大阪芸術大学と東京藝術大学大学院で映画制作学び在学中より高い評価を受けている渡邉安悟監督の中編『啄む嘴』(ついばむくちばし)が12月10日より池袋シネマ・ロサでレイトショー上映されることが決定し、ポスターと予告編が解禁されました。
新たな才能・渡邉安悟監督が送り出すサスペンスホラー『啄む嘴』12月池袋シネマ・ロサで公開
『啄む嘴』は、ひとりの男から逃げる女性・中島栞と、栞が逃げ込んだ倉庫で出会った女性・矢崎舞衣の姿を通して、誰もの中にある人格の多重性を浮き彫りにしていくサスペンスホラー。
逃げる主人公・中島栞を演じるのは『センターライン』(2018年/下向拓生監督)『サイキッカーZ』(2021年/木場明義監督)『ナナメのろうか』(2022年/深田隆之監督)など、インディペンデント作品を中心に主演やヒロイン役が続き注目を集める女優・吉見茉莉奈さん。
中島栞と出会う矢崎舞衣役には、バレエダンサーとして豊富な活動歴を持ち、Netflixドラマ「全裸監督2」など映像作品で女優としても活躍する間瀬永実子さん。
物語のキーとなる謎の男は、舞台や映画、ドラマなどで活躍する豊田記央さんが演じています。
この作品を生み出した渡邉安悟(わたなべ・あさと)監督は1994年生まれ。大阪芸術大学映像学科で大森一樹監督に、東京藝術大学大学院映像研究科で黒沢清監督や諏訪敦彦監督に師事し、大阪芸術大学卒業制作として初長編『ドブ川番外地』(2018年)、東京藝術大学大学院では短編『ティッシュ配りの女の子』(2019年)や修了制作となる長編第2作『獰猛』(2020年)などを監督してきました。
『ドブ川番外地』は、日本映画を海外に紹介する活動で知られるプロデューサーのアダム・トレルさんが「2018年の日本映画ベスト10」で第3位に選出するなど各所で話題となり2021年に劇場公開が実現、その後の短編や長編第2作『獰猛』も各地の映画祭で賞を獲得するなど高い評価を得ています。
『啄む嘴』は渡邉監督が大学の援助を受けずに製作する初めての作品。『俺たち、ライターズはい!』(2020年/湯淺士監督)で2021年門真国際映画祭優秀主演男優賞受賞経験を持つ俳優・山岸佑哉さんが、渡邉監督の才能を世に出したいという想いからプロデューサーとして資金を調達し製作されました。
解禁されたポスター(記事最後に掲載)は、車の運転席と助手席に並んで座る矢崎と中島の背後に、南米の熱帯雨林に生息する鳥・オオハシがコラージュされたデザインで、どこかかつてのサスペンス映画も思い出すようなテイスト。
予告編は、砂嵐が映るブラウン管がいくつも並んだカットで幕を開け、中島栞のダイアローグが衝撃的な事実を告げ、作品への期待を高めるものになっています。
また、ポスターと予告編に合わせ、諏訪敦彦監督、筒井武文監督からの作品へのコメントも公開されました。
映画監督・諏訪敦彦さんコメント
いつ明けるともしれない夜の中で、トラウマは時を撹乱し、執拗に現在に襲いかかる。女たちに通じ合う言葉はなく、どこから来てどこにゆくのかもわからない。「啄む嘴」は、その氷のように透明な孤独と絶望を理解せよとは言わない。徹底した寡黙さによって言葉を眠らせ、ただそれを抱きしめよと迫るのである。
映画監督・筒井武文さんコメント
渡邉安悟の新作『啄む嘴』は、純度の高い不穏さで、見る者を圧倒する。裸足で逃走する女、部屋の鍵を紛失したらしい会社員の女、この二人が出会い、会社の車で長い夜を過ごす。特に物語が掴めないまま推移する最初の15分間たるや、見たことのない映画に触れたという驚きを呼ぶ。この夜は明けるのか。
稀代の映像作家として期待を集め、初長編『ドブ川番外地』では破天荒な青春ドラマ、長編第2作『獰猛』ではハードボイルドなブロマンスと、作品ごとに異なるジャンルに挑んできた渡邉監督が、ホラーという手法で現代人の内面に迫る『啄む嘴』は、12月10日土曜日より、池袋シネマ・ロサにてレイトショー上映されます。
『啄む嘴』ストーリー
中島栞は謎の男から逃げている。 逃げた先は物流倉庫。そこで勤務していた矢崎舞衣に助けられ、2人は共に行動することに。忍び寄る男の影に苛まれながら 中島は母親殺しについて語りだす。車や階段、スマートフォンやブラウン管テレビなど無機質な対象が迫りくる。隠していたものが炙り出され、数珠繋ぎのがんじがらめ。逃げ出したい、けど逃げられない逃げたくない。がんじがらめがなくなったら私は私を失ってしまうから。
啄む嘴
- 吉見茉莉奈 間瀬永実子 豊田記央
國枝新 詩歩 福地展成 若林秀敏 小野美花 大和やち 大石菊華 本多晴 獣神ハルヨ 山下徳久 - 監督:渡邉安悟
- 脚本:深井戸睡睡/渡邉安悟
- プロデューサー:山岸佑哉
- 撮影:中條航
- 照明:大迫秀仁
- 録音:酒井朝子
- 美術:畠智哉
- 編集:渡邉安悟
- 衣装:山岸佑哉
- メイク:藤原玲子/石松英恵
- 特殊メイク:齊下幹
- 整音:佐藤恵太
- 助監督:菊池諒
- 制作:香西怜
- 協力:ラペ二子玉川/有限会社三津屋/合同会社ハーミットクラブ/株式会社オールクリエイション/文化庁「ARTS for the future! 」補助対象事業
- 制作プロダクション:我がまま
- 製作:我がまま
- 配給:マコトヤ
- 2022年/DCP 24P/カラー/ヨーロピアンビスタ 1:1.66/モノラル/52分
2022年12月10日(土)より 池袋シネマ・ロサにてレイトショー