovie.comトップページニュース一覧>『リング・ワンダリング』劇中漫画を描いた森泉岳土さんによるイラストと著名人コメント解禁

『リング・ワンダリング』劇中漫画を描いた森泉岳土さんによるイラストと著名人コメント解禁

記事写真

森泉岳土さんによる『リング・ワンダリング』描き下ろしイラストレーション(※クリックで拡大します)

 笠松将さんを主演に迎えた金子雅和監督の新作『リング・ワンダリング』が2月19日より公開されるの前に、劇中漫画を担当した漫画家・森泉岳土さんによる描き下ろしイラストレーションと著名人コメント第二弾が解禁されました。

 2016年公開の初長編『アルビノの木』が海外の映画祭で20冠を獲得するなど高い評価を受けた金子雅和監督の新作『リング・ワンダリング』は、漫画家志望の青年・草介が主人公。不思議な女性・ミドリとの出会いにより草介が東京の土地に刻まれた記憶や命の重さを知っていく幻想譚となっています。

 笠松将さんが演じる草介が劇中で描く漫画原稿は、大林宣彦監督『花筐/HANAGATAMI』(2017年)の宣伝ヴィジュアルも手がけた漫画家・森泉岳土さんが映画のために描いたもので、作品の現実感を高めています。
 その森泉さんによる描き下ろしイラストレーションは、ポスターヴィジュアルにも使われている草介が黄金色の草原に立つカットをモチーフにしており、モチーフになった写真の草介が遠くへ視線を向けているのに対して、絵の手前にまっすぐに視線を向けているのが印象的です。
 森泉さんは水で絵を描きそこに墨を落とし、細かい部分は爪楊枝などを使って描くという独特の技法で知られており、今回の描き下ろしイラストレーションも、その技法で描かれたもの。
 森泉さんはその技法が映画『リング・ワンダリング』で果たしている役割について、次のようにコメントを寄せています。

森泉岳土さんコメント

僕は、水で描いてそこに墨を落とし、そこで生じたにじみや均一ではない線を活かしてマンガを描いています。細かいところもペンを使わず、爪楊枝や割りばしなどでその「墨」を伸ばして描きます。マンガを描くにはちょっと変わった画法ですが、なぜそんな手間のかかることをするのかというと、コントロールが効きにくいという「利点」によって、自分の意思や意図を越えた「余白」を生むことができるからです。そしてその余白というものにこそふくよかな文学性が宿るのではないか。そう思っています。金子監督からこのお仕事の依頼があったときに真っ先に頭に浮かべたのはその「余白」です。主人公草介が異界への旅を終えて現実に帰還したとき、彼のなかに自分ひとりの世界を越えた「余白」を抱えてきたのだろう、そういった言葉を越えたものを表現するために僕の画法が必要なのかもしれない――そう理解しました。
記事写真

『リング・ワンダリング』より。描き下ろしイラストレーションのモチーフとなった黄金色の草原に佇む草介

 また、作品に寄せられた著名人コメント第二弾も解禁されました。
 『リング・ワンダリング』でヒロイン・ミドリを演じる阿部純子さんの出演作『海を駆ける』(2018年)の深田晃司監督は「金子雅和監督の最大の魅力はその圧倒的なロケーション力にあると。」と、映画に関する執筆活動の多い女優・文筆家の睡蓮みどりさんは「金子雅和はいつだって人、動物、時間に優劣つけることなく対等に見ようと挑戦し続けている。」、民俗学者の畑中章宏さんは「この映画の監督は精霊的な自然を発見し、それを映像化することに最も力を注いでいるようにみえる。」と、それぞれ作品を通した金子監督観をコメントしています。

深田晃司監督コメント

前作でも思っていたことが『リング・ワンダリング』を拝見し確信に至りました。
金子雅和監督の最大の魅力はその圧倒的なロケーション力にあると。
それも、当たり前の景色をそれらしくデザインしてみせるような類のものではなく、間違いなく膨大な時間と労力をかけ見つけ出され、それと同等のエネルギーをもって切り取られたであろうロケーションのひとつひとつが眼福でした。
最高の景色を探そうとする金子監督はニホンオオカミを求め歩く登場人物と同じ目をしていたに違いない。

女優、文筆家・睡蓮みどりさんコメント

過去に、創作物のなかに、そして現在に、迷い込んだのは一体誰だったのか。
言葉を交わすから忘れられなくなり、言葉を交わさないから記憶にこびりついて離れない。
金子雅和はいつだって人、動物、時間に優劣つけることなく対等に見ようと挑戦し続けている。
この闘い方〈映画〉はかっこいい。

民俗学者・畑中章宏さんコメント

この映画の監督は精霊的な自然を発見し、それを映像化することに最も力を注いでいるようにみえる。
つまり、監督こそがだれよりも狼に翻弄され、未踏の領域に到達したのだと言えるだろう。
記事写真

『リング・ワンダリング』より。笠松将さん演じる主人公・草介と阿部純子さん演じるヒロイン・ミドリ

記事写真

『リング・ワンダリング』より。漫画を描く草介

記事写真

『リング・ワンダリング』より。美しいロケーションを感じさせるカット

記事写真

『リング・ワンダリング』より。美しいロケーションの漫画の世界

 ほか、金子監督の前作『アルビノの木』や国内外で多くの賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』(2021年/濱口竜介監督)の音楽を手掛けた石橋英子さん、3月に公開を控える『猫は逃げた』(2021年/今泉力哉監督)主演をつとめる山本奈衣瑠さんらがコメントを寄せています。(全コメントは『リング・ワンダリング』公式サイトに掲載されています)

 草介が描く漫画の世界を映像として描写するという趣向も盛り込まれ、幾重にも重なるモチーフやテーマを描いていく『リング・ワンダリング』は、笠松将さん、ヒロインを演じる阿部純子さんのほか、片岡礼子さん、安田顕さん、長谷川初範さんらが出演。
 第52回インド国際映画祭(International Film Festival of India)金孔雀賞受賞の栄誉を手に、2月19日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開されます。

『リング・ワンダリング』ストーリー

漫画家を目指す草介は、絶滅したニホンオオカミを題材に漫画を描いているが、肝心のオオカミをうまく形にできず前に進めない。そんなある日、バイト先の工事現場で、逃げ出した犬を探す不思議な娘・ミドリと出会う。転倒しケガをしたミドリを、彼女の家族が営む写真館まで送り届けるが、そこはいつも見る東京の風景とは違っていた…。
【『リング・ワンダリング』予告編】
ポスター

リング・ワンダリング

  • 笠松将 阿部純子 片岡礼子 品川徹 田中要次 安田顕 長谷川初範

  • 監督:金子雅和
  • 脚本:金子雅和/吉村元希
  • 配給:ムービー・アクト・プロジェクト
  • 製作: リング・ワンダリング製作委員会

  • 2021年/カラー/1:1.85/DCP/5.1ch/103分

2022年2月19日(土)より シアター・イメージフォーラムほか 全国順次公開

スポンサーリンク