今関あきよし監督が若手俳優と作り上げた短編『ザ・オーディション』が、同じく若手俳優と５人の監督による短編５作品とともに、下北沢トリウッドにて６月25日より上映されます。

　ベラルーシで撮影した『カリーナの林檎 ～チェルノブイリの森～』（２０１１年）以降、東欧や台湾など海外での映画撮影を続けてきた今関あきよし監督は、コロナ禍で海外での撮影が難しくなる中で、原点回帰ともいえる「短編制作」を新たな映画作りのテーマに選びました。
　そして完成した『Dear Moon』（２０２０年）は、コロナ禍以前に実験的に作られた短編『Memories』（２０１９年）と２本立てで２０２１年に劇場公開され、連日満席で再上映もおこなわれる盛況を記録しました。

　好評を博した２作品に続いて今回公開されるのは、映像制作会社アイエス・フィールドの新人育成部門であるクリエイターズ・フィールドで講師をつとめる今関監督が、同部門に所属する若手俳優を起用して制作した『ザ・オーディション』。
　映画のオーディションのために集まった若い俳優たちが監督が姿を見せない中でお互い疑心暗鬼に陥っていくというサスペンス仕立ての人間ドラマで、明確なストーリーを持たない映像詩的な作品だった『Memories』『Dear Moon』とは趣を変え、今関監督の別の面が見られる作品となっています。

　上映にあたっては、同じく講師をつとめる監督とクリエーターズ・フィールド所属の俳優による短編が５作品があわせて上映されます。
　『こぼれる月』（２００２年）『ひかりをあててしぼる』（２０１５年）などの坂牧良太監督がメガホンをとった『湖畔の親子』。
　『カーテンコール』（２０１９年）などの劇場用映画のほか舞台演出も手がける諸江亮監督の『カラフル』。
　アクティングトレーナーとして俳優の指導に豊富な実績を持つ稲垣雅之監督の『小浜ララバイ』。
　フリーの助監督として西谷弘監督、廣木隆一監督や福田雄一監督の作品に参加してきた女性監督・高島一希監督の『常神バルカローレ』。
　『ヌヌ子の聖★戦～HARAJUKU STORY～』（２０１８年）『クローゼット』（２０２０年）などの進藤丈広監督の『高浜ラプソディ』。
　いずれも気鋭の監督と若い俳優たちのコラボレーションで生まれたバラエティに富んだ作品が揃っています。

　劇場公開にあたり、今関あきよし監督と『ザ・オーディション』主演の上大迫祐希（かみおおさこ・ゆうき）さんは次のようにコメントを発表しています。

『ザ・オーディション』今関あきよし監督コメント

私の我儘とも言える「濃縮された今関ワールド二本立て」が公開され、驚くほどの反響をいただき再上映もされた「Memories」「Dear Moon」の2作。
今回さらに私の新作短編「ザ・オーディション」や、優れたディレクターたちによる短編映画を加えての公開が始まる。
短編映画作りは今まで気付かなかった〈自分発見の連続〉だった。現場で臨機応変に変化する様々な撮影方法に全力で応えてくれたスタッフ・キャストに感謝しかない。
短編だからこそ表現し得る「濃縮された世界観」をこの機会に是非ご堪能いただきたい！

『ザ・オーディション』主演：上大迫祐希さんコメント

女優を志して、右も左も分からないまま東京の現在の事務所に飛び込んだ私は、このクリエイターズ・フィールドを通して沢山のことを学ばせて頂きました。
今回上映される『ザ・オーディション』は、初めてメインの役所で出演させて頂いた映像作品です。全体を通して台詞量の多い役ではなかったので、台詞以外の表現を丁寧にしたいという気持ちで挑み、今関監督からアドバイスを伺いながら取り組みました。
撮影当時は私がまだ10代のころで、今観ると少し気恥ずかしいところもありますが、是非この機会に劇場へ足を運んでご覧頂けると嬉しいです。

　『ザ・オーディション』のほか、今年公開予定のいまおかしんじ監督最新作『神田川のふたり』でも主演をつとめている上大迫さんや、ＮＨＫ大河ドラマ「いだてん～東京オリムピック噺～」で女子水泳日本代表・小島一枝を演じて話題となった佐々木ありささんら、すでにエンターテイメント界で活躍する俳優を輩出しているクリエイターズ・フィールド。今回上映される作品群の中にも、きっと次代を担っていく新たな才能を見つけられるでしょう。
　『ザ・オーディション』など短編６作品は、６月25日土曜日より下北沢トリウッドで上映されます。
　なお、今関監督の『ザ・オーディション』は、昨年東京で公開された『Dear Moon』『Memories』とあわせ３作品での大阪・名古屋公開も予定されています。