2020年にサンパウロ国際映画祭で上映され、東京・大阪で劇場公開された梅村和史監督の初長編『静謐と夕暮』(せいひつとゆうぐれ)が、11月18日より京都の出町座で上映されることが決定し、新たなヴィジュアルと予告編に加え、著名人からの応援コメントが公開されました。
『静謐と夕暮』は、主人公のカゲと、黄色い自転車に乗る男、写真家の男、川辺に佇む老人といった人物たちが登場し、イメージを紡いでいくように進行していく物語。
1996年生まれの新鋭・梅村和史監督の初長編作品で、新人の山本真莉さんが主人公・カゲを演じ、数多くの作品に出演する入江崇史さんがキーパーソンの老人を演じています。
2020年にブラジルで開催された第44回サンパウロ国際映画祭新人監督コンペティション部門で正式上映され、今年1月より東京、大阪で盛況を記録するなど各地で上映されされてきたこの作品が、11月18日より京都・出町座で上映されます。
梅村監督と主演の山本さんは京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)の出身で『静謐と夕暮』も2019年度京都造形大学映画学科卒業制作として作られた作品であり、撮影地でもある京都での上映は、いわば凱旋上映。
京都での上映にあたっては新たなヴィジュアルと予告編が制作されています。ヴィジュアルは飾られた劇中の場面を眺めているような構図。予告編はカゲと黄色い自転車の男の関係が強調され、いずれも作品にいままでと違う角度で光を当てるようなものになっています。
そして、これまでも映画監督の行定勲さんや白石和彌さんら多く映画人からコメントが寄せられていた作品に、新たなコメントが寄せられています。
コメントを寄せているのは、京都を拠点とする劇団・地点で活動し映画『嵐電』(2019年/鈴木卓爾監督)『ドライブ・マイ・カー』(2021年/濱口竜介監督)などに出演する俳優の安部聡子さん、映画 『この日々が凪いだら』(2021年/常間地裕監督)のスチールを担当したほか俳優のポートレート撮影も多く映画との関わりも深い写真家の染谷かおりさん、アフガニスタンで人道支援にあたった故・中村哲医師とともに活動し中村医師の活動を伝える写真集「水を招く」で知られる写真家の中山博喜さんの3人。
それぞれの視点から作品の魅力を伝えるコメントとなっています。
地点/俳優:安部聡子さんコメント
「昨日あべちゃんの夢をみたよ」その人は帰り際突然言った。昼間私が出演している映画を観たせいだろうとも言った。やべえ。人の記憶に残っていくということは異なもの、おそろしいことだ。でも必死で残ろうと、すこしでも良く残ってくれればいいと願う。夢に私が出てきたというその人は、もうこちらにはいないので、どんなだったか聞くことはできないし、次の作品をみてもらうこともできないのだけど、これからは、『静謐と夕暮』を観たこれからは、光る草むらの中に、電車が川を渡る窓に、音に、振り向いたそのさきに、自分がみた夢でもないのに何度でもその時のことを、何度でもそのまま思い出せばいいんだ。と、学びました。
写真家:染谷かおりさんコメント
誰かの記憶を映しているかのような不思議な気持ちになりました。日常にあったかもしれない、これからの日常にもあるかもしれない。そんな景色が広がっていました。
写真家:中山博喜さんさんコメント
緊張感を持ったこれらの映像の一つひとつと遭遇するあなたは、いつしか自分の内なる記憶と対峙することになる。
また、京都・出町座での上映に先駆けて、9月23日より25日までの3日間、東京・下北沢で開催される第14回下北沢映画祭での上映も決定しています。
同映画祭は下北沢の複数の劇場を会場に開催される映画祭。『静謐と夕暮』は、1月にオープンしたばかりのミニシアター・K2で開催される「新進監督特集」の1本として上映。9月23日金曜日(祝日)17時より上映されます。
音楽を担当した映画もある梅村監督が監督・脚本のほか撮影や音楽も担当、主演の山本さんも美術を担当するなど、多彩な若き才能が作り上げた『静謐と夕暮』。
作品が生まれた場所である京都での上映で、作品がまた新たな一歩を刻みます。