明治から昭和にかけて活躍し“近代漫画の父”と呼ばれる北沢楽天の半生をイッセー尾形さん主演で描いた大木萠監督『漫画誕生』がＤＶＤ化され４月25日に発売されます。

　『漫画誕生』は、新聞に時事漫画を描いて現在の“マンガ”とへと連なる近代漫画を確立した“日本初の職業漫画家”北沢楽天のあまり知られていない人物像を、明治・大正・昭和という激動の時代の中で描いた作品。楽天が晩年を過ごした旧宅跡に建つさいたま市立漫画会館の協力や、楽天の出生地であり晩年を過ごした埼玉県さいたま市などの後援を得て製作されました。
　主人公の北沢楽天を、ひとり芝居で知られ『沈黙 -サイレンス-』（２０１６年・米／マーティン・スコセッシ監督）や『ふたりの旅路』（２０１６年・日本，ラトビア／マーリス・マルティンソーンス監督）など映像作品でも国際的に活躍するイッセー尾形さんが演じ、楽天の妻・いのをデザイナー・アーティストとして多彩な活動をする篠原ともえさんが演じるのをはじめ、実力派俳優陣が集結しています。

　また映画には楽天の生み出したキャラクターが登場するアニメーションパートもあり、キャラクターの声を、日本最初期のテレビアニメ「鉄腕アトム」のアトムの声で知られるベテラン声優でさいたま市出身の清水マリさんが演じています。

　初長編『花火思想』（２０１３年）で注目を集めた１９８６年生まれの新鋭・大木萠監督の長編第２作となった『漫画誕生』は、２０１８年に第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で正式上映、２０１９年にさいたま市先行上映ののち全国公開され、その後もコロナ禍の中、日本各地での上映が続いています。
　待望のリリースとなるＤＶＤには、セル版にのみナビゲーション付きの約70分に及ぶメイキング映像も収録されており、映画本編だけでなく、より深く作品を堪能できるようになっています。

　社会でその地位を確立しつつも、やがて時代の渦へと飲み込まれていく楽天と漫画を描いた『漫画誕生』は、いま改めて鑑賞するべき作品かもしれません。
　ＤＶＤ『漫画誕生』は、４月25日月曜日にセル版・レンタル版同時発売されます。

『漫画誕生』ストーリー

風刺漫画家として活動していた北沢楽天は、福澤諭吉に見出され、“日本初の職業漫画家”として一気にその才能を開花させた。やがて自らが手掛けた史上初のカラー雑誌「東京パック」の大ヒットにより時代の寵児となった楽天は、時の政治家すら一目置くほどの存在となっていく。一方で、たくさんの弟子に慕われ、共に次々と新しい表現方法を開拓、「漫画」は広く世に浸透した。しかし、黒く強大な時代の渦が、徐々に楽天はおろか日本をも飲み込んでいくことになる。楽天は、漫画の運命はどうなるのか――