女優・菜 葉 菜さんが4人の主人公を演じる4編の短編をオムニバス形式で綴る中村真夕監督『ワタシの中の彼女』が11月26日ユーロスペースほか全国順次公開決定し、監督・出演者のコメントが発表されました。
菜 葉 菜さんが4人の“コロナ禍で生きる女性”を演じる中村真夕監督『ワタシの中の彼女』11月公開
『ワタシの中の彼女』は、孤独や不安を抱えつつも希望を求めて生きる女性たちを描く4つの物語からなるオムニバス映画。
2020年製作の短編『4人のあいだで』が2021年に開催された第16回大阪アジアン映画祭でJAPAN CUTS Award スペシャル・メンションを受賞、ニューヨークのJAPAN CUTS FILM FESTIVALなど国内外の映画祭で好評を得たのを受け、新たに3編の短編を製作し4編の短編からなるオムニバス形式の作品として劇場公開を迎えます。
長編劇映画『ハリヨの夏』(2006年)で監督デビュー以降、劇映画とドキュメンタリー双方で活躍し、最新劇場作品『親密な他人』(2021年)も好評な中村真夕監督が4編すべての監督・脚本をつとめています。
4編すべてで主人公を演じるのは、『ヘブンズストーリー』(2010年/瀬々敬久監督)や主演作『赤い雪 Red Snow』(2019年/甲斐さやか監督)『夕方のおともだち』(2021年/廣木隆一監督)など数多くの作品に出演し個性を発揮する菜 葉 菜(なはな)さん。作品ごとに年齢も立場も異なる4人の女性の人生を表現しています。
第1話「4人のあいだで」は、大学の同級生で演劇サークルだった40代の男女3人が20年ぶりに連絡をとりリモートで語り合う中で、不在であるもうひとりの同級生へ想いを馳せる物語。菜 葉 菜さんが自宅待機の夫と息子を持て余す専業主婦のナナエを演じ、事務職をしながらパートナーと暮らすフサエを占部房子さん、苦しい生活の中で演劇を続けるコウジを草野康太さんが演じています。
第2話「ワタシを見ている誰か」は、菜 葉 菜さんが演じる在宅勤務のOL・メイと、フードデリバリーのアルバイトをしている写真家・カズヤの物語。注文した料理を届けに来たカズヤにその料理を食べてほしいと頼むメイとの関係が描かれていき、カズヤを演じるのはお笑いコンビ・井下好井の好井まさおさん。
第3話「ゴーストさん」は、路上生活者の女性が襲われ死亡した実際の事件をモチーフに描かれる、20代後半の風俗嬢・サチと、サチがひそかに「ゴーストさん」と呼んでいる女性の物語。菜 葉 菜さんがサチを演じ、コロナ禍で仕事を失い路上生活するようになった60代の女性・カヨコを浅田美代子さんが演じています。
第4話「だましてください、やさしいことばで」は、目の不自由な40代の女性・トモコを相手にオレオレ詐欺を働こうとする青年・タケオが、トモコの心に触れ揺らいでいく物語。菜 葉 菜さんが初めて目の不自由な役に挑み、タケオ役には上村侑さん。
菜 葉 菜さんと各話の出演者、中村真夕監督は、次のようにコメントを発表しています。
菜 葉 菜さんコメント
それぞれの主人公を中村監督とどう作り上げるかということの難しさや楽しさを感じながら、撮影では素晴らしい共演者の方々に支えられ、それぞれ全く違う魅力を持つ作品が生まれたと思います。
中村監督がこのタイトルに込めた思いをこの四編からなる映画を通して感じて頂けたらと思います。
「4人のあいだで」フサエ役:占部房子さんコメント
2020年、コロナ禍のはじまりにリモートで何度もミーティングを重ねて辿り着いた作品です。俳優が同じ空間に存在せずに作品にすると言うチャレンジはどんな事が起こるのだろうとワクワクしながら撮影した一晩でした。楽しんで頂けたら幸いです!
「4人のあいだで」コウジ役:草野康太さんコメント
以前からまた共演したいと思っていたお二人との撮影をとても楽しみにしてました。なので、ズームでの面会はとてももどかしかったです。公園でのリハーサル時、まったくの作り事であるはずの過去が、二人が語るとまるで本当にあったかのように感じられ、とても不思議な感じがしました。次回は是非、距離を縮め、視線を交わしながら共演させていただきたいです。
「ワタシを見ている誰か」カズヤ役:好井まさおさんコメント
プライベートでも仲良くさせてもらってる菜 葉 菜さんと二人でお芝居ということで、普段から仲のいい二人の雰囲気が伝われば最高です!
全然作品と関係ないですが、撮影場所の近くに全国各地の美味しいものを取り扱うアンテナショップがあったんです。そこに二人で入り浸り、ふりかけや醤油や出汁を大量に買い込んでました。
菜 葉 菜さんに至っては、控室にいないときは基本その店で色んなオイルを前にして難しい顔をしてました。
「ゴーストさん」カヨコ役:浅田美代子さんコメント
現実にあった事件だったので、どこまでリアルにするか、フィクションでいくか悩みました。
そして菜 葉 菜ちゃんは好きな役者さんですので、お互い話し合いながら演じました。
目ざわりだからというだけで殺されてしまった命、人に対する優しさが失われているような気がします。
今、たくさんの人達が仕事がなくなったりしています。そんな人達に負けないで頑張ってほしいと伝えたい。
「だましてください、やさしいことばで」タケオ役:上村侑さんコメント
台本を読んだ時に、自分について話すセリフがあって、そのセリフが「え?これ自分じゃね?」と思うほど似すぎていて、中村監督に確認したところ、当て書きをされたとおっしゃっていたので、これはもうやるしかないと意気込んで取り組みました!(笑)
役柄が受け子だったので、自分だと思うと少し複雑な気持ちですが、作品を考える段階で、自分のことを入れてくださっていたと考えると本当に幸せでありがたいことだなと思いました。
中村真夕監督コメント
2020年の夏、最初の緊急事態宣言明けに、コロナ禍について描きたいと俳優とスタッフたちと一晩、集まって『4人のあいだで』を制作しました。その短編映画が映画祭などで好評で、これをより多くの人たちに見てもらいたいと、コロナ禍を生きる女たちをテーマにした短編映画の連作として発表することにしました。
この状況の中で、生きづらさを感じている女性たちに共感してもらい、ささやかな救いを見出せるような作品になればと願っています。
誰もが生きづらさを抱える時代を、その中にいる女性の目線で描いていく『ワタシの中の彼女』は、11月26日土曜日より渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショーされます。
ワタシの中の彼女
- 「4人のあいだで」菜 葉 菜 占部房子 草野康太
「ワタシを見ている誰か」菜 葉 菜 好井まさお
「ゴーストさん」菜 葉 菜 浅田美代子
「だましてください、やさしいことばで」菜 葉 菜 上村侑 - 脚本・監督:中村真夕
- 企画:中村真夕/齋藤浩司 プロデューサー:浅野博貴
- 撮影監督:辻智彦 録音:菅沼緯馳郎/古谷正志 制作:姫田信也 紫木風太 グレーディング:池田圭 衣装:越中春貴 ヘアメイク:升水彩香
- 製作・配給:ティー・アーティスト
- 2022年/カラー/ステレオ/1:1.78/DCP/69分
2022年11月26日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー